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247 第21章第19話 寝太郎の覚醒

「う、ううー……うーーんーー」 ガザッ、ガサガサ……ズズッズウー……


 え? な、なんや! 寝太郎(ねたろう)はんが、動き出したんか?




「ふぁーあああーー。…………よく寝たなあ~……」


 ね、ね、寝太郎はん? あ、目が……。




 ドッカン……ガンラコッコン……グシャグシャ……ギュウウウウウ……


「お、お、押すな~」

「お、重い~」

「早く、どけてえ~」

「ま、前が見えんぞ~」

『きゅるるる~』



「みんな! そんなところで、何をしてはるんや?」


「何って……。見りゃ分かるだろ? あ? 伽供夜(かぐや)、お前こそここで何をしてんだよ?」


「ウチは、眠れんかったさかい、ちょっと暇つぶしに……」


「何オー! 俺達はな、お前がベッドから抜け出して行くのが分かったから、追いかけて来たんだよ」

「なんでや? ウチは、気づかれんようにそーっと抜け出したのに~」


「そりゃ、お前がラビちゃんを俺に押し付けて行くからだろう?」

『そうよ、カグちゃん! アタチ、うっかり頑貝(かたがい)に抱き着いてしまったんよ。いつもみたいに、顔をペロペロしたら、味が違うんだもん、ワタチ、焦って鼻の頭を齧っちゃったじゃない!』

「何、お前が怒ってんだよ。怒りたいの俺の方だぞ。見ろよ、この鼻。痛ってえったら、ありゃしない!」

「まあ、同じベッドの上で、(とおる)君がこうやって騒ぐもんだから、僕達も目が覚めてね……」

「あたし達、かぐやちゃんがひょっとしてねたろうくんを起こしてくれるんじゃないかと思って、見てたのよ!」


「な! ワシが言ったとおりじゃろ。やっぱり、伽供夜ちゃんは、やってくれると思ったんじゃ」

「ねえねえ、そんな事より、見て! 寝太郎君が目を開けてこっちをじっと見てるわよ!」




 ウチは、慌てて寝太郎はんに声を掛けたんや。


「あ、えっと……おはようさんです。ね、寝太郎はん? 目が覚めたんか?」

「う、うん、まあね。……お姉さんが、あんまり困ってたから、助けてあげようかなと思って……それに、入り口でみんなが覗いていたから、ぼく、ちょっと寝るの恥ずかしくなっちゃって……」


「ちょっ、ちょっ、ちょーーっと、かぐやちゃん、やったよ! ねたろう君を起こしたんだよ!」

「よっしゃーー! これで、ミッション完了だ!」

「なあ、社長はん? 今回のミッションって、寝太郎はんを起こすだけでいいんか? 起きて、なんかするんやないのけ?」


「うーん、そうだね……人類委員会からのミッションメールには、ただ〔寝太郎を起こせ!〕しか書いてなかったからね~」




「なあ、何を言ってんの? ぼく、ただ起きただけじゃダメじゃない? ぼくが起きるってことは、誰かが困ってるってことでしょ? 聞こえたよ、ぼくが気持ちよく寝てるのに、お姉さんがブツブツ困ったって言ってるのをさあ」


「ねえ、伽供夜君? ひょっとして、今回は君の願いを叶えるために寝太郎君は、目覚めたんじゃないのかな?」

「ウチの願い?」

「そうよ、かぐやちゃんはねたろう君の枕元で、いろいろ言ってたじゃない。今、かぐやちゃんが一番困ってることよ!」


「そっか、ウチが困ってるって言ったベスタを中心にした宇宙の資源を加工して再配布してるコピーAIの事やね!」

「うーん、そうだね。君がなんか困っているようだったから、ぼくは目が覚めちゃったんだよ」


 寝太郎はんは、自分の布団の上に胡坐をかいて座り、ウチらを手招きしたんや。ウチらは、寝太郎はんの前に正座し、息を飲んだんや。ウチだけやなく、社長はんも頑貝はんも、みんな緊張しているみたいやね。黙って寝太郎はんを見つめたんや。


 薄っすらと窓から光が差し込み出したんや。そろそろ夜明けなんやわ。寝太郎はんの顔が太陽の光に照らされ、今まで寝とった時の顔とはえらい違いやな。




(つづく)


 最後までお読みいただけて、とても嬉しいです。

 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


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― 新着の感想 ―
あ〜、なるほど! 長いこと村で生活を続けていたから、寝太郎にかぐやちゃんも村人判定されて、村人が困っているとなったんですよね? 色々重なったファインプレーですね〜! (*´ω`*)
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