第34話
それから数日後。
「リリーネ子爵が戻らない? 屋敷も誰もいない?」
という報告が国王陛下及び私達にもたらされた。どうもリリーネ子爵とその妻はロイナ国にずっと留まっているのだと言う。確かソヴィが政略結婚によってロイナ国の王太子イリアス様の元に嫁いではいるが、それからずっと2人は戻ってきていないと従者及びジュリーから聞いた。
「屋敷ももぬけの殻みたいですね。人の出入りも無いとか」
「ジュリーさん。調べてくださりありがとうございます」
「いえいえ。何なんでしょうね。ソヴィ様がまだ向こうの宮廷に慣れないとか?」
「あーー……」
確かにソヴィがわがままばかりで向こうの人と関係がうまく行ってないというのはなんとなく想像出来た。出来てしまった。
「まあ何か事情があるんでしょうね」
「でしょうね……」
「それに、そろそろ親善交流パーティーがあるんでしょう? そのタイミングで帰国する可能性もあるんじゃないでしょうか?」
「そうですね」
大学院では何事もなく、平和に講義や研究に打ち込めている。あちらの教授は皆優しく、分からない事があればすぐに教えてくれる。それに堅苦しい部分もなく、楽だ。
また、最近ちょっとした変化もあった。
「マリーナ、髪の色だいぶ戻って来たんじゃない?」
「そうですか?」
私の髪色が金色に近くなってきている。クララ様のビスケットを欠かさず摂取しているおかげか、魔力の質も向上し髪の色も金色に近いクリーム色になってきていたのだった。
しかも髪の毛を日の光に透かして見ると、完全に金色に見える。
「まだビスケットは食べるのよ」
「はいっ」
(見た目が戻りつつあるのは素直にうれしい)
それと大学院でジェシカを語る者はいなくなった。あれだけ目立っていた存在がぱっと消えるとすぐに誰にも語られなくなっていくのは、なんだか寂しさも感じられるがそれだけ彼女は大罪を犯してしまったのだ。こうなっても致し方ないだろう。
エイリンからはたまに手紙が来る。今はシスターとして神に祈りを捧げる敬虔な生活を送っているが、今後は魔術大学院に入学し、魔術の勉強をする事も考えているという。
(エイリン達も入学して来たら楽しみだ)
そんな中魔術大学院ではそろそろテストが行われる。テストと言っても実技ではあるが。
「テスト範囲はここまでとなります。1回目で手順通りに完成させれば100点です」
(頑張らないと)




