15話 諦めない心
蓮と光里は学園生活を楽しんでいた。
二人は外から見ても仲の良い友達同士だった。
蓮はその日、学級委員の仕事で先生から頼みごとをされた光里の手伝いをしていた。
「なんだか、蓮ちゃんって優しいよね。」
プリントを整理しながら、光里はぽつりと呟く。
「えっ、違うよ。特に急に変えたってわけじゃ」
言い訳するように蓮が言うと、光里が首を大きく振る。
「知ってるよ。蓮ちゃんは私が入学したときに困ってた時から優しいのは知ってるよ。いつも助けてくれて。」
光里は微笑みながらそう言った。
二人はその後も作業を続けた。
放課後になり、蓮は生徒会室に向かった。
蓮は生徒会に積極的に関わるようになっていた。
白とよく話すようになったこともあり、真剣に生徒会のメンバーに入ることを考えていたのだった。
それだけではなく、何か取り組めるものを見つけて、忘れたいことから気をそらせたかったのだったが。
蓮は失恋を経てから、落ち着いていた。
恋をしたいと思っていたが、誰でもいいわけではないと悟ったのだった。
生徒会室で、生徒会のお手伝いをしていると翼咲が来た。
そしていつものように、白の側に居座る。
「恋をよく知らないもの同士の恋愛だと大変なのかもね。」
翼咲は他人事のようにいう。
「翼咲先輩だって、先週まで知らなかったんじゃないですか?」
蓮はムッとして嫌味たらしく言うと、
翼咲はしたり顔をしていた。
「私と白は小学校卒業したとには付き合ってたから、長いよ。中学のときにはそりゃもうxxだって」
ガバッと赤い顔をした白が翼咲を止める。
「翼咲、私たちのことはおいといて。今は蓮さんのことが重要。」
「わかってる、わかってるって。」
白の慌て顔を見て、満足したように翼咲は微笑む。
そして、翼咲は蓮に振り返る。
「絶対に後悔しないように、ぶつかれるだけ、ぶつかってもいいと思う。」
「最後にどうしたいかを決めるのは蓮さんだから。」
翼咲と白は蓮に伝えたのだった。
蓮は二人を残して、生徒会室を出る。
その後、家で眠りにつくまで、蓮はずっと考えつづけた。
次の日、蓮は学校にいつものように登校する。
光里は蓮を見ると嬉しそうに微笑む。
蓮はその姿を見て、心が暖まるようだった。
恋は忘れて、この子が楽しい学園生活を送れるようにしよう、そう決めたのだった。




