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第35話

 実技テストは合計3つ。錬金術に、火水土風の4つの元素魔法と、治癒魔法の3つだ。治癒魔法は自信があるが残り2つの手順がなかなか覚えられないでいる。

 というか、私が言うのもなんだが手順通りにやらなくても両手で魔力を込めるだけで金に水などが生成できてしまうのだ。呪文も詠唱せずともだ。


(詠唱は覚えられるけど、手順も覚えないと……)


 クリス様やクララ様の力も借りて、私は詠唱と手順を覚えてテストに臨んだ。

 結果は100点。教授からは手順通りにやるのと、手順を飛ばし自己流でやるのと2通り求められ、そのどちらでも正確に物質を生成する事が出来た部分はとても褒められた。


「さすがは聖女候補。詠唱せずとも金を生成できるのは素晴らしいです」

「あ、ありがとうございます」


 クリス様もこの実技テストで100点を取った事で、クララ様の屋敷でお祝いをする事になった。食堂には私の好きな鳥肉のローストがずらりと並ぶ。


「わあ……!」

「マリーナ。おかわりもあるからたくさん食べて大丈夫よ」

「ありがとうございます! いただきます!」

「俺もいただきます」

「美味しそうですねえ、私もいただきます。お師匠様も食べましょ!」


 鳥肉のローストを1口サイズに切り、ナイフとフォークを使って口に入れる。ほろほろと柔らかくてソースもコクと酸味がうまく絡まっていてとても美味しい。


「うーーん……美味しいです……」


 これはいくらでも食べられる味だ。飽きが来ない。試しに丸いパンを割って、断面の部分にお肉を乗せて一緒に食べてみると更に美味しさが増す。


(これでサンドイッチ作るのもありかもしれない)


 デザートには生クリームをふんだんに使ったケーキが用意された。こちらも甘みといちごの酸味が程よく合わさってとても美味しかったのだった。


(食べ過ぎた……)


 パーティーを満喫した次の日からはまた講義がいつものように行われる。こういう何もない穏やかで平和な日は好きだ。中庭でランチのサンドイッチを食べていると、ふと地下牢での日々を思い出した。


(薄暗くて、何も無かったな……)


 狭い地下牢での日々は退屈だったが、それでも私は日々楽しみを見つけながら過ごしていた。クリス様が変化していた熊さんのぬいぐるみと話したりごっこ遊びをしたり、窓から小鳥の鳴き声を聞いたり、実際に小鳥やねずみにカエルを見たりしていた。あとは魔術書を読んでいた。


(地下牢での暮らしはしんどかったけど、楽しい部分もあったな……)


 勿論、私を地下牢へと追いやったリリーネ子爵は許せない。しかし、地下牢での暮らしで出会った熊さんに小鳥に小さな生き物には感謝しているのだ。



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