255 第22章第6話 決意!
香子はんは、それからちょくちょく戻って来てはいろんな物を運んでいたんや。やっぱり、生活を始めると自分が今まで使っていた物やないと落ち着かんのやて。
え? 何を持って行ったかって? えっとな、スムージーを作る小型ミキサーやろ、それからスムージーを飲む専用のコップとストローな、後はスムージー用の果物や野菜を保管する専用の冷蔵庫なんかかな。
そうや、やっぱり社長はんと一緒に暮らすようになっても、スムージーはやめられんみたいやね。
食事か? えっと、そういえば晩ご飯は、社長はんが作るって言ってたなあ。社長はん、意外と料理は上手なんや。ただ、材料に目いっぱいお金かけるから、美味しいんやって噂もあるんやて。
ところで、朝か? 朝は、やっぱりスムージーなんやて。これは、香子はんが作るそうや。社長まで、マッチョになったらどうしよう?
昼は、相変わらず記誌瑠はんが会社に来て作ってくれてるんや。これは、ウチも食べに行ってるわ。まあ、会社の仕事は無いんやけど、この昼食会にはみんなが集まるから、ちょっとした情報交換やミッション準備の進捗状況報告会みたいになるんや。
まあ、この昼食会の時に、みんなで社長はんと香子はんの結婚準備前祝いちゅうことで、簡単なお祝いはしたんや。
もちろん、お祝いのご馳走は記誌瑠はんが作ってくれたんやけど、会の最後に出された大判焼きのピザ全面に、何やらチーズで文字が書かれていたんや。
細い線に成るようにチーズを上手く流し込んで作った文を見て、みんなは大喜びで拍手をしたんや。そこには、『記誌瑠と博も結婚します! 同居を始めました!』って書いてあったんや。
やっぱり、社長はん達と同じで、今回のミッションが終わったら正式に式を挙げるつもりなんやて。今は、記誌瑠はんの家に、博士はんが引っ越したみたいや。引っ越したといっても、博士はんは会社の倉庫暮らしで、そこは今、ミッション準備でえらいことになっとるから、身ひとつで記誌瑠はんの家に転がり込んだみたいなんや。
そういえば、前に記誌瑠はんの家を見せてもらった時、1階は全部台所やったけど、2階も随分広そうやったもんな。あれなら、2人で住むには十分やと思うんや。
『ところで、カグちゃん。あなた、いつまで香子さんの家に居るつもり?』
「へ? なしてや?」
『もう、カグちゃんったら。香子さんは、ほとんど荷物を運んでしまったし、もうあの家には用事がないの。だから、今、あそこに暮らしているのはカグちゃんだけなのに、あの家、ちょっと広すぎない?』
「そう言われればそうやね……ねえ、ラビちゃん、どうしたらいいと思う?」
『ワタチに聞かれてもね……まったく、ポンコツなんだから、もう』
「えへへ、そうや、ウチなポンコツなんや」
『あれ? カグちゃん、ポンコツっていってもなんで笑顔なの? もう、落ち込んだり、怒ったりしないのね』
「そうや、ウチは、ウチのやり方で頑張るねん。ポンコツなところは、みんなに助けてもらうことにしたのよ!」
『へえ~カグちゃん、成長したのね! そうやって開き直れるんなら、大丈夫よね。これからのミッションにも耐えられるでしょ!』
なんかラビちゃんが、いつも以上に笑顔になってて、ちょっと不気味やね。まあ、それでもウチの気持ちは変わらんのや!
そんな話をしてた時、頑貝はんが突然ウチらに話しかけて来たんや。
「なあ、伽供夜? お前、引っ越しするのか? ……もし、行き先が無いんならよ、……俺んとこ来るか?」
「へえ? なんやて?」
(つづく)
最後までお読みいただけて、とても嬉しいです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。




