面倒事は向こうからやって来るとは良く言ったもので
「はぇ~魔術って短縮詠唱と圧縮詠唱と合成詠唱とか色んな種類があるんやな〜」
失神から目覚めたワイは現在再び書斎及び王城の図書館を占領していた。本は面白いはっきり分かんだね
「兄様」
「ほぇ〜反転魔術とかもあるんか〜ワイの衝撃魔法反転させたらどうなるんやろ〜衝撃を生み出す魔法やから逆に消すんかな?」
魔術は奥深いはっきり分かんだね
「兄様」
次の瞬間脇腹に激痛が奔りワイは椅子から転げ落ちる
「み゙ッミ゙ギャア!?!?」
「兄様本を読むのを読めて下さい」
ワイが何とか起き上がると目の前には桃色のショトカのチビっ子…ワイの妹の第三王女エリア=ヘクト=エルザルト……まぁワイの腹違いや…パッパはハーレム作っとるからパッパの十三人の子供は第三王子と第六王女を除いて腹違いや…英雄色を好むとは良く言ったもんや
「…なんや…エリちゃん」
ぶつけた頭を擦りながら問う
「兄様この本読んで下さい」
エリちゃんが何か分厚い本をワイに突きつける
題名は…
追放された自重レンジャーは最強職業暗殺者に転職する〜最強スキル【影狼】でダンジョン攻略!今更戻って来いと言われてももう遅い〜
「……何じゃこりゃぁ…」
余りのタイトルの長さそして謎の吐き気に襲われる
「これ…読めばええんか…?」
ワイが聞くとエリちゃんは小さい頭をコクコクと縦に振る
「……はぁ…可愛い妹の頼みや…読んだるわ…」
ワイが椅子に座り隣の席にエリちゃんが座る
そしてワイは…その変な黒髪黒目のイケメンと変な金髪のボッキュボンなチャンネーが描かれた表紙を捲る
◆◆◆
「……お前は…追放だ…アクト!!!」
「っ!どういう事だ!!!」
「お前は後ろでうろついてるだけで何もしてねぇ」
「そ、それは皆を援護するために!」
「ゴタゴタうるせぇ!さっさと出てけ!このAランクパーティー【常闇の夜明け】には似合わねぇんだよ!お前の代わりのレンジャーだっているwwwさっさと出てけ」
「く、クッソぉ!!!」
「装備はやるよwww精々頑張れwww」
◆◆◆
ワイは…何とか本を読み終えると本を閉じる
「兄様」
エリちゃんは何故かさっきの本の第2巻を持って来ている。悪いやけどこれ以上読めへん…
「悪いんやけど…少し用事を思いだしたんや…また今度な」
「え?」
「悪いねん…リアに稽古つけてもらう予定なんよ…」
ワイがそう言うと怪しむような顔で
「兄様が…素直に稽古?変なモノでも食べましたか?」
「し、失礼やな!!!ワイだって最低限の稽古位するわ!!!」
「……」
「ま、またな!!!」
何とか書斎から逃げ出し近場のトイレに向かい個室に入る
「……オロロロロロロォォォォ!!!」
口から昼に食った料理を口からリバースする
正直さっき読んだ本は吐き気がしたんや…盗賊から助けてもらっただけで惚れたり…敵が…阿保やし…主人公もなんかうざい、例えば目立ちたくないくせにナンパされてる娘助けたり何でも暴力で解決しとった…
「ふ、ふぅ…スッキリ…や…」
胃を空っぽにした後トイレから出ると何故かリアちゃんがいた
「…リ…リアちゃん?」
「わ、私は…感動いたしました…」
何故か下を向き身体をふるふると震わせている
「カブト様自ら稽古をお望みになる日が来るとは…このリア…感無量でございます…」
顔を上げたリアは涙とかで顔をグチョグチョにしていた
「…誰から聞いたんや?」
「書斎で仰っていたではありませんか」
「い…居たんか?」
「はい何時もお傍におります」
「……」
こ、怖!?なんや!?ワイの厄介ファンか!?
「それでは早速参りましょう!既に準備はしております!」
「い、いやあれはな?言葉の綾ちゅう…もんで」
「はい?」
凄まじい冷気がワイを襲う何故か周囲も凍りつく
「な、何でもないんよ…」
この後めちゃくちゃボコられた
◆◆◆
「あの…アマ…痛いねん…幾らワイの再生能力が凄いからって腕切り飛ばす必要ないやろ…てか木刀で腕きり飛ばせるか?普通」
ワイはさっきの戦いを振り返っていた。ボコられている最中に腕を何故か何も強化していない木刀でスッパンと飛ばされた事を思い出すと体が震える
何故か第二王子兼次期教皇であるライン=ハルト=エルザルト…ライ兄に呼び出されたからまだ痛む体を動かし夜の王宮を歩き指定された西の王宮バンデル宮にあるライ兄の部屋に向かった
「失礼するで」
「貴方は……カブト様でしたか…お通り下さい鏡の間にてライン様はお持ちです」
「へいへい」
入口二つくとライ兄が命令していたのかすんなり通れた
「いつ見てもおっきいな〜」
ライ兄が待つ鏡の間つく鏡の間はまるで教会のようで巨大な神像が立ち部屋…大聖堂は豪華な装飾に彩られている
「来ましたか…カブト君」
ステンドグラスの破片が集まって人形になった様な何が神父服を着ている…ライ兄が神像に祈っていた。ワイがくると祈りを辞め此方に向く
「この落第王子カブト様に何の用や次期教皇様?」
「おやおや…そこまで卑下しなくとも…用というのは…貴方にお願いがあるのです」
「お願いやと?」
「最近帝都で騒ぎが起きているのはご存知ですか?」
「幾らワイでも知っとるわリアに耳にタコができる位聞いたわ…帝都で殺人事件やろ?」
耳には挟んだ事がある帝都で次々に殺人事件が起きているらしいでもワイには関係ないんよ(対岸の火事)
ライ兄は少し間を置いてから
「知っていましたかええ貴方には…この事件を調べて犯人を捕まえて欲しいのです」
何言ってるんやこの兄……阿保なんか?
「何でワイなんや?ライ兄お抱えの奴等に調べさせれば良いやんけ」
ラインはその月明かりをその体のステンドグラスで色鮮やかに煌めかせカブトの目を見つめ真剣な声色で
「いえ貴方…カブト君では無くては駄目です」
「ワイ全然ツテとか無いで?」
「貴方しか犯人を捕まえられないのです」
「変な人やね……」
「後日事件に詳しい人を送ります、頼みましたよ」
「いやワイまだ受けるとは言っ」
気が付くとライ兄は姿を消していた
「はぁ……全く…困るねん……」
誰も居なくなった月明かりが差し込む大聖堂にため息だけが響いた