248 第21章第20話 寝太郎のお告げ
「あのな~、ぼくなあ~、お姉さんの困ってること、解決してあげるわあ~」
「ホントけ? 寝太郎はん、ありがとうな! ほんじゃ、ベスタを取り巻くコピーAIの元になってるもんは何なんや? そして、どこにいるんや?」
「うーん……その“こぴいえいあい”っていう物が何かは、ぼくにはよう分からんけど……」
そっかー、寝太郎はんの時代にはAIなんていうもんはあらへんのや。こりゃ、寝太郎はんに解決って、無理なんとちゃうかな?
「あのな、お姉さんを困らせている物は、身近にあるよ~」
「身近やって?」
「そう、それはね~お姉さんのいつも生活しているところの近くにあるね~……たださ~、近くっていっても手はなかなか届かないみたいだけど……」
「なんや、それ? それじゃあ、分からんのと変わらんのやないか?」
「待てよ、伽供夜!……近いけど、手が届かないって、あそこじゃないか?」
「なんや、頑貝はん、分かったんか?」
「ワシも、分かったかもしれんぞ!」
「ええ? 博士はんまで……どこなんや? ウチは、さっぱり分からんや!」
「落ち着くんだ伽供夜君。多分、それは、見えてるけど、行けない場所ってことだと思うよ」
「社長はんまで、分かったんか?」
「ねえ、かぐやちゃん、懐君が言おうとしてるの、あたしも分かっちゃった。だって、この間、あたしとかぐやちゃんで、ホント、すぐ目の前まで行ったじゃない!」
「香子はんまで、何を言ってるんや? 目の前まで行った? ウチと香子はんが?」
「いや、その時は、ワシも居たんじゃ」
「ああ、博君! 私というものがありながら、伽供夜さんや香子さんと浮気してたの? ええ? どうして?」
あれ? 記誌瑠はんが、怒ってる? なんか話が変な方に行ったような気がするんやけど。
「ち、ち、違うってば。ワシが、記誌瑠ちゃんとのことを相談するのに、ちょっと知恵を借りたんじゃよ。ワシが、記誌瑠ちゃんと正式に付き合う前じゃからのう。でも、お陰で、記誌瑠ちゃんとちゃんとお付き合いが出来るようになったんじゃ」
「え? あ? そうなの? ……じゃあ、仕方ないか。……えっと、伽供夜さんと香子さんのお陰なのね、今、こうやって博君と仲良くなれてるのは……」
「そ、そうなんだよ。……だから、変な誤解はしないで欲しいんじゃ」
「う、うん。分かった、ごめんね!」
あ、何とか収まったみたいやね。
「えっと……元にもどすよ。ウチの身近で、手が届かんとこって……どこなんや? なあ、寝た郎はん、ウチにも分かるように教えてえなあ~」
「もう、お姉さんったら、他の人はみんな見当がついたみたいなのに……じゃあ、もう少し、詳しく言うよ~」
「頼むわ、寝太郎はん。このままやと、ウチ、また寝られんようになってしまうわ」
「あのね、お姉さんはいつも生活してるのはどこ?」
「それは、月の世界やけど」
「じゃあ、そこから、いつも見えるのは何?」
「見えるもの? ……あ、そりゃあ、真っ赤な地球かな」
「じゃあさ~、そこには、行けたの?」
「うーん……行けへんわ。どういう訳か、月を飛び出して宇宙には出られんのや」
「じゃあ、そう言う事だから……後は、自分で頑張ってね。ぼくは、また、眠くなってきたので、……お姉さん、おやすみなさい!」
「あ、あ、寝太郎はん? 寝太郎はん? ……あ、また、寝てしもうたわ」
そやけど、みんなはニコニコしてるんや。なんや? やっぱり、他のみんなは、寝太郎はんの言ってる意味が分かったんやね。……グスンッ、クスン、ウチだけやないか? 分からんの。
バシッ!
痛って! 誰かに背中を思いっきり叩かれてしもうたわ。
『もう! 何、メソメソしてるのよ! 仲間に聞けばいいじゃない。自分が分からないことがあっても、仲間がいるじゃない! 何、1人で意地はってんのよ!』
ラビちゃんが、本気やわ。ちょっとおっかない顔して、ウチの頬っぺたを摘まんでるんや。
そっか……仲間か。そう言えば、異次元探偵社のみんなは、仲間やったな……。
(つづく)
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