1.異世界転移?
1-1
「んー!!!今日もお昼寝びよりだな〜!」
高校裏のの小高い丘のとある一角で、高校2年17歳彼女いない歴=年齢の黒咲心は今日もお気に入りのお昼寝スポットでお昼を過ごしていた。
「はー、午後からの授業だるいな〜...おっ、今日も来たなクロ!」
俺の隣にノシノシとやってきて、大きな欠伸をひとつしたと思うといつもの定位置の俺のお腹で丸まって寝始めた。
入学当初からこの場所に来ているが、もうその時にはこの黒猫、勝手にクロと名付けた猫はもうすでにそこにいて、新入りの俺を『お前もどうだ?』と言わんばかりにこちらに目を向け、こころよく迎え入れてくれた。
それからは、俺が横になるとお腹の上でクロが寝るというこのスタイルがここ1年の習慣となっていた。
クロは名前通りの黒猫で、目の色が青い毛並みがいいポッチャり猫だ。
ポッチャりしてるにも関わらず、お腹の上に乗ってもそんなに重くないのが不思議な所だが、毛が多くてポッチャりに見えるのだろうと勝手に納得している。
「さーて、お昼が終わるまで、俺も寝よーかな...」
心はクロの寝息を子守唄に夢の世界に落ちていった。
白く輝く世界。見渡す限りの白。
唯一その白の世界に佇む1人の少女。
〈たす...あなたがこ..せか...せいしゅ....ちか...ける。〉
何かを必死に伝えてくる。しかし、その言葉はノイズが掛かったように途切れ途切れにしか聞えない。
何が言いたいんだ?そんな言葉を放つ前に世界が暗転する。
「お...おき.......起きろ!!!!」
「ん〜、うるさいな〜。ファ〜、もうお昼はおしまい...か....」
ん??どこだココ?あれ?俺、高校の裏の丘で寝てたよな??
心の目の前にはいつも見なれた高校の校舎ではなく、辺り一面に広がる草原であった。
「え、え?なんで??あ、夢か!夢の中で夢を見てるやつだな!!きっとそうに違いない!!おし!もっかい!お休み〜....痛っ!!」
夢から起きるためにもう1度横になろうとしたその時、何かに叩かれた衝撃が頭に響いた。
「何寝よーとしてるんニャ...そろそろしっかりして欲しいニャンね。」
後ろを振り返るとそこにはやれやれといった感じの黒猫が座っていた。
「あれ?クロ?でもさっき声が聞こえたような??まさかクロが喋るはずないしな...まさか、幻聴??」
そんな独り言を呟いていると
「はぁ〜...そのまさかだニャ。今話しかけてるのは私ニャ。」
「く、く、クロがしゃべったー!!!!え?!?どーゆーこと?!?!?」
「そんなこと。私が知りたいニャ。ほら、ボケっとしてないでそろそろ動いた方がいいと思うんだがニャ」
驚いてる俺をよそに淡々と話すクロ。
「ちょっと待って、頭が追いつかないから!!ほんとどーゆーこと?!」
「待つのは良いが...あれは良いのかニャ?」
え?いいも何も周りには俺とクロしか...いな...い。
「ッ!!」
3kmほど先にオオカミらしき生き物がこちらに5~6匹ほど向かって走って来ていた。
「クロ!!逃げるよ!!!」
クロに声を掛け、オオカミ達とは逆方向に走る心とクロ。
「このままじゃ追いつかれるニャン。どうにかした方がいいと思うんだがニャ」
「そんなこと言ったって!どーしろっていうんだよ!!」
「はぁ、仕方ないニャ。。そのままココロは走って行くにゃ。」
そうひと声かけるとクロは今走ってる方とは逆に駆け出していった。
「って!!クロ!!!」
咄嗟に止まり、後ろを振り返るとそこには、何やら文字がクロの周りに規則正しく動きそれに合わせてクロが何かを唱えていた。
心は、光り輝く文字の綺麗さと、どこか懐かしさを感じるその光景に目を奪われるのであった。
《ダークホール》
クロが一際大きな声で放った言葉のすぐそこには黒い穴が生み出され、オオカミ達を吸い込み、役目を終えた黒い穴は何も無かったかのように消滅した。
「これで完了だニャン。で、ココロはいつまでそんなアホみたいな顔で立ってるんだニャ?」
そうクロから言われてもなお、心は目の前の状況に呆然と立ち尽くしていた。
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