表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
即興小説トレーニング集  作者: レーディ
9/22

▽……記憶はここで途切れている。/お題:俺は部屋

 ぱち、と不意に目を覚ます。真っ暗。道路からも音がしない。深夜か?深夜だろうな。

 寝付きは良い方だと思い込んでいたが、久々に深夜に目が覚めてしまった。

 催している感覚もないが、暖房をつけて寝ていたからだろうか、喉がやけに乾いている。


 水でも飲もう。なんの気無しにのそのそと起き上がり、寝室を出る。

 一人暮らしな分同居人を起こす心配をしなくて良いのは何よりだが、深夜帯の静かなリビングというのは、見慣れているはずなのになんだか不気味だ。

 さっさと電気をつけてキッチンに向かえば、がた、と物音が耳に届く。

 なんだろう。窓に鳥でもぶつかったかな。振り返っても、影はない。

 それに、音が聞こえたのはもっと違う方向だったような。


 心霊現象は信じない主義なんだ。自分で自分に言い聞かせながら、さっさと水を汲んでごくりと一気に飲み干す。

 冷たい水が喉を落ちていく感覚が全身に染み渡って、動揺していた体が少し和らぐ。

 その一方でその冷たさにただでさえ覚めていた意識がより覚醒してきた。しまった。眠れるだろうか。


 うーん、と思案したタイミングで、また、かた、と今度は控えめに音がした。

 ……ほぼ物置にしてる部屋の方から、音がした。そういえば、さっきもあの部屋から音がしたような。


 ………いや、気のせい。気のせいに決まっているじゃないか。

 積み上げていた箱でも落ちたのだろう。もしくは、俺が目を覚ます直前軽い地震でもあったとか。目を覚ました理由も地震に起こされたんなら説明がつくし。

 きっとそうだ。なら、まあ、一応雪崩になっていないかだけ確認して、そのまま寝よう。


 怖がるな、確認するだけだ。

 自分で自分にそう言い聞かせながら、俺はドアノブを慎重に捻る。

 かちゃり。ぎい。

 リビングの灯りのみが差し込む部屋はやはり真っ暗で、重い瞼で確認できるのは物のシルエットくらい。

 それでも幸いぐらついているものだとか、明らかな雪崩の後だとか、そういうものは見当たらなくてホッと胸を撫で下ろす。

 まあそんなもんだよな。幽霊なんて、居るわけないし。


 ……うん?棚の脇にあるあの箱、なんだっけ。あんな大きな物をこの部屋に置いていた記憶はないが。まあ、どうせこんな深夜に目が覚めたせいで寝ぼけてるだけだろう。明日の冴えた頭で改めて確認すればいい。

 そうして僅かな違和感はそのままに、あくびをしながらゆっくりと踵を返す。

 背後で影が何かを振り上げたことにも気付かずに、俺は部屋

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ