表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
即興小説トレーニング集  作者: レーディ
5/22

どのみち俺もごめんだよ/お題:生きている極刑

 21xx年。人類はゾンビウイルスという未知の脅威によって一度は滅びかけ、その後に見事な再生と復興を果たした。

 ゾンビと聞いて眉唾にするものこそ居ないが、あの恐怖を思い出させぬためか、恐怖を伝染させないためか、一般人の間ではその存在すら殆ど語られることはない。

 しかし、この重罪人専用の監獄、並び重罪人に極刑を下すこの一連の施設の中において、それは日常にも近しいものだった。


 この場所では、人類という種族が再び生ける屍への恐怖で支配されぬよう、政府指導のもと、ゾンビへの研究と対策が秘密裏に講じられている。

 その一環として、あるいは単純な極刑として、死を下す代わりに罪人にはゾンビウイルスが投与され、研究対象として使われていた。


 そんな非人道的な行いに顔を顰めながらもデータ収集の手を止めない優秀な新人研究員はぽつりとこぼす。


「ゾンビになることで死ぬとか、俺絶対嫌だな……」


 偶然側にいた先輩の研究員はその言葉には、と笑いを返す。


「安心しろ。ゾンビになっても死ねないさ」

「……え?」


 最早感情の宿っていない目で研究員は続ける。


「研究で分かったことだが、ゾンビウイルスを取り込んだ段階でも、体の腐食が進行して元の肌色が完全に消えても、獲物を求めて徘徊することしかできなくなっても、それでも心臓だけは動いているんだ。痛覚もどうやらあるらしい。脳も…まあ一応データ上は生きてるらしい」

「……どういうことですか、それ」

「あははっ、やっぱ知らないで手伝ってたのか。まあ、なんだ、つまりはだ」


 ───これは死ねない極刑なんだよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ