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17.姉妹、両親に会う 後編

漫画に熱中してたら、更新遅くなってしまいました。すみません。

 姉妹が朝食を食べに部屋を出て行って、しばらく時間が経過した。いつもだったら2人が部屋に戻ってきそうな時間を過ぎてるけど、誰も部屋に入ってこない。もしかして、もうすでに両親に会えて、そっちで過ごしてるのかな?そうだったら、2人はどんなお話を両親としてるのかな?ぼくはそんなことを考えながら、静かな部屋の中で姉妹が戻ってくるのを待っていた。


 そこから更に時間が経過した。天井に映る外の光がだいぶ強くなってるから、お昼ごろになったのかな?姉妹が部屋を出ていってから今まで、部屋には誰も来ていない。もしかして、夜まで姉妹は部屋に戻ってこないのかな?もしそうだったら、ぼくは寂しい。はやく姉妹に戻ってきてほしいな。きっと姉妹の声を聞けたら、ぼくは元気になれると思うんだ。

 ぼくがそんなふうに寂しがってると、ドアが開く音が聞こえて、誰かが部屋の中に入ってきた。足音の感じからして、使用人の誰かかな?何をしに来たんだろう?ぼくは不思議に思いながらも、その人の様子に意識を向けた。

「よしっ、今日もお掃除するぞ!」

 あっ、この声はデックスかな?今日も部屋の掃除をしてくれるみたい。うれしいなぁ。デックスのお掃除は、丁寧にしてくれるから気持ちいいんだよ。だから、ぼくはちょっとテンションが上がった。もし、ぼくが会話できるんだったら、「デックス、ありがとう!」って言いたいな。

 デックスは昨日と同じように部屋のお掃除をしていく。掃除機みたいな音を出しながら、あちこちお掃除してくれてるみたい。少しすると、ぼくの番になったみたいで、デックスがぼくに近づいてきた。ごぉぉという音を立てながら、ぼくの上にある布団やシーツ、ぼく自身のお掃除をしてくれてる。あぁ、汚れが吸い取られてる感じがして、気持ちいなぁ。ぼくがそんなことを思ってた時、デックスが急に動きを止めた。うん?何かあったのかな?

「うん?この白いもじゃもじゃはなんだ?」

 デックスがぼくの頭側の方をお掃除しているときに、何かを見つけたみたい。なにを見つけたんだろう?ぼくはデックスの動きに注目した。

 デックスはぼくの枕元側の端っこに手を突っ込んできた。壁とぼくの間になにか挟まっているみたい。ぼくはデックスの手がぼくの側面をあたっているのを感じながら、何が挟まってるんだろうと想像してみる。マリーとメアリーがぼくの上でおままごとをしてた時に使ってた、おもちゃがあったのかな?それとも、ぼくが知らないだけで、絵本とかが挟まってたりするのかな?

 少しすると、デックスが挟まっていた何かを取り出すことに成功した。デックスが手にしていたもの、それはうさぎのぬいぐるみだった。あっ、これって確か、昨日メアリーが手に持ってたぬいぐるみじゃない?昨日の朝、メアリーが2度寝するときまではあったけど、そのあとは見かけなかったような...そんなところにあったんだね。

 デックスは取り出したうさぎのぬいぐるみをまじまじと見た後、こんなことを言っていた。

「これって、お嬢様方のぬいぐるみだよね?マリー様とメアリー様、どちらのものだろう?」

 デックスは姉妹とあまり交流がないようだから、メアリーのものだとはわからなかったみたい。そりゃあ、交流なかったらわからないよね。ぼくは知ってるけど、ベッドのマットレスだから教えてあげることができないんだよね。デックスがぬいぐるみをどうするのかなと思って見ていると、デックスはちょっと悩んだ様子で頭をフリフリした後、いったん違うところにぬいぐるみを置いてきて、お掃除を再開した。別の使用人にでも渡すのかもしれないね。ぼくはそう考えた。でも、ぼくの予想は間違ってた。デックスはぼくのお掃除が終わった後、枕の上にうさぎのぬいぐるみを座らせて、姉妹がすぐに見つけられるようにしていたからだ。そっか、きっとデックスは、姉妹が自分たちで見つけられた方が喜ぶと思ったからそうしたんだね。デックスの姉妹への思いやりを感じたぼくは心が温かくなった。

 デックスはぼくの掃除が終わった後も、部屋の細かいところまでしばらくの間お掃除をしていた。これだけお掃除してくれてたら、姉妹も喜んでくれそうだよね。しばらくすると、部屋のお掃除が終わったようで、デックスは部屋から出て行った。デックスは部屋を出るときに「よしっ、次のお部屋にいくぞ!」と元気よく言ってたから、まだ違う部屋のお掃除が待ってるのかな。頑張って、デックス!ぼくはそう思いながら、デックスの応援をした。

 デックスが出ていくと、また部屋の中が静かになってしまった。ぼくはそのことを寂しく思いながらも、今頃姉妹は何をしているのかなと想像する。お外に出かけてピクニックにでも行ってるのかな?それとも両親の部屋で、お菓子を食べながらお話してるのかな?そんなことを考えながら、ぼくは静かな部屋の中で姉妹を待っていた。


 それからしばらくすると、部屋の中が暗くなってきた。もう夕方なのかな?まだ、姉妹は部屋に戻ってきていない。この感じだと、本当に夜にならないと戻ってこなさそうだね。途中で使用人が部屋の中に入ってきて、特殊能力でシャンデリアに火をともしてた。話し声とかなかったから断言できないけど、たぶんヘンデルかな?シャンデリアの火がついてからは、部屋の中は明るくなったけど、ぼくの心の中は暗いままだ。姉妹が安全な両親ところにいるとはわかっていても、ぼくは寂しく思った。それだけ、ぼくにとってこの部屋の姉妹は、大事な存在になったのかな?早く姉妹の声や温もりを感じたいな。ぼくは物になってしまってからとても寂しがり屋になってしまったみたいだ。


 それからさらに時間がたったころ、部屋のドアが開く音が聞こえて、誰かが部屋の中に入ってきた。今度は誰が来たのかな?姉妹だったらいいな。ぼくはそんなことを思ってると、こんな声が聞こえてきた。

「さあ、メアリー様、マリー様はもうしばらくの間、お母様とお話されてると思いますので、先にお風呂に入りに行きましょう」

「うん、そうするね。エレナ」

 あっ、メアリーが戻ってきたみたい。メアリーの声を聞けただけで、ぼくの心から寂しい気持ちがなくなっていった。代わりにうれしい気持ちがこみあげてくる。メアリーは今からお風呂なんだね。ちょっと疲れてるような声だったから、ゆっくり入ってきてほしいな。ぼくがメアリーに対してそんなことを考えてた。

 メアリーはお風呂に入る準備をしながら、エレナと今日あった出来事のお話をしていた。ぼくは今日、姉妹がどんなことをしたのか知らないから、ワクワクしながら会話を聞いてみる。

「久しぶりにご両親に会えてよかったですね」

「うん!おとーさまもおかーさまもだいすきだから、あえてうれしかったの!」

「メアリー様は、お土産は何を貰われましたか?」

「えっとね、おもちゃをたくさん!でもね、ほんとはおかしのほうがよかったの」

「お菓子はお土産になかったのですか?」

「ううん、ちょっとはあったんだけどね、もうなくなっちゃたの」

「それは残念でしたね。でもご安心ください。私達がお菓子をたくさん作らせていただきますので、明日からもお菓子をたくさん食べれますよ」

「ほんとに?」

「ええ、ほんとです」

「わーい!うれしい!ありがと、エレナ!」

「喜んでいただけて何よりです。メアリー様」

 メアリーはお菓子が毎日たくさん食べれるって聞いて嬉しそう。よかったね。でも、メアリーが何をしてたかまではよくわからないなぁ。

 メアリーはエレナとさっきの会話をした後、お風呂に入るために部屋を出ていく音が聞こえたから、姉妹がどんなことをしたのかまではわからないままだった。

 それからしばらくすると、誰かが部屋に来た。今度はマリーが戻ってきたのかな?

「あれ、エレナ、まだおねえちゃんもどってきてないの?」

「そうですね。マリー様はまだお母様とお話されてるのかもしれないですね」

 メアリーがエレナを連れてお風呂から戻ってきたみたいだね。マリーはまだ帰ってきてない。なにがあったんだろう?

 ぼくがマリーのことを気にしていると、メアリーも同じ疑問を持ったようで、エレナにこんなことを聞いていた。

「おねえちゃんはおかあさまと、なにをそんなにはなしてるのかな?ひるまもさっきもおはなししてたのに」

「...わかりませんが、マリー様は先ほどメアリー様が提案されてた、使用人の待遇改善についての交渉をまだされてるのかもしれませんね」

「おかーさまゆるしてくれなかったもんね。わたしがわがままだったからかな?」

「いえ、メアリー様のお心は素晴らしいものだと思います。お母様がダメだと言われた理由は別のところにあると思います」

 メアリーは、ママに使用人の変な決まりをやめてほしいってお願いしてきたんだね。でもダメだったのか...残念だけど、メアリーはちゃんと言えてすごいと思う。それに、マリーもまだ交渉を続けているのだと思うと、マリーも尊敬できるなぁ。

「べつのりゆうってなあに?」

「...私にはわかりませんが、きっと何かあるのでしょうね。ですが、メアリー様がわがままだからという理由ではありませんよ。むしろメアリー様は誇っていいぐらいです。私達のために行動をしてくださり、ありがとうございます」

「なにもできなかったのに、おれいなんて...」

「それでもいいんです。おれいをいわせてください。ありがとうございます」

「うん...どういたしまして?」

「そこは首をかしげながら言わなくていいんですよ、メアリー様」

「うん、どういたしまして」

 メアリーがちょっと元気を取り戻した声を出してたので、ぼくは安心することができた。メアリーには悲しい気持ちよりも、楽しい気持ちでいてもらいたいから、そうなってよかったぁ。もちろんマリーにも同じ気持ちになってほしいんだけど、マリーはまだ戻ってこないみたい。ちょっと心配だなぁ。

「メアリー様、もうお疲れでしょうから、先に寝ましょうか」

「おねえちゃんにあってからね」

「それでしたら、ベッドの中に入って待っておきましょう」

「うん」

 メアリーはマリーに会うまで起きておくつもりみたい。でも、エレナはメアリーを早く寝かせたいみたいだね。ベッドの中に入るようにメアリーに言ってた。

 メアリーはエレナの言うことを素直に従って、ぼくに近づいてきた。途中で、メアリーは何かに気づいたようで、「えっ?」と驚いた声をあげた。もしかして、うさぎのぬいぐるみに気づいたのかな?

「エレナ、どこかいってたうさぎのぬいぐるみがあった!」

「メアリー様、よかったですね。デックスが掃除中に見つけたとのことですよ」

「そうなんだ。デックスにありがとうってつたえて!」

「承知いたしました。メアリー様」

 メアリーはぼくの上に乗ってきてから、うさぎのぬいぐるみが乗ってる枕の前まで走って飛びついた。ぼくはメアリーの体をしっかり支えて、ケガしないよう、ふわふわになるように気を付けてた。そんなぼくのことを気にすることなく、メアリーは枕に頭を突っ込ませながらボスッて音を立てながら、ぼくの上で転がって、「ふふっ」て笑ってる。とてもうれしそうな顔をして、うさぎのぬいぐるみをギュって抱いてるのを見ると、ぼくはとても微笑ましくなった。メアリーはかわいいなぁ。

「メアリー様、布団を着ないと風邪を引かれますよ。ちゃんと布団を着てください」

「いいもん、エレナがおせわしてくれるでしょ?」

「はぁ、わかりました。そうしますので、メアリー様はおとなしくしてくださいね」

 エレナがメアリーのお世話をするために近づいてきた後、メアリーに布団をかぶせてた。エレナに布団をかぶせられている間も、メアリーは手で握ぎっているうさぎのぬいぐるみを見つめて嬉しそうにしてた。そんなメアリーにエレナはこんなアドバイスをしていた。

「メアリー様、うさぎのぬいぐるみを胸のあたりで抱っこすると、ふかふかで温かくなって気持ちいいですよ」

「そうなの?やってみるね」

 エレナ、絶対にメアリーを寝かせようとしてるでしょ。ぼくはそう思ったけど、メアリーはエレナの言うとおりにした。

「ホカホカしてて気持ちいいよ、エレナ」

 そう言いながら、メアリーはふにゅって微笑んで、そのままウトウトしてしまう。結局マリーが戻ってくる前にメアリーは我慢できずに寝てしまった。その様子を見て、エレナはホッとしたようで、「これで荒れているであろうマリー様から守れますね」と安心したように言ってた。

 ぼくはえっ?と疑問に思った。どうしてマリーは荒れてるのだろう?いったい何があったんだろう?ぼくは何もわからず、何かが起こっていることが怖くなった。それにマリーが心配だ。マリーは今どこで何をしてるんだろう?ぼくは不安に駆られながらマリーを待った。

 しかし、その日マリーがぼくのところにくることはなかった。

うさぎのぬいぐるみですが、実は作者も存在を忘れてました(汗)

主人公視点だと、この日の内容が全然わからないので、それぞれのキャラクター視点での緩和を挟む予定です。

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