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214 第20章第4話 スウィーツの職人?

 チーン♪ 


「よし、スポンジが焼けたぞ!」


「社長はん、それなんやの?」

「うん、これは伽供夜(かぐや)君の溶いてくれた卵をふんだんに使ったスポンジケーキだ」

「うっわー、(かい)君、すっごいいい匂いがする!」

「僕は、これからこれを使って美味しいケーキを作るから、君達はこれをまたかき混ぜてくれるかな?」


「なんや、さっきの卵とはちゃうね。なんか、薄いクリーム色してはるわ」

「このボールに入っている液体をかき混ぜればいいの?」

「ああ、そのボール自体をこの氷水の中に浸けて冷やしながらゆっくりかき混ぜて欲しいんだ」


「わかったわ、あたしがこのボールを押さえているから、かぐやちゃんが混ぜてくれる?」

「うん、ウチ頑張るさかいに。じゃあ、行くよ!」


 ウチは、クリーム色の液体をこぼさんようにゆっくりと泡だて器で混ぜ始めたんや。少し離れた作業台では社長はんがさっきのスポンジをいろいろな形に切り分けて、重ね始めたんや。

 ウチの混ぜてるこの液体もええ匂いがするんやけど、社長はんの方からも甘くて美味しそうな匂いがするねん。ウチは、朝ご飯も食べてないんやから、お腹がグーってゆうとるような気がするわ。


「あ、ボールが浸かっとる氷水の氷が解けてきたわ。あたし、氷を追加するから、かぐちゃんちょっと待っててね」

「あ、うん……」


 香子(かおるこ)はんが手を離した後、ウチはかき混ぜるのをやめて、片手でボールがひっくり返らんように抑えたんや。





「氷、いっぱい持って来たヨ。じゃあ、いれるから、作業続行ね!」

「うん、分かった」


 改めて、ウチはそのクリーム色の液体を冷やしながらかき混ぜたんや。……そして、しばらくしたら、なんか手が重くなったような気がしたんや。


「なあ、香子はん、ウチ、かき混ぜてる手が上手く動かんようになってきたわ。なんか、疲れたんやろか?」

「あははは、かぐやちゃん、よく見てみなよ。この液体、大分固まって来たのよ!」


「へ? 固まる?」

「そうよ、あたし達、冷やしながらかき混ぜてるじゃない! 今、作ってるのは、アイスクリームなのよ」

「そうなん? アイスクリームって、自分で作れるん?」


「懐君のアイスはね、とってもクリーミーでいい味なの。甘さと冷たさが丁度よく混ざり合うのよ! ……あ! かぐやちゃんには内緒だったわね。でも、まあいいっか! 食べた時の驚きがあるから、平気だよね!」


「そんなに美味しいんか?」

「もちろんよ! さあ、もう少し頑張りましょ!」



 程よい硬さになったところで、このクリーム色の塊は、社長はんに渡したんや。この後、社長はんが何種類かのスウィーツの最後の仕上げをするんやて。

 ウチと香子はんは、ダイニングテーブルのセッティングにまわることになったんや。綺麗なテーブルクロスを敷いて、スプーンやストロー、それに飲み物のグラスなんかを並べたんや。

 もちろん、ウチと香子はんと社長はんの3人分や。テーブルの準備が整ったら、ウチと香子はんは、エプロンを外して席に着いた。そこから台所の方を見ると、作業している社長はんの様子がよく見えたんや。小さなお皿に、いろんなものを盛りつけたり、さっきのスポンジを重ねたものにデコレーションしてるところがよく分かったわ。


 もう、手際のいい社長はんの手元を見ていると、まるでお菓子をつくる工場のようにあっという間にできあがっていくねん。それも、色とりどりで、ステキなものばかりやねん。


 他にもどんどん盛り付けが進んで行くと、社長はんから声が掛かったんや。


「さあ、そろそろ完成だよ。できた物をここに置くから、テーブルに持って行って並べてくれるかな」



「「はーい、分かりました!」」



 ウチらは仲良く返事をして、ステキなスウィーツを運び出したんや。




(つづく) 


 最後までお読みいただけて、とても嬉しいです。

 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


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― 新着の感想 ―
さしずめ「パーラー新畑」って感じでしょうか。 意外に女子力が高くて驚いていますw どんな感じに仕上がるのか楽しみですね〜!
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