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6.部屋の主、部屋の中で遊ぶ 前編

 1時間ぐらいがたったころ、ドアを開ける音が聞こえた。マリーの声が聞こえてきたから、二人が部屋に戻ってきたのかな?そんなことを考えていたら、こんな会話が聞こえた。

「きょうはへやのなかでゆっくりするから、メアリーとふたりですごすわ。だからでていってちょうだい」

「かしこまりました。では、私たちはそのようにさせていただきます。何かありましたらベルを使ってお呼びください」

 へぇ、今日は2人でゆっくりするんだね。姉妹はどんな遊びをするのかな?ぼくだったら積み木で遊んだり、お絵かきしたり、ベッドで遊んだりしてたけど、あんまり想像つかないね。だってぼくは一人っ子で、友達と遊ぶことも少なかったから複数人で遊ぶ遊びはよくわからないんだ。

 だからぼくは姉妹がどんな遊びをするのか、ちょっとワクワクしながら見守ることにした。って言ってもぼくから見える範囲はベッドの真上だけだから、声や音から想像するしかないんだけど。

「メアリー、いっしょにあそぼう」

「いいよ、おねえちゃん。でもおやつのケーキはゆずらないよ」

「ふふ、いいわよ。わたしがわるかったんだから、メアリーにあげるわ」

「わーいっ!ありがとっ!おねえちゃんだいすき」

 バサっという音がしたから、たぶんメアリーがマリーに抱き着いたのかな?ほんとに仲がいい姉妹だよね。2人の顔を思い浮かべながら想像するとかわいいなぁ。2人の姿は見えないから、ぼくは想像力を働かせて二人の行動を想像してるんだ。ベッドになってるから、ぼくがやれることは特にないし、暇だからね。

「ねえメアリー、どんなあそびがしたい?」

「うーんとね、おままごとしたい!」

「おままごと?いいよ。どんなふうにしたいの?」

「わたしはどうぐやさんをするの。おねえちゃんはどうぐをかいにきたおきゃくさんをして!」

「わかったわ。わたしはどうぐをかいにきたおきゃくさんね?どうぐをかいにきました。おすすめのものをください」

「うん!いまからよういするね」

 そんな会話が聞こえたかと思うと、部屋の中を駆けまわったり、何かを触る音が聞こえだした。メアリーはどんな風に動いているのかな?ぼくは想像してみた。

ぼくの想像:メアリーはお姉ちゃんにそう声をかけると、部屋の中にあるおすすめを探して、あたりを見回した。すると、わたしの棚が目に入った。わたしの棚にはお気に入りのおもちゃやぬいぐるみ、絵本があるの。だからお客さんも喜んでくれるよね?わたしは棚に駆け寄って、棚の中のものを見回した。うさぎのぬいぐるみと、ちょっと大きな絵本がいいかなって思ったから、わたしはそれを両手に持って、お姉ちゃんのところにもどったの...こんな想像をしてたら姉妹の会話が聞こえてきた。

「おきゃくさん、こちらのものはどうですか?これはかたくてがんじょうなまないたです。おりょうりするときにもつかえるし、おはなしをよみたいなっておもったらなかをひらいておはなしをよむこともできるすぐれものなの。こっちはじょうぶなほうちょうです。きれあじはとてもいいけど、はのぶぶんはとがってないからけがをしないの」

「まあ!すてきなものね。どうぐやさん、どちらもください!」

「はいどうぞ。おだいはおねえちゃんのあしたのおやつでいいよ」

「ふふっ、こんなにいいものなんだから、それくらいとうぜんだわ。いいわよ、あしたのおやつもあげるわ」

 わーお、メアリーのおやつ交渉能力が高すぎてびっくりしちゃった。でも、それぐらいおやつが楽しみなんだろうね。マリーも優しいお姉ちゃんだよね。明日のおやつをあげるなんてぼくだったら絶対いわないもん。こんなお姉ちゃんがいるのがちょっとうらやましくなっちゃった。それにしても、メアリーがおすすめしたものって何だったんだろう。ぼくが想像した内容のうち、たぶん片方は絵本で合っていると思うけど、もう片方がわからないなぁ。何だろうね?ぼくは気になるけど、自分じゃ見れないから仕方ないかな。残念だけど諦めて、続きを聞いてみようかな?

「メアリー、どうぐやさんでやわらかいほうちょうとがんじょうなまないたをかったから、おうちでおりょうりしよう」

「うん。さっそくつかってくれるんだね。おねえちゃんありがとう」

「どういたしまして。じゃあ、おりょうりのざいりょうをそろえようか?」

「うん。なにをよういするの?」

「えーっとね、ジャガイモとたまねぎと、おにくの3つ!かってきてくれる?」

「わかった!おかねは?」

「おかあさまにしょうひんけんってのをもらったからこれをつかったらかえるわよ」

「そうなの?じゃあかってくる!」

 今度はどうやら、おうちでのお料理ごっこでもするのかな?メアリーがおつかいをして、マリーがお料理作るのかな?わからないけどどうなるのか想像してみようかな?

 でも、想像する前にぼくの足元のほうに顔が現れた。この顔はマリーかな?でも、なんでマリーがぼくのところに来たんだろう?なにかベッドに忘れ物でもしたのかな?よくわからなくて不思議に思ってたけど、すぐに理由がわかった。マリーはぼくに乗る前に「ガチャン、ただいま!」って言って手でドアを開ける動作をして、ぼくに乗ってきたからだ。わかった!ベッドがおうちになるんだね。じゃあ、さっきわからなかったじょうぶなほうちょうってどんなものかわかるね。ちょっと楽しみだなぁ。そう思ってマリーの手元を見てみると、片方は大きい絵本だった。もう片方はなんだろう?って思って見てみると、こっちは小さい剣の形をした木のおもちゃだった。女の子が持ってるのがちょっと意外だけど、人によっては持ってるのかもしれないよね。ぼくはちょっと納得した。

 マリーはぼくの上を歩いて枕のところまで歩いた。なにをするのかなって思ってたら、まくらに絵本とおもちゃを置いて、1人で布団をたたみ始めた。布団が遊ぶときに邪魔になるからかな?たぶんマリーのなかではおうちの片づけをしてるんだと思うけど。マリーが布団をたたみ終えると、マリーは布団を抱えた。小さい体で運ぶから見るからに大変そうだ。「よいしょ、よいしょ」って言いながら、マリーはよたよたした歩きでぼくの足元まで布団を運んで、ドサッと落とした。同時にマリーも尻もちをついた。よたよた歩いてコロンと転がってしまったマリーをぼくはしっかり支えて受け止めた。だってマリーにケガしてほしくないからね。マリーはコロンってなっちゃったけど笑顔で起き上がったからぼくはちょっと安心したんだ。マリーは枕と絵本とおもちゃをそれぞれぼくの真ん中に置いたら、座って一息をついた。メアリーを待ってるみたい。用意が終わったのかな?

 メアリーも材料を用意してきたみたいだ。なにかゴソゴソ音がしたかと思うと、誰かにむかって「このしょーひんけんでこれとあれとそれをちょうだい!」って言った後、「ありがとう」って言ってこっちに近づいてくる音が聞こえたからだ。もしかしたらぬいぐるみを店員さんに見立ててお話したのかな?そう考えるとメアリーの想像力もすごいなぁって感心した。

「おねえちゃん、ただいま!」

「おかえりなさい、メアリー。おりょうりのざいりょうはかってきてくれた?」

「うん!ばっちりだよ。クマのてんいんさんがおまけしてくれたの!だからいっぱいもらってきたの」

「そうなのね!よくできました。えらいわね」

「えへへっ。うれしいなぁ」

 メアリーはぼくのところに来たら、マリーと会話しながら、ぼくの上に乗ってきた。メアリーはお姉ちゃんと遊べるのがうれしいみたいで、マリーに褒められると、座ってるマリー目掛けてぼくの上で小走りに走り出した。ぼくはいつもより衝撃が強いメアリーの足を受け止めながらメアリーが動きやすいように、いつもよりちょっとだけ跳ね返りを強めにしてあげた。そのせいかはわからないけど、メアリーは勢いよくマリーに飛びついた。あっ、メアリー、お料理の材料を入れたかごを放り出しちゃてるよ!ぼくはかごからでてきたおもちゃを踏んでしまってケガしないか不安になったけど、メアリーはお姉ちゃんに夢中で気づいてないみたい。ぼくがちょっと気になってるとマリーが気づいたみたいで、メアリーに注意をした。

「メアリー、わたしをだいすきでいてくれるのはうれしいけど、おりょうりにつかうざいりょうがゆかにころがっちゃってるよ。あそびだからいいけど、ほんとのおりょうりのときはしたらダメよ」

「ごめんなさい、おねえちゃん。つぎからはおねえちゃんにとびつくまえにかごをおくね」

「ふふっ、メアリーはあまえんぼうさんね。でもわたしはそんなメアリーもだいすきだわ」

「じゃあ、またギューってしていい?」

「いいわよ。でも、さきにおりょうりをしましょうね」

「うん!がんばるよ、おねえちゃん」

 マリーがメアリーを上手に誘導してるのを見ると、すごいお姉ちゃんだなぁってぼくは感心した。メアリーを扱いなれてるというか、自然に次のことに話を進めて行けるのはすごいことだよね。それにメアリーも純粋でかわいいなぁって思っちゃった。

 メアリーが持ってきた材料は様々な形をした木の積み木だった。3色に分かれてて、何も塗られてない積み木と、白色の積み木と、赤色に塗られた積み木があったから、ちゃんとそれぞれの材料を用意したみたい。いったい何をつくるのかな?ぼくは気になって姉妹の会話と行動の続きを見てみた。

「じゃあ、つくるわよ。まずはジャガイモとたまねぎをきるよ」

「わかった!きってみる」

 メアリーはそう言うと、何も塗られてない積み木と、白色の積み木をかごから取り出した。マリーがメアリーと話しながら用意していた、枕の上に置いた絵本にメアリーが積み木を置くと、「えいっ!」といいながら、木の剣で切る真似をした。メアリーの握った剣が当たった積み木が、コロコロと転がって絵本の上から落ちそうになったのをマリーがさっと抑えてるあたり、行動を予知でもしてたのかな?ってぼくは思った。あと、そんな素早い行動に、マリーのお姉ちゃん力は相当なものだなぁってぼくはびっくりしちゃった。そんなすごいお姉ちゃんがいるから、メアリーもお姉ちゃんが好きなのかもしれないね。ぼくはそんな姉妹を見てほほえましく思った。

「メアリー、ざいりょうをきるときはこんなふうにもつの」

 マリーがメアリーに切り方を教えると、メアリーは危なっかしい手つきでマリーの真似をしていた。ちょっとハラハラするけど、おもちゃだから心配しなくてもだいじょうぶだよね?でも、マリーがこんなことも知ってることに、ぼくはおどろくと同時にすごいなぁって思った。ぼくもお料理したことがないからメアリーみたいになりそうだもん。だからぼくはマリーを尊敬するよ。そんなメアリーがざいりょうを切る真似を終わらせると、マリーは次の指示をメアリーに出した。

「こんどはおにくをきろうか?」

「うん!わたしおにくだいすき!」

「わたしもおにくはだいすきよ。そうそう、メアリー、うまくできてるわ」

「おねえちゃんがさっきおしえてくれたから。なんでもしってるおねえちゃんすごい!」

「メアリーにほめられるとうれしいわ。もっとがんばってすごいおねえちゃんになってみせるわ!」

 いやいや、マリーさん、もう充分すごいお姉ちゃんだと思うよ。でも、これ以上すごくなったマリーも見てみたいから、ぼくはマリーを応援するよ!

 そうこうしているうちにメアリーがお肉を切る真似を終わらせたみたい。今度はお料理するのかな?ぼくは何ができるのか楽しみにしながら続きの会話を聞くことにした。

姉妹の様子を描いてたら思った以上に長くなってしまいました。

たぶん後編でこの話はキリが付くと思います。ていうか、つけないと長くなりすぎそうなので意地でもキリつけます。

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