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第3話 成長

 命からがら通路に逃げ込んだ俺は、HPの回復を待って、スライム部屋に再チャレンジをしていた。

 とは言え無策で部屋の中を徘徊していては、またスライムの大群に囲まれ、今度こそ死んでしまうだろう。

 そこで俺は、通路入口でじっとスライムが現れるのを待つことにしたのである。

 そう待たずして一匹のスライムが現れた。

 俺には気付いていないのかのんびりと草を吸収している。

 俺は素早く背後に回ると体当たりをし、通路にスライムを叩き込んだ。

 まさにダイビングヘッドでサッカーボールをゴールに決めたようにスライムは通路へと吸い込まれ

る。

 俺は、スライムの後を追って通路に飛び込んだ。

 スライムは慌てた様子で部屋に戻ろうとするが明らかに動きが鈍い。


「逃がすか!」


 俺は、スライムに更に体当たりをし、今度は通路の壁に叩きつけた。

 壁で弾んで戻ってきたスライムを更に体当たりをし、壁に叩きつける。

 俺の体当たりだけでは、減ることのないスライムのHPが通路の壁に叩きつける度に少しずつ減っていく。

 やはり攻撃力の低い俺の攻撃では、スライムにダメージが与えられなかったが壁ならダメージを与えることができる。

 壁の方が俺より攻撃力が上というのも複雑だが、少なくとも攻撃力1の俺より石の壁にぶつかった方が痛いというのは道理である。

 根気よく、スライムの壁打ちをしていたところ、


『スライムを倒した。

 経験値 5

 を獲得しました。』


と言葉が頭に浮かんだ。

 よし、これでレベルを上げて少しずつでもHPを上げていけば、スライム部屋を抜けることができる。

 俺は、一匹ずつスライムを通路に引きずり込み壁打ちを繰り返していった。

 根気よく繰り返すこと十数匹目、スライムを壁に叩きつけた瞬間、頭の中に軽快なチャイムが鳴り響いた。


『レベルアップ、

  レベル1→2

     HP 5→12

     MP ?

     攻撃力 1→3

     防御力 2598→2655

     敏捷性 3784→3843

称号 見た目赤ん坊のオヤジ』


 やった、レベルが上がった。

HPと攻撃力の伸びは少ないもののこれで少し余裕が出来た。

防御力と俊敏性はそれなりに上昇しているから、ダメージを受ける確率も低くなるだろう。


グゥー!


 レベルが上がり、少し安心したところで腹の虫がなった。

 そう言えば、さっき草を食べただけで何も口にしていない。

 ふと足元の今倒したばかりのスライムに目が止まった。

 摘まみ上げると、張りがあってボールのようだったスライムは、つきたての餅の様になっている。


「こいつ食えるかな?」


 空腹に耐えかねた俺は、餅の様になったスライムを口にしていた。

 以外といける。

 くず餅のような食感に瓜のような味。

 おいしいとまでは言わないが草よりは、食べやすい。

スライムを一匹食べ終えたところで頭に言葉が浮かんだ。


『スライムを体内に摂取したことにより

    スキル 吸収

 を獲得しました。

 吸収の効果でスライムの魔力を吸収しました。

 魔力が解放されます。

   MP?→1

になりました。』


 驚いたことに、俺は、スライムを食べて、スライムのスキルを得ていた。しかも魔力まで獲得している。

 食べてスキルや魔力が得れるなら、これは非常に役に立つ。

 しかし、問題はもうお腹が一杯だということである。

 山のように積まれたスライムも放置するわけにもいかないだろう。

 そういうことで俺は、手に入れたばかりのスキル吸収を使って見ることにした。

 しかし、どうやって使うものなのかが分からない。

 俺は、取り敢えずスライムに手を当てて


「吸収!」


と叫んでみた。

 すると手のひらからまるで掃除機の様にスライムを吸い込んでいく。


「おぉ、すごい!」


 俺の小さな身体の何処に吸い込んでいるのか分からないが、次々と手のひらからスライムが吸収されていく。


『 魔力が

     MP1→17

になりました。』

ないが

 モンスターを吸収すると魔力容量が増えるようだ。

 今は、魔力を使うスキルを持ってないが増やしておくべきなのだろう。

 俺が動けるエリアは、今のところ、俺が転生してきた祈りの間とスライム広場とそこに通じる通路だけである。

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