268 第22章第19話 お互いに
「よし! それじゃあ、博士、記誌瑠君、セーラーアースを地球の衛星軌道に乗せてくれ!」
「了解じゃ、社長!」
「目標座標、地球の衛星低軌道にセットします! 地球地上高度2000㎞」
「了解じゃ、イオンエンジン起動! エネルギー水素原子イオン流入!」
「回路正常に作動! 博士、行けます!」
「了解じゃ、記誌瑠ちゃん!」
「セーラーアース、軌道変更、目標地球の衛星低軌道、イオン噴射!」
なんや? 月を飛び立った時みたいな、爆発音も振動もあらへんわ。なんか、ゆっくり進んどるかもしれんが、窓の外をみてもそんなに変わらんからよう分からんわ。
「なあ、頑貝はん。これ、動いとるんか?」
「うーん……博士が、イオン噴射って言ったから、動いてんるじゃないか?」
「そうなんや。……なあ、ところで、エイセイテイキドウってなんのことや?」
「ふんっ、伽供夜、そんなことも分からんのか? エイセイテイキドウってのはな、ここに来るのに定期券を見せるってことなんだよ! きっとな、誰かが改札口に居るんだ!」
「へえ~そうなんや!」
『あのね! 2人とも、何変な話をしてんのよ! 黙って聞いてりゃ、何が“定期”よ! 何が“改札”よ! 〔エイセイテイキドウ〕の“テイキ”はね、バスや電車の定期パスじゃないわよ! これはね、地球の軌道の低いところって意味で〔低軌道〕っていうことよ! 地球の地表に近い方が観察もしやすいから、博士はこの軌道を選んだのよ! まったく、もー、ホントに2人ともポンコツなんだから!』
「「……へえ~ そうなんや(だ)……」」
ぷっ、……ウチは、返事が被ってしもうた頑貝はんと目がおうて、思わず笑ってしもうたわ。頑貝はんも、笑っとったなあ~……。
(つづく)
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