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17.姉妹、両親に会う 前編

 姉妹が眠って長い時間がたった。ぼくは両親が明日に帰ってくることを姉妹の会話から把握していたため、今日は姉妹の夢には干渉しないでおこうと思ってた。きっと、2人とも両親に再開してる夢とか、一緒に遊んでいる夢とかを見てると思うから、ぼくはそんな夢の邪魔をしたら悪いと思ったからだ。でも、とくにすることも考えることもないから、暇だなぁ。時間がたつにつれて、姉妹の夢を想像したくなってきてしまったけど、ぼくは我慢した。メアリーのあんなにうれしそうな様子の寝顔を見てたら、そんなことできないよ...でも、マリーはちょっと違うようで、ちょっと泣いてる顔をしていた。あれ、どうしたのかな?マリーの様子はメアリーと違って、全然楽しそうな表情をしてない。もしかして、マリーが寝る前に話していた、ママとの関係がうまくいかなくて失敗しちゃった夢でも見てるのかな?マリーの夢はどんなものかわからないけれども、もしそんな夢だったら悲しいもんね。そう思ったぼくは、マリーが楽しい夢を見られるように、マリーの夢を想像することにした。

 マリー:今日は家族でお出かけの日。近くのお花畑で、楽しいピクニックをしてるところなの。わたしとメアリーは一緒に走り回ったり、遊んだりしてたけど、さっきからメアリーがしゃがんでなにか作ってるから、わたしはなにを作っているのか気になったの。メアリーに聞いたら、「ひみつだからおしえなーい」と言われた。ちょっとがっかりしたけど、メアリーだってずっとわたしと遊びたいわけじゃないよね。だから、わたしはメアリーとは別の遊びをしてたの。それから少ししたら、お父様に「マリー、こっちへおいで」と声をかけられた。なんだろう?って思ったわたしは両親のいるほうを振り返った。そしたら、お母様が「おいしいお弁当を用意したわ。メアリーもおいで」と言って、わたしとメアリーを手招きしていた。わたしはうれしくなって、「はーい」と答えながらお父様とお母様のところへ駆け寄った。すぐにメアリーもやってきて、わたしたちはみんなでご飯を食べる。「うわぁ、おいしい!メアリーもそうおもうでしょ?」とわたしが問うと、メアリーは「うん!おかーさまのおりょうりだいすき!」と言って喜んでいた。わたしも家族みんなでたべれるご飯がうれしくて笑顔になる。わたしがニコニコしながらご飯を食べていると、メアリーが突然私の裾を引っ張ってきた。ちょっとびっくりしながらも、わたしはメアリーに「どうしたの?」と問いかけた。すると、メアリーは「おねえちゃんにわたしたいものがあるの」と言って、先ほどから持ってた何かをわたしに見せてきた。なにをくれるのかな?と思って見てみると、かわいい花冠がメアリーの手のひらに乗ってた。「これ、くれるの?」とわたしが聞いたら、「うん!おねえちゃんへのプレゼント!」と言ってわたしの頭の上に花冠を乗せてきた。わたしはうれしくて、「ありがとー、メアリー。だいじにするね」と言ってメアリーをギュって抱いた...

 ぼくがこんな夢を想像していたら、マリーの寝顔がちょっと落ち着いて、だんだん嬉しそうな顔になった。よかったぁ。マリーがもう悲しい夢を見ないで済みそうだと思ったぼくはそう安堵した。それからというものの、時折マリーが寝たままメアリーの手を手探りで探して、ぎゅっとつかんだりしてたけど、2人とも幸せそうな寝顔をしていた。きっと他のいい夢を見てるのかな?ぼくは2人がどんな想像をしているのかなと思いながらも静かに朝が来るのを待つ。

 やがて、外が明るくなってきた。鳥の鳴き声が聞こえだして新しい一日の朝が始まったことを感じさせてくれる。姉妹は相変わらずぼくの上でぐっすりと眠っているけど、また新しい一日が始まるんだね。ぼくは今日が姉妹にとっていい日になるといいなと思いながら、姉妹が目覚めるのを待った。

 それから少しすると、今日は珍しく、先にメアリーが目を覚ました。パチッと目を開いて「きょうはおとーさまとおかーさまにあえるひ!」と大きな声で言った。よっぽど楽しみにしてたのかな?。その後、メアリーは体を起こすと背伸びをしてから、マリーを軽く揺さぶりながら起こしにかかった。

「おねえちゃん、あさだよ!」

 そんなメアリーの声と動きに起こされて、マリーはゆっくりと目を覚ました。

「うぅ、あっ、メアリー、おはよぅ」

「おはよう!おねえちゃん」

「きょうはめずらしくはやおきなのね」

 マリーはそう言いながら、少し緩慢とした動きでゆっくりと起き上がると、一度大きく背伸びをしてから目を覚ました。マリーはちょっと寝不足なのかな?昨日はお昼寝もちゃんと取れてなかったみたいだし。でも、マリーは一度起きると意識がはっきりしたみたい。動作がいつも通りになった。

「うん!だっておとーさまとおかーさまがかえってくるのよ!はやくあいたくてワクワクしてたら、めがさめちゃったの」

 メアリーはやっぱり両親に会えるのが楽しみで仕方ないみたいだね。ぼくはそんなメアリーを微笑ましく思いながらも、マリーの方をちょっと心配した。理由は、メアリーはきっと元気に今日を過ごせるだろうけど、マリーはママに嫌われちゃってるみたいだから、しょんぼりして寂しい気持ちになってしまうかもしれないって思ったからだ。できれば、マリーもメアリーと同じように思えてるとよかったんだけどなぁ。せめてマリーにとって悪い日にならないといいな。ぼくはそう思って、マリーにいいことがありますようにと願っておいた。誰にって?使用人の皆さんにだよ。神だったら、自称神みたいなひどい奴も当てはまっちゃうからね。

 ぼくがそんなことを考えている間に、姉妹が起きたのを把握した使用人たちが、部屋に入ってくる音が聞こえてくる。

「お嬢様方、おはようございます。本日はお父君とお母君がお戻りになられますので、こちらの衣装を着ましょう」

「ミシェルとエレナだ!おはよう」

「おはよう、ミシェル、エレナ」

 メアリーは元気に、マリーはちょっと眠そうだけど、挨拶してた。2人とも元気そうだね。ぐっすり眠れたみたいでよかった。ぼくがそんなことを考えてたら、ぼくの方に近づいてくる足音が聞こえてきて、ミシェルとエレナらしき人がぼくの真ん中あたりの側面に1人ずつ現れた。エレナらしき人は、20歳前半ぐらいのお姉さんで、美人さんだ。へえ、この人がエレナなんだね。

 2人は手に服を持ってた。もしかして、今日もぼくの上でするのかな...と思ってたら、姉妹はぼくの上でパジャマを脱ぎ始めた。やっぱりそうなっちゃたかぁ。姉妹は、本日もぼくの上でお着換えタイムをするようです。

 ぼくは視界をいつも通りシャンデリアのほうに向けて2人の着替えを見ないようにしてた。てか、姉妹の為にも見ちゃダメだ。ぼくはそう思って、どうにか見ないようにしてた。はぁ、ぼくの上でお着替えしないでほしいなぁ。

 それから少しすると、メアリーが「どう?にあってる?」と問いかける声が聞こえてきた。着替えが終わったのかな?ぼくはそう思ってメアリーが乗ってるところに視線を移した。

 メアリーは袖と裾部分に白いお花が入った水色のスカートと、足首までの短い白の靴下を着ていた。メアリーがいつもよりかわいく見える気がする。天使みたいだなぁ。

 普段はこんなことを聞かなさそうなメアリーが服が似合ってるのかを聞いてるのは、久しぶりに両親に会えるから、ちゃんとおめかししたくなったのかな?きっと両親も喜ぶよね。

「とてもすてきよ。メアリー」

「おねえちゃんもかわいいよ」

「そう?ありがと」

 マリーはそう言ってメアリーをぎゅっと抱きしめた。メアリーはマリーのぎゅっにちょっと照れながらも嬉しそうな顔をしてた。マリーもメアリーがほめてくれたから嬉しそう。マリーも笑顔になれてよかった。ぼくはそんな2人にちょっと安心した。

 ちなみにマリーは、白のワンピースドレスに膝上まである水色のレギンスを着ていた。こっちも普段のマリーよりかわいく見えるね。2人ともよく似合ってるなぁ。

「朝食の用意ができておりますので、そろそろ行きましょう」

 ミシェルが2人にそう呼びかけた。すると、メアリーのお腹がぐうぅと鳴った。メアリーのお腹が反応したみたい。それを見たマリーが「ふふっ、メアリーのおなかはしょうじきね」と笑ってる。メアリーはちょっと不満そうな表情をしながら「だってあさごはんのじかんだもん」と言った後、マリーの笑いにつられて笑い出した。ぼくもちょっとおかしくて笑いたくなったよ。

 ひとしきり笑った後、「はやくいこう!メアリー」とマリーが言って立ち上がった。メアリーも「うん、おねえちゃん!」と返事をしながらつられて立った。そして2人は元気よく歩いてぼくから降りて食堂へ向かう。メアリーのテンションが爆上がりのようで、ちょっとスキップしたような歩き方だった。ぼくはそんなメアリーがかわいいなと思いながら、マリーとメアリーを送り出した。2人は今日、どんな一日を過ごすんだろう?ぼくはそんなことを考えながら、姉妹が戻ってくるのを楽しみにしていた。

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