215 第20章第5話 スウィーツ祭り
「それじゃあ、みんな、いいかい? ささやかだけど、僕の作ったスウィーツの味見をしてくれるかな?」
「うーん、今日もステキね! あ! 新しいのもあるのね!」
「なんや、香子はんは、社長はんの作ってくれるスウィーツをいつも食べてるんか?」
「えへへへ……当り前じゃない! 懐君のスウィーツは天下一品なの」
「えっとね、それはちょっと違うんだな。僕は、こういうのを作るのは好きなんだけど、やっぱり食べてくれる人がいないと、作る気にはならないんだよ。その点、香子君は、最高なんだ。ちゃんと僕の作るスウィーツを味わって感想もくれるけど、改善の仕方も一緒に考えてくれるんだ」
「さすがやね、香子はん」
「そうなんだ、だから、僕は香子君がいるからこそ、こんなにたくさんのスウィーツを作れるんだよ!」
「えへへへ……あたし、ちょっと恥ずかしいなあ。だって、あたしは、ただ食べてるだけだし、美味しいって言ってるだけなんだけど」
「いいや、君のそんなところが、最高なんだよ!」
あー、こういうのが、ラブラブちゅうやつなんやね。
『……ん?……あ!……美味しい匂いがする! あ、お菓子がいっぱい! ねえ、ねえ、早く食べようよ!』
ようやっとラビちゃんが起きたみたいや。カゴから飛び出して、いっちょ前にテーブルに陣取ったわ。
「お、ラビ君も起きたことだし、食べようかね。じゃあ、いただきます」
「「「 いっただきまーーす! 」」」
ウチは、まず、この綺麗なワイングラスに乗ってる半球のクリーム色のスウィーツから食べるねん。多分、これはウチらがかき混ぜてたアイスクリームやないかと思うねん。
「う! なんや、これ? すっごい甘くて、でもさっぱりしてはる。中は……バニラアイスやね。けど、まわりに掛かっている黒いのは、チョコや! それに、甘酸っぱい緑色の小さな立方体は、キウイちゃうか?」
「お、伽供夜君、よく分かったね。それはね、キウイフルーツをハチミツで煮込んだんだよ」
「え? せやかて、この塊もとっても冷たいよ。これも、アイスやないの?」
「あははは、このキウイはね、甘く煮込んでから、急速冷凍してるんだ」
「へえー、社長はんの工夫もすごいんやね。もう、美味しくてやめられんわ~」
目の前に置かれたんは、このワイングラスに入ったアイスだけやないんや。まわりをチョコや生クリームでデコレーションされたショートケーキ、上に乗っているのは七色の果物アイスや。ふっくらしたお餅の中に甘いクリームが入った、カスタード饅頭。
口直しのちょっと甘酸っぱい飲み物は、飲むヨーグルトを炭酸で割って甘い果物の小さなキューブを入れ、最後にさっきのアイスを球状にして浮かせたヨーグルト酸アイス。
最後は白玉団子が主役の盛り合わせだ。枝豆をすり潰し裏ごししたものに甘い味付けをした緑、甘いきな粉をまぶしたアイボリー、ハチミツを混ぜた餡子の黒、梅と甘みそをまぶした赤、そして甘く煮込んだ薄口醤油のタレで包んだ黄褐色、それぞれの味と色合いが、ますます食欲をそそったんや。
「ウチ、ホンマにご飯を食べんで来て良かったわ。こないにスウィーツに種類があるんも経験できて、嬉しゅうて、嬉しゅうて。ホンマ、社長はんありがとうございます」
ピンポーン……
「かぐやちゃん、お腹いっぱいになった?」
「うん、香子はん。ウチのお腹は、もうパンパンや!」
「そしたら、ちょうどよかったわ。次の行き先から、お迎えが来たようだし!」
「え? 次?」
「そうよ、かぐやちゃん、次のところでもいっぱい楽しんでね!」
(つづく)
最後までお読みいただけて、とても嬉しいです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。




