ソヴィ視点①
ソヴィ視点の話になります。今後もちょくちょく続きます。
私は綺麗なものが好きだ。宝石に水晶。金銀プラチナに真珠にガラス。綺麗でキラキラと光るものが好きだ。
「初めまして、ご機嫌よう。マリーナ・ジェリコと申します。よろしくお願い致します」
最初見たマリーナはそれはそれは綺麗だった。綺麗な金髪に赤目。金髪も赤目もキラキラと輝いていたし、赤目がキラキラと輝いているのは今も変わらない。
だが、彼女は聖女候補では無い。忌み子だ。両親からもそう言われてきたし、疑う事はこれまでもこれからも無いだろう。
「マリーナは自身の家族を死に追いやった忌み子」
そう、今も頭の中にこびりついている。
それに、マリーナと会うのはほんの少し怖かった部分もある。だって私より遥かに強大な魔力を持っている。忌み子と罵られようがそこは不変の真実。だから両親は地下牢にてマリーナの使える魔力を制限した。それでも彼女が強大な魔力を持っているのは、彼女の身体から漏れでる魔力の量で理解出来た。
(まるで底なし沼だ)
だからこそ、私はマリーナが羨ましい。マリーナ程では無いにしろ私ももっと強力な魔力が欲しかった。
思い返せば学園に通っている時。その頃の私は簡単な魔法しか使えずいつも悪口を言われていた。
「ソヴィはこんな魔法しか使えないの?」
「子爵家令嬢なのに」
「勉強が足りないんじゃないの?」
勉強はお前らよりもしてる。なのになのに。
私は両親に相談したら、困った顔をして勉強が足りないとやんわりと言われた。
(なんでよ)
ある日。私は父親が書斎から出て来た場面を見た。父親の書斎にはこれまで入った事が無く、単なる好奇心で書斎に入るとそこには水晶玉が置かれてあった。しかもそこには地下牢にいるマリーナから吸い上げた魔力が籠もっていたのだ。
私はすぐさま自分の身体にその魔力を移した。そうすれば学園のあいつらを見返せるし、両親からも褒められる。
(すごい、魔力が高まるのが分かる)
魔力を移す事に成功した私は、学園で私の悪口を言っていた奴らを成敗した。私の成績がぐんぐん良くなっていっても生意気だとか言っていたので、実際に魔法を使って痛めつけて分からせた所、簡単に私の取り巻きになった。
「ソヴィ様、申し訳ありませんでした!」
「お許しください!」
そう泣いて懇願するあいつらは、笑える程みっともないし情けなかった。
こうして学園のほぼ全てを味方に付けた私は学園を首席で卒業し、社交界でも可愛がられて、イリアス様と結婚する運びになった。
政略結婚とはいえ王太子妃。勿論断る訳が無い。ああ、最高だ。私は今最高に幸せだ。
「ソヴィ様。もう少しで宮廷に到着いたします」
「わかったわ」
宮廷にはイリアス様がいて私を待っていてくれている。ああ、どのような方なのだろうか。両親からは見目麗しい方だと聞いているが、早く会いたい。
馬車は時折揺れながらも、街中を着実に進む。そして目の前に白亜と黄金に彩られた眩い宮廷が現れた。黄金の門がうやうやしく開かれ、馬車はその中に入ると、建物の前で停止する。
「到着いたしました」
馬車を降り、従者に導かれて宮廷の中の玄関ホールに入るとそこには長い黒髪で長身の高貴そうな男性が待っていた。
「君がソヴィか?」
「はい。ソヴィと申します」
「私がイリアスだ。よろしく頼む」
イリアス様は私に右手を差し出した。私がその手を取ると周りから歓声が上がる。
「素敵です!」
「美しい花嫁ですわ!」
こうして宮廷入りした私は休む間もなくすぐさま国王陛下の元に謁見した。両親も一緒だ。
「初めまして。国王陛下。ソヴィ・リリーネと申します」
「イリアスをよろしく頼む」
「はい、陛下!」
白髪交じりの国王陛下は痩せていて、あまり愛想は無かったけれど、ちゃんと私の事は認めてくれたと思う。なお王妃様は、ご病気で大分前に亡くなられたとイリアス様から聞いた。彼女にも挨拶したかっただけに残念だ。
挨拶が済むと私は自室に通される。子爵家のお屋敷の部屋よりも広く、調度品も豪華だ。両親にもこの部屋を見せてあげたいが、どこかへと去ってしまった。
「王太子妃様。お着替えの時間でございます」
メイド達が新たなウェディングドレスを持って来る。しかも黒いウェディングドレスだ。今着ているウェディングドレスでは駄目なのだろうか?
「私今着ているのウェディングドレスよ?」
「式ではこちらに着ていただくようにと、イリアス様からの仰せにございます。魔術の儀式もありますのでこちらの方が良いと」
「わかったわ。着替えましょう」
そう言われれば仕方が無い。私はメイドに手伝って貰いながら黒いウェディングドレスに着替えた。黒1色のウェディングドレスなんて初めて見る。おまけにフリルやレースも私が先程まで着ていたものより細かく見えた。
メイドに髪と化粧を直して貰うと、宮廷の隣にある教会に馬車で向かう。教会内には沢山の出席者が規則正しく座っているのが見えた。教会の入口で両親と再会した私は、これからの生活に思いを馳せる。
(きっと楽しくなるものに違いないわ!)
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