216 第20章第6話 ご馳走ざんまい?
「よう! 伽供夜ちゃん、迎えに来たぞー」
「あ! 博士はんやんか。それに、記誌瑠はんも」
「う、うん。ねえ、伽供夜さん、これから私達と一緒に買い物に行きましょう?」
博士はんと記誌瑠はんは、2人ともオメカシしてるわ。いつも白衣を羽織っとるだけの博士はんが、白いタートルネックにグレーのブレザーなんか着とるし、記誌瑠はんやてグレーのパンツに紺色のジャケットなんか着てるわ。なんか、これからデートにでも行く雰囲気やんか?
「博士、いいねえ~。どこに行く予定なの?」
「いやー、社長、ちょっと鮮魚ドームとか行こうかと」
「あら、いいわね。あそこは、新鮮な魚介類が豊富なの。地球で人類が生活してた頃は、地域によっても獲れる魚が違ってて珍しい魚はなかなか手に入らなかったって聞いたことがあるけど、今は鮮魚ドームに行けば何でもあるもんね」
「香子ちゃんもよく行くのかい?」
「いやね~博士ったら。あたしは料理ができないから、新鮮なお魚を買っても食べられないわよ。せいぜい水槽に入れて、育てるぐらいかな」
「そういえば、香子はんの家には水槽がいくつもあって、大きな魚もおったね」
「そうだ、今度、かぐやちゃんが捌いてくれるんなら、あの魚を食べてみない? なんか、みんな美味しそうっていうマグロもいるのよね」
「ええ? 香子ちゃん、マグロも飼ってるのかい?」
「だあーって、あんな大きな魚、自分で捌けないじゃない。仕方ないから、大きな水槽を買ってほったらかしにしてるのよ。この間見たらね、買った時よりも大きくなってたわ」
「ウチ、そないな大きな魚は、見てないわ。せいぜい、サンマやイワシの泳いでるのぐらいしか知らんわ」
「あ、大きな水槽はね、全部、地下室にあるのよ。そういえば、かぐやちゃんにはまだ地下室を見せてなかったわね。ね、今度見せるから、マグロさばいてよね!」
ウチ、魚なんか捌ける訳ないやんか。前にもゆうたけど、月に居る時は……あ、ウチの世界のな……料理なんかは全部料理専門の使用人がやってたさかいに、包丁なんか触ったことないんや。
そんなのは、カンベンして欲しいんやけど、とりあえずは香子はんに「う、うん……」って、返事だけしといたんやけど……。
「なあ、博士はん? そんな鮮魚ドームとか行って、何をすんねん?」
「まあ、それは行ってからのお楽しみっていうことで、早速出かけようかね」
「博士、それに記誌瑠君、伽供夜君をよろしく頼みます。僕達は、甘いものはたくさんご馳走したけど、きっとすぐにお腹が減るとおもうので、よろしくね」
「はい、社長、ワシ達に任せてください、な、記誌瑠ちゃん!」
「はい、社長に香子さん。伽供夜ちゃんにお腹いっぱいになってもらいますから!」
なんや? また、ウチにご馳走してくれるちゅうことなんか? いったい、どうしたんやろ?
(つづく)
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