伝説の五大魔導師の姉弟
皆様はじめまして。
僕は綾玉キラと言います。
初投稿です。
この物語は小学生の頃から考えているお話の一つ。
昔から文章を書くのは苦手で拙い文章なのはお許し下さい。
皆様が違和感なく楽しめるような物語を作れるように
小説の感想を聞きながら成長をしたいと思います。
こんな僕をよろしくお願い致します。
どの世界でも腐るほどある、戦争
ラセリナと言う世界にもそこら中に戦争は転がっている
戦争は憎しみを撒き散らす
「炎光弾」「雷光の鞭」「獣王の堅牢盾」
魔法師同士のぶつかり合いは戦場の華、
艶やかに紅い花火を大地に散らす
「構え、放てー」
指揮官の命令に一糸乱れず矢を放つ弓兵
どんなに盾で堅く守っても、矢が当たれば無情にも人は死ぬ
特に皇国の矢には数こそ少ないが爆裂の魔法が掛けられている
爆裂矢は普通の矢と見分けがつかず
爆裂矢に当たるかどうかは運次第、
当たったら確実に死が待つ
ラセリナと言う魔法の世界
ラセリナ世界最大の国で神話より続く歴史あるアウラ皇国と
46年前に誕生した覇権国家メーロア王国は隣国を武力で併合し支配、征服した土地の領民を苛烈な支配で勃興してきた
併合された国々の王族や議長等は民を助けてくれと
アウラ皇国に泣きつき平和望んでいたアウラ皇国皇帝エストラムは戦争は消極的だったが
メーロア王国の軍隊が国境の村に侵攻し暴虐の限りを尽くしたことで
全面戦争へと発展した
アウラ皇国の魔導師として参戦していた五大魔導師
ルーファス・ルーヴァレンとラヴィニア・エリザルナは
300の兵を連れて数日前まで戦闘地域だったラーフ村に来ていた
「やはりここも酷いな、戦争の前は絶景と名高い田園の村だったのに、嫌な時代だな、姉上」
ルーファスは肩まで伸びた深緑色の髪を後ろで束ねた美少年
性格は神経質なのだが少しタレた目のせいで
おっとりしているように見えるのがコンプレックス
ルーファスは怒りと虚しさを感じながら姉のラヴィニアに話しかける
「何時の世も人はそう変わらないわ、私達の時代と同じよ」
ラヴィニアは薄い黄色がかった銀髪でつり目の美女で
成熟し妖艶さをまとい不特定多数の男性を惑わせそうな大人な女性
だがどこか青いレモンを思わせる雰囲気を漂わせる
「それに今回は私達も戦争に参加した愚か者、そういう他人事みたいな言い方許せないわルーファス」
「反省しよう、すまなかった姉上」
ルーファスは何時も冷静沈着である、そう有ろうと努めている
ラヴィニアと仲間の五大魔導師のルーファスの評価は
魔導師の実力は五人の中では筆頭であると皆一致しているが
だが長い修行による人間とのコミュニケーション無かった弊害で
社会経験が足りず未熟で軽挙妄動が過ぎる事がある為に
状況判断が鈍い甘えん坊の雛鳥と呼ばれている
二人は姉弟にして世界に賢者、人格者と言われ尊敬を集める大魔導師
ラセリナの長い歴史の中で存在する全ての魔導師の中でも圧倒的な実力を有する
五大魔導師の攻撃魔法は一流の魔導師を束にして相手をしても
防ぐ事が出来ず軽く薙ぎ払う実力である
ラヴィニアは本当に分かっているのかしらと思いながら
「分かればよろしい」
「ルーファス、戯言は止めて助けられる命が無いか早く探しましょう」
軍では上官であるラヴィニアはルーファスに命令する
「ルーファスは重力操作の魔法の準備!」
そして率いて来た300人の兵士には
「貴方達は私が助けた村人と家財を運び出して馬車に乗せて」
「後は燃えている家々を消火と遺体の埋葬を!」
と命令し救助活動を始める
的確な救助活動の指揮を取りながらラヴィニアは
何処かに生存者が居ないか辺りを見渡しながら呪文を呟く
「命の輝きを知らせよ地の精霊」
ラヴィニアの程よく濡れた紅い唇から溢れた調べに地の精霊が応え
まだ息の有る者の居場所を教えてくれる
「息があるのは34人、全て助けるわよ」
ラヴィニアはルーファスに生存者の居場所を指示し
ルーファスは重力を操り瓦礫に敷かれた村人を次々と姉の前に運ぶ
ラヴィニアは治癒魔法を使い身体の欠損した部分を回復していく
二人はその気になれば死者の蘇生も出来るが今はしない
戦争だからとキリが無いと割り切る
そして何より自分達は神では無いと自覚しているから
そして率いて来た兵士達は治療が完了した村人と
家々から家財道具を探し出して馬車に乗せる
略奪しているわけではない
生き残った村人達の生活の足しにしてもらう為に運ぶのである
34人の村人を治療を済ませた二人は
村人の埋葬作業をしていた兵達を護衛に
安全な後方の村に輸送車で送るように命じる
護衛される村人達を見送った後
助けれなかった村人の為になんの慰めにもならない祈りを捧げる
「ラヴィ姉、あれは…」
振り向くとルーファスが珍しく焦りながら高台にある家を指している
「今さっきは生命反応が視えなかったのに」
「あそこの生存者を認識出来なかったのは何故か分からない、だけど素人でも視る事が出来るくらいの凄い魔力ね、でも暴走仕掛かってる」
「凄く澄んでいて綺麗な色だわ」
ラヴィニアは過去に起きた事件のせいで強い魔力に惹かれていた
その為に膨大な魔力を視認し、魔力の色の中でも綺麗な真紅に
一種の興奮を覚え口調が速くなりながら感嘆する
「この力の持ち主がまだ若く衰弱してるのか?」
「ここら一帯が少々不味いことになるかも知れん、ラヴィ姉急ごう」
姉とは対照的に魔力の暴走に微かに恐れを滲ませるルーファス
普段は呼ばないラヴィ姉と呼ぶくらい焦っていた
それは自分達に及ぶ死の恐怖がルーファスを怯えさせたのではない
まだ近くにいる兵や民が魔力の爆発に巻き込まれる事をに恐れた為
ルーファスの問いかけでラヴィニアは興奮から我に返り
コホンと気まずさを紛らわす咳払いをしながら
「そうね急ぎましょう」
と言う
この世界には飛行魔法など多数あるが二人は使わないが
この時ばかりは飛行魔法を使用し二人は魔力が暴走している方へ急ぐ
魔法を使用しないのは短い距離なら魔法を使うより速いからと
ただ単純に走るのが好きだからである
「ルー、危険を知らせる閃光魔法を上げなさい、意味はあまり無いとは思うけどね」
ルーファスは頷き閃光魔法を打ち上げる
二流の魔術師でもこの程度の魔法は詠唱せずとも使える
まだ周辺にはこの村のように救出された民間人や軍人を含めると
万を超える人がいる
暴走した魔力の恐ろしさは広範囲の爆発と
数百年に及ぶ作物も育たない死の土地にしてしまう所にある
後から聞いた話では、この村で一番大きな家を中心に
天を貫く真紅に輝く魔力の柱は遠い皇都まで見えたと言う
「ラヴィ姉、魔力暴走の元凶が見えてきた、まだ幼い男の子の方!」
ラヴィニアとルーファスは家の中に複数の人の遺体が見えた
「ルー、魔力全開で魔力防壁を張りなさい、私が防壁中に入って元凶を断つ」
「それじゃラヴィ姉が危ない、俺が入って暴走を止める!」
ルーファスとっては姉を思っての言葉だったが
その発言は今の状況の認識出来ていない未熟さを露呈していた
正確な状況判断も出来ない愚かな弟にラヴィニアは苛ついて
「はぁ?なぜ魔力が暴走してるか、今さっき自分で言ったから理由は分かってるわよね?」
時間が無いのにこの弟はと少し馬鹿にした声でルーファスに問う
「膨大な魔力を持った成熟してない子供が衰弱し死にかかっているからだ」
型にはまった100点満点の解答をするルーファスに、面白い解答を期待していたラヴィニアは本当に五大魔導師かと疑問に思う
「それなら貴方がどうやって止めるの?、まさかあの子を殺す訳にもいかないでしょう?子供の様にワガママを言うのは止めなさい、みっともない」
この弟は姉を失う事を恐れて正確な判断が出来なくなる
自分の事を第一に心配をしているルーファスを見て
ラヴィニアは可愛く思いながら実母のように諭す
「回復魔法を極めてる私なら元凶となってる衰弱してる人物を癒して何事もなく暴走を止められるわ」
「私を心配してくれるのはありがたいけどね、ルーファス」
と心配の表情を隠しきれない弟に優しくウィンクする
「さぁ、死ぬ気で魔力防壁を張るのよ!私達に万を超える人の命が掛かってるんだから」
「あぁ、分かった!必ず無事で帰ってこいラヴィ姉!」
流石は五大魔導師のルーファスが張る防壁、
強度は無敵と呼ぶに相応しく、そして村を丸ごと覆える位に大きい
並の魔導師なら家一つが限界で防壁強度も脆い
世界で最も堅いであろう魔力防壁を見て
ラヴィニアはこれでもしも魔力が暴走し爆発しても死者は私だけと
ルーファスの事を感心しながら魔力暴走の元凶の男の子に近づく
男の子の近くには複数の人が倒れていた
男の子を守る様に覆い被さり背中を斬られた男
少し離れた外に女と背中の赤子に矢が刺さりが倒れている
家の中には外に倒れている女性よりも年若い女が二人息絶えていた
三人の女性は皆、髪と服が乱れていた
複数の遺体は男の子の家族であろうと判断
この者達は皆、身なりが良く服装が綺麗で宝石の付いた腕環をしている
村長の一家と言うことは一目で分かる
男の子の両足は切断されて膝から下は無かった
金品を要求する為の拷問か嬲られた跡だろう
父親は拷問をされている息子を守る為に庇うように覆い被さり斬られた
その後、母親と娘達は兵士達に陵辱された
兵士達の隙を突き母親は娘と赤子を連れ逃げようとしたが
娘二人は捕えられ、母親と赤子は外で弓で射られた
多分そんな所だろうとラヴィニアは想像する
目眩がしたラヴィニアは少しだけ休む為に
あまり使うことは無い魔法を使う事に決める
「時の女神の持ち物、時の糸車よ今少し休め」
衰弱している男の子の時を少しだけ停止する
五大魔導師のラヴィニアは時を進める事、戻す事、止める事も出来る
何の代償もなく時を操れる為に時の女神と言う異名を持つ
代償が無い事、それが恐ろしくむやみにこの力を使う事はしない
この凄惨な光景にラヴィニアは心がズキズキと痛む
自分にはこの家族を助けれる実力がある、だがそれはしない
助けるのは生きている者だけと決めている
私は神では無いと自覚しているから蘇生魔法を禁呪魔法としている
自分には助けれる命を見捨てなければならない葛藤が
心優しいラヴィニアには辛かった
せめて遺体を綺麗にして上げようと損傷部分を癒やしてる時に
矢が刺さっている赤子の方も微かに息があるのに気づく
「こんな事で動揺して生存者に気づかないなんて…情けないわね私も…」
震える声で呟きながら倒れている母親から赤子を抱き寄せ
赤子の治療を優先し徐々にその可愛い顔に血色が戻っていく
時を止めていた男の子の方を向き治療を開始する
魔力が暴走する時、魔力は人の身体を焼き尽くした後
寄るべき所の無い魔力は身体から溢れ出す
今の男の子は火に焚べた薪の状態
魔力に壊された細胞を復活させなければならない為に
治癒には膨大な魔力を使わなければならない
五大魔導師ラヴィニアと言えども魔力が暴走しかかっている者の
治療は初めて
「本当に凄い魔力…綺麗で純粋、でも私達五大魔導師に比べたら数段落ちる!」
男の子の身体から解き放たれようとする魔力を自分の魔力で抑え込む
「我が癒しの泉の女神の甘き涙」
最高位の治癒魔法を駆使し傷ついた男の子の身体を治していく
失った両足も元通りになり、か細い息遣いだったのが
スゥスゥと言う息遣いに変わる
衰弱した身体から溢れ出し暴走寸前だった魔力も
今は男の子の身体に収まっていた
緊張した治療が終わり気が抜けたラヴィニアは呟く
「この子、私達の後継者に相応しい魔力だわ…」
ラヴィニアは少年と赤子を抱き家を出て
ルーファスにもう大丈夫だとウィンクする
ラヴィニアとルーファスはこの村の残っていた犠牲者を埋めた
ラヴィニアが治療を施した少年と赤子は
体力を回復する為に2日間ほど眠なければならない
恐ろしい光景を見る事は出来ない、それだけが救いだった
馬車に少年と赤子を載せ駐屯地へ帰還の道中
ラヴィニアは昔からの疑問をルーファスに投げる
「ルー、昔から思ってたけど貴方、緊張すると私をラヴィ姉と呼ぶわね」
不意の質問に言葉に詰まるルーファス
「えっ、あぁそうだな」
「普段は私の事を真剣なラヴィニア、茶化す時に姉君や姉上と言ったりしてるけど、ラヴィ姉と呼ぶ事に何か意味はあるの?」
「べっ、別に意味は無いよ、呼びやすいからラヴィ姉と言ってるだけ」
「ふうん、そうなんだー」
ラヴィニアは美味しいそうな獲物を見つけ喜んでいた
明らかに動揺しているルーファスにラヴィニアの嗜虐心がそそられ、
ニマニマと意地悪いの笑顔を浮かべながら
オーバーな身振り手振りで昔のルーファスを語り始める
「幼い頃は私をお姉様と呼んで袖を引っ張ってずっと甘えてて
少しでも私の姿が見えなくなると泣いちゃう子だったのに」
「思春期になると姉上、大人になるとラヴィニアと呼ぶ…」
「もしかしてお姉ちゃんと呼ぶの恥ずかしいから、ラヴィ姉と呼んで甘えてるの?」
すでに紅を差したかのように顔を赤らめていたルーファスは
「そっ、それは違う…」
とだけ答え気まずく顔を逸らす
「ねぇ、私の可愛いルーファス、もう一度お姉ちゃんと呼んでみて…」
「じゃないとお姉ちゃん悲しくて泣いちゃう…」
と言いながら誰が見ても嘘泣きと分かる仕草をするラヴィニアに
「はぁー」
ルーファスはウンザリし深い溜息をつく
「もー、ルーファスはからかい甲斐があって本当に可愛いわねー」
ラヴィニアに頭をポンポンと撫でられ何も言えなかったルーファスは
「くっ……」
と呟く事しか出来なかった
昔話でイジられ紅を差したかのように顔を赤らめている
昔から続く姉と弟の戯れにルーファスは幸せを感じていた
ラヴィニアがこういうイジりをする時は
深く傷ついた心を隠そうとして
自分を使い誤魔化そうとしている事をルーファスは知っている
長い間共に過ごして来た姉弟だから
すでに失った遠い昔の幸せだった頃に想いを馳せながら
二人は助けた少年と赤子と一緒に軍の駐屯地に帰還する
姉は昔全てを失った、愛する人、国、民を
自分は約束の時が来るまで姉を守りたい
幸せを感じていたのは決して自分の性癖では無いと思いながら
今回は読んでくださりありがとうございました。
おかしな文章だったり面白いエピソードを思い付いたら
積極的に編集をすると思うので
何度も読み返して貰えると嬉しいです!
皆様も何かに気づいたら遠慮なく指摘して下さいね
改めて本当にありがとうございました。