250 第22章第1話 それぞれの準備を
====異次元探偵社社員====
■小野宮 伽供夜(女)……永遠の20歳・青い地球振興課長・かぐや姫
■新畑 懐(男)……42歳・異次元探偵社社長・香子と交際・甘党
■風見 香子(女)……30歳・情報課長・料理は苦手だが武闘家・社長と交際
■頑貝 徹(男)……27歳・営業課長・戦闘好き・元月面私立探偵
■後藤 記誌瑠(女)……21歳・総務&経理課長・料理得意・博士と交際
■水野 博(男)……60歳・研究開発課長(博士)・発明家・過去からのタイムスリップ・記誌瑠と交際
■ラビちゃん(雌)……ウサギ・特別連絡課長・かぐやのペット・専用のイヤフォン着用で言葉が通じる
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ウチらは、異次元探偵社の屋上に戻って来たんや。みんなして、赤い地球を見上げておったんやけど、社長はんがいつもの笑顔で話し出したんや。
「みんな、僕らは寝太郎君に大事なことを教えてもらったんだ。分かるよね」
「ああ社長、俺らの探してるものは、あそこに在るかもしれないんだ」
頑貝はんが、ゆっくりと空に浮かぶ赤い地球を指さしたんや。
「ワシらが見た小惑星ベスタの工場を動かしているAI、そしていろいろな資源や資材を運んでる輸送網を支えてるAI、その大本のオリジナルAIがあそこに在るかもしれんのだ」
「なあ? もし、そのAIちゅうもんの親玉みたいのが見つかったら、青い地球に戻すことができるんか?」
『もう、カグちゃん。そんなに簡単に行くわけないじゃない!』
「せやけどラビちゃん、ウチらはその為にAIの親玉を探してるんやろ?」
「うーん、そうだね伽供夜ちゃん。そんなに簡単に青い地球には辿り着けんかもしれんけど、間違いなくいろんなことが分かって来るんじゃないかな」
「そっかー……とにかく、あの赤い地球に行ってみんとダメっとことなんやね」
ウチは、もう一度しみじみと赤い地球を見たんや。大きな丸い地球。よく見ると白い部分と紺色の部分がある。白いのは雲なんやね。そして、紺色のところは海ってゆうんやろ?
その白い部分と紺色の分をまとめて覆い隠すように赤いベールが覆っているんや。まるで、地球そのものを赤いセロファンで包んでいるみたいやね。
「ねえ、ラビちゃん。あの赤いのは、何やろかね?」
『そんなの分析すれば、すぐに分かるわよ!』
「分析って、どうするんや?」
『決まってるじゃない。実物を採取するのよ!』
「そっか……やっぱり、あそこに行かないとあかんのね」
「伽供夜ちゃん、焦らんくても大丈夫だぞ。ワシがきっと連れて行ってやる!」
「……ね、でもね、博君? 私達、この月からは出られないんじゃなかった?」
「記誌瑠ちゃん、心配しなくてもいいからね。ワシに考えがあるんだ。ただ、少しだけ時間をくれないか?」
「博君? また、何か作るのね。……でも、あんまり急いで無理はしないでね」
「ありがとう記誌瑠ちゃん。でもな、これはきっとワシにしかできないことなのかもしれんのだよ」
多分博士はんが、また凄い発明をしてくれるんやと思うけど、なんか記誌瑠はんが心配そうにしてるなあ。確かに、いろんなもんを発明したり、作ったりしとるんは博士はん1人やからな。せやけど、ウチなんかじゃ役に立たんし。困ったなあ~。
「みんな、しばらくは異次元探偵社をお休みにするから、各自、次のミッションに向けての準備をお願いしてもいいかな?」
「社長、次のミッションって、目の前の地球に行くって考えていいんだよな!」
「もちろんだよ、徹君。とにかく、そのために博士は頑張ってくれるんだ」
「よし! 俺だって、しっかり準備するぞ!」
「あ、あの~……私、手伝いたいんですけど……」
「ん? 記誌瑠君。何を手伝いたいんだね?」
「私、……博士の……博君の仕事を……。少しでも博君の負担を軽くするために、私、ちょっとずつ科学技術の勉強もしてきたの。まだまだ、博君みたいに発明とかできないけど、ちょっとしたお手伝いならできるから! それに、これからもいろんなことを博君に教えてもらいたいから……」
「記誌瑠ちゃん! ……ありがとうな!……社長、ワシからもお願いじゃ、記誌瑠ちゃんにワシの手伝いをお願いしたいんじゃ!」
「もちろん、博士が望むなら、僕は構わないよ。ただし、無理をして体を壊したりしないようにね。まあ、記誌瑠君には、博士の健康管理もお願いしたいんだけど、いいかな?」
「は、はい! 社長、ありがとうございます!」
「記誌瑠ちゃん、頑張ってね!」
「ありがとう、香子さん。……香子さんも、頑張ってくださいね!」
「もちろんよ! あたしだって、負けないからね!」
なんか、記誌瑠はんと香子はんが、お互いの頑張りを応援してるみたいなんやけど、香子はんは何をがんばるんやろ? ウチには、分からんことが多いんやね。
(つづく)
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