269 第22章第20話 オーロラを纏う地球?
『もういいから、2人は黙って座席に座ってなさいよ!』
なんか、ウチと頑貝はんは、ラビちゃんに怒られてしもうたんや。それでも、そんなことには関係なくセーラーアースは、みるみる地球に近づいて行ったんや。近くで見ると、半透明なピンクの霧のようなものが地球の表面を覆ってるんやわ。
「博士? あれ、あの地球を覆っているもの、……少し色が変わって見えるんですけど。私には、真っ赤じゃなくて、だんだんピンクに見えてきたわ!」
あれ? 記誌瑠はんもウチと同じで、ピンクに見えるんや。
「多分、あれはオーロラだからじゃないかな?」
「博士、オーロラって、地球の極地とかでよく見えてたってやつですか?」
「そうじゃよ、記誌瑠ちゃん。オーロラの発生する高度は、約100㎞から300㎞の範囲だって言われておるんじゃ」
「じゃあ、私達が今向かっている衛星軌道は2000㎞だから、ずっと地球に近い所で発生するのね」
「なあ、記誌瑠はん、ウチらが地球を取り巻いているように赤く見えてたんは、そのオーロラちゅうやつかもしれんとゆうんか?」
「そうね、そうかもしれないんだけど……色がちょっと違うし、そもそもオーロラって、見えるのは時々だって聞いたことがあるわ。ねえ、博士? そうでしょ?」
「ああ、記誌瑠ちゃんの言う通りじゃ。昔、地球に発生していたオーロラは、太陽風が強い時に北極や南極で見えることがあったんだ」
「なあ、なんで太陽風が強いとオーロラが見えるんや。それになんで、どうやってオーロラって見えるようになるんや?」
「んーそれはな……まあ、難しい話をすると、また頭が混乱すると思うから、ここは記誌瑠ちゃんに説明を頼もうかな? いいかい?」
「もちろんです、博士! うふっ♡! ……伽供夜さん、前に太陽からいろんなものが降り注ぐって言う話しをしたわよね」
あ、また片目をつぶったわ。さっき、目薬さすのを失敗したせいやな。
「うん、覚えてるよ。太陽は燃えてるから高温のプラズマちゅうやつが出てるんやろ?」
「そうなの。そのプラズマって、磁場にぶつかるとエネルギーを出すんだけど、このエネルギーを利用してヨットみたいに動くのが、このセーラーアースよね」
「そうそう、海に浮かぶヨットが風を受けるような感じやったね」
「だけどね、このプラズマって、量が多かったり出力が強かったりして磁場にぶつかると光を出したりするのよ。……そうね、拳骨で殴られるとピカって★が光ったりするわよね」
「あーするする。特に頑貝はんの頭なんか、よう光っとるわ!」
「うっさいな、伽供夜。…………それは、関係ないんじゃないか? よう、記誌瑠よ!」
「えへへへ、伽供夜さん、今のは忘れて!……まあ、とにかく太陽風が地球の磁場にぶつかると綺麗に光ったりするのよ。色は、そうね……ピンクだったりグリーンだったり、ブルーの時もあるし、それが混じった綺麗なオーロラがあったって、昔の地球の資料には書いてたわ」
「……へえ~そうなんや……」
あ、いっけない! ウチ、またポンコツの返事をしてしもうたわ。……ええっと、ええっと、……何か質問せな……。
「あ! 記誌瑠はん、でもな、そのオーロラって、いっつも見えてた訳やないんやろ? さっき、オーロラって、時々出現するって言ってたし……」
「おお! 伽供夜君。君、今の説明をよく理解したね~。とっても大事なところに気付いたんだね~えらいよ~」
えへっ、社長はんに褒められてしもうたわ。これで、ポンコツを卒業かな?
『何喜んでるの? カグちゃん。それぐらい、みんなはすぐに気づくわよ! 気づくのが遅いわよ!』
「ええー、そうなんか? 社長はんも、香子はんも、みんな気づいてたんか?」
「え、ええ……まあ……あ、でもね、かぐやちゃん、あたし達は本物のオーロラって見たことがないのよ。だから、今、目の前のものがオーロラなのかどうかは、分からないの」
「そうですよ、伽供夜君。ひょっとしたら、今見えているのが、本物のオーロラかもしれないんだから、しっかり自分の目で見ておくんだよ」
「そっか、これが、オーロラかもしれないんだな! 俺は、しっかり覚えておくぞ! でも、こうやって見ると、綺麗じゃないか? 月から見えてた地球と違って、なんか綺麗なドレスを着たみたいに見えるぞ!」
なんや、頑貝はんも知らんかったみたいやね。セーラーアースの窓にへばりついて地球を眺めてるわ。良かったやん、気づきが遅れたんはウチだけやないみたいや……。
(つづく)
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