271 第22章第22話 第1種接近遭遇?
ビビッー……ビビッー……ビビッー……ビビッー………………
「ど、どうした? 博士、何が起きたんだよ!」
「落ち着くんだ、徹くん!」
「し、社長! でも、こんなところで非常ブザーですよ!」
「大丈夫だ! 記誌瑠君、レーダーサーチを頼む!」
「了解しました、社長!」
ウチらは、驚いたんや。急にセーラーアースの非常ブザーが鳴ったんや。頑貝はんは、慌ててたけど、どうすることもできんわ。操縦席に座っとる博士はんと記誌瑠はんに、すべて任せるしかないんや。
それでも、社長はんは、状況を把握し的確な指示を出してはる。隣の席の香子はんをしっかり両手でかばいながらや。
香子はんも、少し震えとったけど、社長はんにしがみ付いて、前だけはしっかり見ておったわ。
ウチは、少し腰が浮いてる頑貝はんの背中を片手で引っ張って椅子に押し付けて、もう片手でラビちゃんを抱き上げて、ワクワクしながら窓の外を見てたんや。
こりゃ、宇宙人の襲来かもしれんし、戦う準備が必要かもしれんと思ったんや。特に武器とかは持ってへんけど、心の準備だけはしとこうと思ったんや!
「社長! この舟の斜め前方に未確認飛行物体を見つけました!」
「何? 飛んでるのか?」
「はい、向こうも我々同様に衛星軌道上を飛んでいるようです!」
ほら、やっぱりウチが思った通り、宇宙人や! 未確認飛行物体や!
『カグちゃん、何、そんなにウキウキした顔してるの? 今、そんなに嬉しいことある?』
「ラビちゃん、宇宙人やよ! 宇宙人! これから、ウチらは宇宙人と会うんや!」
『そういえば、最近、カグちゃん変な雑誌を読んでると思ったら、宇宙人に凝ってたの?』
「何を言うんや? これはな、人類の地球脱出の謎を探るためのデータ取集やし!」
『ホントに、カグちゃんったら。キシルちゃんが収集するようなデータなら役に立つけど、これじゃあね~……まったく、みんなが月出発の準備をしてる時に、“マー”だか“モー”だか分からない古雑誌を集めてさー』
「何ゆうてんねん。これはな、地球にみんなが住んどった時の雑誌やよ。この間、月の古本屋で見つけたんや! ウチは、地球が赤くなったんは、絶対宇宙人のせいやと思うとったんや!」
「お! 伽供夜も、ウキウキしてるのか? そうだよな、これが宇宙だよな。何が出てくるか分からないんだ!」
やっぱり、頑貝はんもウキウキしてるみたいや。博士はんや記誌瑠はんには申し訳ないけど、ウチ、今、とっても興奮してるんや。きっともうすぐ宇宙人に会えるかもしれんし。そしたら、絶対聞いてみるんや? 「あんたらが、地球を赤くしてしもうたんか?」ってな。
「社長! あ、アレは……」
急に博士はんが、モニターを指さしたんや。博士はんの顔が、みるみる青くなっていくのが分かったんよ。どないしたんや? 博士はーーーん!
(つづく)
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