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4.部屋の主、眠りにつく

 姉妹がお風呂に行ってる間、ぼくは使用人たちに整えられていた。さっき使われた結果、少しシーツがしわくちゃになったからだと思うけど、そこまでする必要あるの?ってぼくは思う。あとでまた使うんだったら意味なくない?疑問に思わずにはいられないけど、それだけちゃんとした家なのかな?まあ、そのあたりをいろいろ考えてもしょうがないから、ぼくの置かれてる状況を振り返ってみることにした。

 ぼくは知らない神を名乗る誰かに誘拐されて、知らない世界の家のベッドとして転生?みたいなことをさせられた。ぼくは他の人からベッドとして認識され、しかも使われている。うん。意味不明。なにこの状況。

 こんなわけのわからない状態で、どうやって元の世界にもどればいいのか?どうやったら元の姿に戻れるのか。そこからまずわからない。詰んだわ。

 どうしようもないから諦めるしかないのかな?でも、諦めたくない。だったらどうする?...いろいろ考えた結果、とりあえずベッドとして生活しながら情報を得るしかないのな?といった結論がでた。

 やっぱりしばらくはベッドとして頑張るしかないんだね。ぼくはちょっとがっかりしながらもさっきの姉妹のことを考える。2人ともかわいかった。かわいい子を近くで見れるからある意味幸せかもしれないなぁ。あの子たちと暮らすのはそこまで嫌な気分じゃないから、あの子たちの成長を見守りながらぼくも頑張って生きようかな。

 ぼくが決意を固めていると、ドアの音が聞こえた。もしかしたらさっきの姉妹が戻ってきたのかな?でも、聞こえてくる足音がちょっと違うから、違うかもしれないね。そんな風に誰が来るのか予想してると、白い服を着た女の使用人の姿がぼくの真ん中の端あたりに見えた。手に何か抱えている。なにを持ってるのかな?と思ってると、抱えてる何かが見えた。あっ、メアリーだ。ピンクと白の混ざりあった色合いのパジャマを着てた。ぐっすり寝てるみたい。もしかしてお風呂の中で寝ちゃったのかな?そんなメアリーを使用人は丁寧にぼくの上に置いて、枕に頭を乗せた後、かけ布団で覆って寒くないようにしてた。うわぁ。さすが使用人。手つきが無駄に洗礼されててすごいとしか言葉が出ない。きれいに布団の中にメアリーを入れると、使用人は一度離れて行って、何かを持ってきた。どうやらぬいぐるみみたい。けっこう大きなぬいぐるみでクマさんの形をしているそれを、メアリーの手のところに使用人が置いた。すると、メアリーは寝てるはずなのに手を動かして、クマさんのぬいぐるみをぎゅっと抱いた。うわぁ、この子ほんとにかわいいなぁ。しかもなにかもぞもぞとしゃべってる。言葉になってないけど、うれしいのかな?なんかほのぼのする。ぼくはメアリーの温かい体温と重さを感じながら癒されていた。

 そんな時間が10分くらい続いたころ、ドアの音が再び聞こえた。今度はマリーが戻ってきたのかな?音じゃわからないけど、たぶんそうだと思う。マリーは妹が寝てるのを知ってるみたいで、静かに使用人たちと何か話してるみたい。小さい声でしゃべってるから何を言ってるのかはわからないけど、何かの相談事とかかな?

 少ししたら、マリーも寝るみたいで、ぼくの方に近づく足音が聞こえてきた。足音が止まったなって思うと、マリーの足がぼくの足元から現れた。さっきみたいにドスドス乗ってくるのではなく、そおっと静かにぼくの上を歩いてベッドの真ん中あたりまで行くと、ゆっくり座って転がった。メアリーを起こさないでいいように気を付けて乗ったんだね。優しいお姉ちゃんだなってぼくは思った。ちょっとだけおかしかったことは、そおっとマリーがぼくの上を歩くとき、足がプルプル震えながら歩いてたから、バランスをとるのが難しかったのかもしれないね。ぼくはマリーが倒れないように、かかととつま先をしっかり支えてあげたよ。マリーは白のパジャマを着ててところどころに花びらの形をした絵が付いてた。こっちもかわいいなぁ。

 そんなマリーも寝るみたいで、使用人にお休みを言って、明かりを消してもらってた。この部屋の明かりはどうやらランプみたい。電気とは少し違った色の明かりだからちょっと新鮮。あと、シャンデリアの火の消し方が凄かったよ。使用人の人が先っぽがおしゃくみたいな形をした長い棒みたいなものをシャンデリアの火の部分にかぶせたら、火が消えたんだ。すごーってぼくは感心したよ。ちなみに火をつけるところはまだ見てないから知らない。明日のお楽しみだね。

 マリーは横になって明かりが消え、使用人たちが部屋から出ていくと、メアリーに語り掛けた。

「きょうはがんばったね。あしたはゆっくりあそぼうね」

 メアリーは寝てるけど、メアリーに言い聞かせるようにしてそんなことを言ってたマリーはほんといいお姉ちゃんなんだなって思った。そのうちすぐにマリーも眠りについて、ぼくは二人の寝息を聞く。たまに寝返りでもぞもぞ動いたりするけど、昼間の元気な2人とは打って変わって静かな様子を見てると、全然違う子に見えてしまう。ちょっと不思議な感じだ。

 ていうか、ぼく寝れるのかな?そもそも物って寝たりするのかな?よくわからないけど、いまのところぼくは全然眠くならない。もしかして寝ることもできないのかな?そんな怖いことを想像してしまい、ぶるぶるしてしまった。体は動かないから心の方だけど。ぼくは寝るのも好きだから寝れるといいなぁ。だから、ぼくは眠れるように羊を数えることにした。羊が一匹、羊が2匹... 羊が100匹、羊が101匹... ダメだ、全然眠れない。もしかしたらほんとに寝れないのかもしれない。そんなのいやだなって思ったけど、どうしようもできない。ぼくは困り果てて、ぼくの上で寝てる姉妹の様子を見ながらどんな夢を見てるのか想像することにした。

 マリー:きょうはバイオリンのえんそうかいのひ。とてもきんちょうしてるけど、いいえんそうができるようにがんばるわ。そうやっておとうさまからほめてもらうのよ。あっ、ステージからはくしゅのおとがきこえてきたわ。つぎがわたしのばんかな,,,おきゃくさんたくさんいるよね。うまくえんそうできるかしら。ふあんだけど、せっかくえんそうするんだからたのしまないともったいないよね。よし、がんばるぞ!ところで、メアリーはだいじょうぶかしら。ちょっとしんぱいだけど、わたしのぶたいをこなしてからかんがえよう...こんな夢を見てそうだなぁ。実際はわからないけど。あっ、いまマリーが笑ったような顔をした!なにかいいことがあったのかもね。想像してると面白くなってきたぼくは、今度はメアリーの夢を想像してみようかな。

 メアリー:はじめてのダンスうまくできてよかったぁ。おねえちゃんはべつのところでえんそうかいにでるっていってたから、わたしのダンスをかぞくにみてもらうことはできなかったけど、たのしかった!あしたおねえちゃんにもみせてあげよっと。あっ、おねえちゃんはっけん!こっちにきてくれたんだ。うれしい。おねえちゃんはえんそうかいうまくいったのかな?うん、えがおだからきっとうまくできたんだろうね。はやくおねえちゃんのところにいきたいなぁ。でもかかりのおばさんがひょーしょーしきまではステージのうらでまってなさいっていうからいけないの。おねえちゃんがステージにちかいせきにいるから、かおはみえるのにぃ...この子はこんな夢を見てるのかな?あっ、メアリーが足をバタバタしてぼくを叩いてくる。痛くないけど、ぼくはメアリーのかかとがぼくに当たるたびにちょっとブルブル震えちゃった。夢の中でお姉ちゃんのところに行けないから、地団駄踏んでるのかな?もしかしたらぼくが想像してる夢をほんとに見てるのかもしれないね。そう思うとおかしくて、面白いなぁ。だったら、夢の中で再会させてあげようかな?ぼくはそう思ってメアリーの夢の続きを想像してみた。

 メアリー:やっとみんなのえんそうがおわったみたい。いまからひょーしょーしきをしますってかかりのおじさんがいってる。よばれるかな?わからないけどどうなるかわくわくするよ・・・あーあ、よばれなかったよぉ。でも、みんなじょうずだったからしかたないのかも。それにたのしかったからいいもん。それよりおねえちゃんのところにいこ!わたしがおねえちゃんのところにむかってステージからとびおりてはしったら、おねえちゃんがかけよってくれてぎゅってしてくれた。おねえちゃんのぎゅっはあったかくてふわふわしててきもちいいなぁ。わたしはしばらくぎゅっておねえちゃんにだきついてた...うわっ、ぼくがそんなこと考えてたらほんとに寝ながらメアリーがマリーに抱き着いてるよ。ぼくが想像したことが夢になってるのはびっくりだし、新鮮だけど、あんまりメアリーがマリーに抱き着いちゃうと、マリーが起きちゃうよ。ぼくはマリーにもちゃんと寝てほしいから、この想像はやめてからちがう想像をすることにした。

 そんなこんなで2人はちゃんと翌朝まで眠ってた。ぼくは2人の夢を想像したら、その内容がほんとうに夢になるのが面白くて、いろいろ想像してみたけど、ほんとに面白くて大変だった。お菓子の家の夢を想像してみたら2人そろって口をもぐもぐさせて、ぼくの枕やシーツを食べようとしてたから、あわてて想像をやめたり、外へのお出かけを想像してみると、2人はお出かけ先でたくさん動く夢を見たみたいで、大暴れしてしまい、2人がベッドから落ちそうになってしまったり、、、2人の行動は想像とは違う動きをすることがあって、びっくりすることもあったけど、たのしかった。ただ、2人にはちゃんと寝てほしいので、変な夢をみさせないようにしないとろくでもないことになってしまうかもしれないよね。だから、極力変なことは考えないようにしようとひそかに決意をぼくは固めるのであった。

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