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10 第1章第9話 愛の鞭

「……え、みなさん、握手会お疲れ様でした。この後、3時間後には今日の昼公演です。またよろしくお願いいたしますね」



「「「…「「は~い、乙姫様。頑張りま~す!」」…」」」



「あ、それからね、新しいメンバーを紹介します。浦島タロ子さんです。仲良くしてあげてくださいね。……それから、タロ子さんの面倒は、ヒラメ子さんに見て頂きます。いいですね」


「はい、分かりました。ぎょうさん、きばらせてもらいます」


「いいですか、タロ子さん。この竜宮城ABCD44は、伝統と格式のあるグループです。現在センターアイドルのヒラメ子さんに、しっかり教わってくださいね」


「は、は、はい。精進いたします」


「それじゃ、ヒラメ子さん、後はよろしくお願いしますね」



 なんか背の高い筋肉質のゴツイ感じの人やなあ。それでもウチは手はぬきまへん。どんなミッションでも全力でやらせてもらいます。例え、異次元探偵社に関係あらへんものでも、こうやってここ竜宮城に潜り込んでいるんやから、これもウチらのミッションやね。



「ヒ、ヒ、ヒラメ子ちゃん……ぼ、…わ、わたし、頑張ります! よろしくお願いします!」


「よろしゅうお願いします。ウチは、そんなに難しいことはでけへんけど、根性だけは誰にも負けへん! ウチを見習って、頑張っておくれやす!」


 そう、乙姫はんが、『ウチはセンターをとったんやから、思った通りやっていいのよ!』っていってくれはったんや。ウチは、ウチのやり方で、全力でやらせてもらおう!


「タイ江、マネージャー……ウチ、すぐにはじめるわ! タロ子さん、覚悟してくだはれ、あと3時間で仕上げて、昼公演に間に合うようにしますからね」

「は、はい、よろしくお願いします」






 ・・・・・・・・・・・・・・・・・


「うっわ、何これ? 伽供夜(かぐや)さんも、伽供夜さんが鍛えているあの子も汗だくじゃない!」


「どうだ、記誌瑠(きしる)。このしごきに耐えられると思うか? ふふふ」

頑貝(かたがい)君、誰なのあの子、今まで居なかったでしょ?」


「ああ、あれは浦島太郎だよ。変装して潜り込んだんだ。いいだろ? ピンクのエプロン水着」

「ぶっ! ちょっとキモイわ。何でそんなことしてんのよ!」

「決まってるじゃないか、伽供夜に会いたいっていうからさ! ちょっと教えてやったんだよ。ま、社長の指示もあったんだけどな」


「それにしても、伽供夜さんの稽古、凄すぎない? 彼女、あれが浦島太郎だって知ってんの?」

「いいや、知らないよ」

「え? 知らないで、あんなにしごいてるの?」


「まあ、あとどのくらいもつかなあ~」


「頑貝君も、何だか嬉しそうね」

「だってよ、あの浦島って野郎、今まで楽しやがって、この辺で酷い目に合うのも薬になるんだよ」

「ふーん、……頑貝君も気を付けてね。うかつに伽供夜さんに逆らわないことね……」






 ・・・・・・・・・・・・・・・・・

「さ、タロ子さん、歌も踊りも体力が大事なんです。まずは、腕立て伏せを1000回です!」

「ええ? 1000回の腕立てですか?」

「いいから、はよ、やってくだはれ! やらないとオシオキしますですよ!」


「は、はいーー!」



 ・ ・  ・  ・


「はあ、はあ、はあ……お、終わり……ました」

「じゃあ、次は、腹筋1000回です!」

「ふぇーーー」



 ・ ・  ・  ・


「ふうー、ふー、ふー……お、お、わり……まし……た」

「じゃあ、次は、スクワット1000回です!」

「ふゃあああーーー」



 ・ ・  ・  ・ 


「ヒー、ヒー、ヒー……お、お……わ……り……ま……し……た」

「じゃあ、次は、腿上げ……」

「ま、ま、まってください……こ、これじゃあ……歌や……踊りの練習ができません」


「仕方ないですね。それじゃあ、踊りの練習にしますさかいに!」

「は、はい! お願いします!」

「じゃあ、膝を曲げて、右ステップからの、膝を伸ばして中央に移動、それからまた膝を曲げての左ステップ、そして膝を伸ばして中央に! さ、これを続けて1000回、始め!」


「え、ええ? ……これって、反復横跳び? また、運動部の練習?」

「やかましいです! つべこべ言わんと、はよおやり!」


「ひえええーーーー! た、た、すけてーーー!」



 あと2時間しかあらへん、こりゃあスピードをあげんと間に合わんわ。


「よし! 今から倍のスピードでやるさかいに、遅れんといて! ええね!」

「ふゃあああーーーいーーーー………………」







 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『只今より、本日の昼公演、第1部をはじめます』


 ブブブブーーーーーーーーーーーーーー





「あ、始まったな。始まった。最初の曲は、伽供夜君がセンターの『フライング フィッシュ』だな」

「タコ社長、ますます伽供夜ちゃんは乗ってますなあ~」

「ああ、これだけ踊れれば、月のステージにも立てるかもしれんな~」







「……ワン・ツー・スリー・フォーーーー!」


 ♪ フィライング~フィッシュ 新鮮な~

 いつでもどこでも 飛んでるわ~


 フライング~フィッシュ 諦めない~

 いつでもだれでも わ・た・し・の・ため~

 は・り・き・る・わああああ~

 ………………………………

 ………………………………    ♪






「伽供夜さんの動き、ますます磨きがかかっているのね。すっごいステキ~。それに比べて、浦島さんは……なんか、可哀そうじゃない? いいの頑貝君」

「膝はガクガク、手も足もフラフラしてやがる。今にも転びそうだ。あーあ、ジャンプしても床から離れてないわ。ふふふ、いつまで舞台に立てるかな?……ふふっ」


「確か、こんな曲が、10曲は続くのよね。何笑ってるの頑貝君?

「いやあ~俺達ももうすぐ帰れるかなって思ってな……」










 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「はあ、はあ、はあ……みなさん、お疲れさまです!」

「ヒラちゃん、良かったよ。昨日より一段と切れが出てきたわ」


「ありがとうございます。タイ江マネージャー」


「それにしても、タロ子ちゃんは、ダメね。全然踊りについていけてないわ」

「もうしわけありまへん。すべては、ウチの責任です! 第2公演までにまた鍛え直しますさかい、カンベンしておくれやす」



「分かったわ、ヒラちゃん、頑張ってね。……いい、タロ子、ヒラちゃんの言うことをよく聞いてね」


「さあ、タロ子さん、踊りの復習をしますです。ウチの正面に立って、さっきの踊りのステップを2000回やってくださいな」


「えええええ? 2000回? ふ、ふえ、ふえてるうううううーー………」



 バタン!ドン………



「タロ子はん、タロ子はん……寝てる場合やありません。さあ、しっかり踊ってくだはれ!」

「…………………………」




(つづく)



 最後までお読みいただけて、とても嬉しいです。

 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


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