しがないサラリーマンの俺も、もう遅い系小説でヒットしたいが、今更書くのはもう遅い? まだいける?
しがないサラリーマンの俺も小説を書いて一発成功!
物凄く、ではなくとも、ちょっとだけでも有名になりたい。
そしてそれを話のネタに少しでもモテたら嬉しいなぁと、そんな願望を抱く事は、決して罪ではないだろう。
そして小説家になろうは、そんな願望を叶えるチャンスがある場の一つだ。
またそんな小説家になろうで、一大流行を巻き起こしてる分野が、もう遅い系の小説である。
もう遅い系とは追放ざまぁの亜種で、追放された先で真の力を発揮して成功する辺りは変わらないが、実は追放前の環境でも目立たぬながらに重要な役割を果たしており、後で戻って来て欲しいと乞われて『もう遅い!』と叩き付ける辺りに爽快感がある作りとなっている。
つまり俺の様なしがないサラリーマンの願望、或いは妄想を形にした様な、スッキリとした快楽を与えてくれる存在なのだ。
俺だって今の上司は嫌いだし、会社は辞めたいし、辞めた後に戻って来てくれと言われて、キッパリと断れたらさぞかし気持ち良いだろう。
……実際には生活があるから中々そうはいかないが。
高校生の時には『学校がテロリストに占拠されて俺が大活躍して何とかする!』類の妄想をしたが、現代社会に疲れた社会人は『もう遅い!』を妄想するのだ。
少なくとも俺はしてる。
さてそんな素敵なもう遅い系小説だが、実際に書くのはこれが本当に難しい。
何故ならまるで時代劇の様に一定のパターンを組み込まなければいけないので、その中で更に特色を出すには非常に設定を凝らなければならないのだ。
舞台を捻り、ざまぁを喰らわす相手の設定を捻り、主人公の設定を捻り、……捻って捻って捻り続けていると、普通の小説を書いた方がずっと楽な気になって来る。
実際、ざまぁをして終わりでなくて、その後も続けなきゃならないし。
いやでも何と言っても、もう遅い系は大流行してるのだ。
俺だってそれに乗っかりたい。
しかし流行とはやがて廃れる物。
転生チートが持て囃されたのも、内政チートがブームだったのも、何となくもう過去の話に感じる。
果たして俺は、今からもう遅い系を書いても間に合うのだろうか。
ブームに乗って、小説家になろうに存在する七十万か八十万かの小説の中で、……三千位以内位に入れるだろうか。
まかり間違って運良く書籍化して、印税でお高い寿司が食べられるだろうか。
しがないサラリーマンの俺も、もう遅い系小説でヒットしたいが、今更書くのはもう遅い? まだいける?
千字って字数制限マジ厳しいんですけどー
せーふ!
圧倒的にせーふ!!!




