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少年達が行くところは……

~翌日~


「おはよー。ディー、起きてるー?」


時刻は朝6時。

メアが目をこすりながら寝起き声で言った。


「起きてるよ。華晶も起きてる。そろそろ準備しないと置いて行かれるよ。華晶が買い物に行くって。服とか色々買いに」


華晶達の服は昨日中にメイド達が洗濯をして、外にかけていた。なので昨夜は借りた服で寝たのだ。メアとディーの服は、リズフィーが1時間かけて作ってくれた。

そこで、リズフィーから城下町へ買い物に行ってみてはどうかとすすめられたのだ。


「買い物って……お金はどうするの?」


昨日ギルドに入ったばかりで、図書館に行くことを優先にしていた。その為、今は文無しだ。


「そこはリズフィーさんが払ってくれるみたいだよ。なんか申し訳ないけど……。でも、買い物が終わったら適当に依頼を見つけてやるって。他にどうしようもないし、今はその報酬で返せばいいと思う。……それより早く準備しないと本当に置いて行かれるよ」


「わぁ〜!待ってー!」


支度が終わり、城下町へ。

城下町は昨日と同じで流石の賑やかさだった。ジョン先生のサイン会は明日にもあるので、明日にした。正直華晶としては直ぐにでも行って話を聞きたそうにしていたが、メアが先に買い物をしたいと駄々をごねたので仕方がなくそちらを優先したのだ。


「やっぱり私、この国好きー!」


「あ、そう」


~1時間後~


買い物も終わり、時刻は9時。時間的にはまだ全然余裕があった。華晶達はギルドに行くということで、リズフィーは先に家に帰った。荷物を持っていては邪魔になるだろうとリズフィーが家に持って帰った。

馬車があるので大丈夫だとは思うが、何から何まで申し訳ないと思う一同。


そしてギルドにて………


「どんなのがあるのかな。なんか初めてでドキドキするね」


「仕事を決めるのは僕達じゃなくて華晶だけどね。でも少し興味あるなー僕も」


ディーとメアは依頼書が貼られた掲示板に目を通した。ゴブリンの両耳合わせて10枚で銅貨5枚。山賊を捕まえる銀貨3枚と銅貨5枚。海賊の討伐銀貨4枚。人魚族の鱗1枚で銀貨5枚と銅貨3枚。他にも洞窟の探索、ランクD,Cの魔物の討伐など、いくらでもあった。その中にはあれもあった。


「ん?これ………華晶!これはどう?フローラの森には昔、華晶と瀧愁達と僕とメア7人で行ったこともあるし」


何枚も重ねて貼られている依頼書の中の1枚を取って華晶に見せた。

それは"フローラの森で最近増え続けているB+の凶暴化した魔物を15体討伐"といものだった。報酬は金貨1枚と銀貨5枚とかなりのものだった。


「………やれるだけやってみるか。これにする。行くぞ、ディー、メア」


華晶はその依頼書を持ってフローラの森に向かおうとした。が、ギルドを出たところでリズフィーが今にも泣きだしそうな顔をして華晶の元に駆け寄ってきた。息を切らしながら涙を流し、焦っている様子だった。

3人はリズフィーの様子から只事ではないと悟った。


「おい、どうした?泣いてちゃ分かんねーだろ」

「大丈夫ですか?とりあえずここは人目につきます。向こうに移動しましょう」


ディーが指さした先は、人通りの少ない狭い道。メアがリズフィーの手を引っ張りながら4人はそこへ移動した。


「話を聞きます。どうしたのですか?落ち着いてからで大丈夫です」


優しく声をかけるディー。リズフィーは涙を拭い、少し焦りながらも震えながら「もう大丈夫です」と言って、事情を説明した。


「私のお父様とお母様はフローラの森へ魔物の討伐に行っていたのですが、そこで魔人に襲われたと城から連絡があって…!……帰ってきたのは討伐に行っていた兵の半数で!お父様とお母様は兵を逃がす為に魔人と…!」


消え入りそうな声で言いながら、また涙袋に涙をためる。メアはリズフィーの背中を小さい手でさすった。

華晶は魔人という言葉に反応した。強さにやたらとこだわる魔人が何故人族を襲うのか。そう疑問に思った。


(それに、フローラの森と言ったか?フローラの森で魔物討伐。この依頼書の内容に似てるな。いや、同じものか……)


「フローラの森には行く。元々これから行く予定だったしな。依頼仕事で。見つけたら連れて帰る。これでいいか?」


なんとなくだがリズフィーの言いたいことは分かっていた。つまりは助けてほしいという意味だ。悩んだ挙句、どうしようもなくなり華晶達に頼ったのだ。自分だけでは無力であることを理解していた。

リズフィーは目を見開いて「ありがとうございます!」とお礼を言った。


「……あの、華晶さん。わ、私も連れて行ってはもらえませんか?勝手ではありますが…。家でじっとしていたくないんです」


そう言い終わったと同時に、ギルドの中から大柄の男が出てきて駆け足でこちらに向かってきた。華晶が持っている依頼書を見ると、「やっぱりか」と言って、少し悩んだ後に続けた。


「その依頼はたった今20名以上の集団限定となったんだ。昨夜フローラの森で魔人が出たからな。あと内容が変わった。B+の魔物討伐並びに、凶暴化した魔物が増え続ける原因の調査だ。今、参加者を募集しているんだが、入らないか?報酬は前よりも弾むらしい」


(20名以上限定か。あまり関わりたくねーからな〜。……それに俺は魔人が気になる。集団行動だと好きに動けねーし…。報酬は別の依頼でも貰えるし)


考えはしたが、やっぱり関わり合いたくないということで断ることにした。


「悪いが集d「参加する!」?!」


断ろうとした途中でメアが突然華晶と逆のことを言い出した。


「な?!おま、参加しねーよ!関わり合いたくねーんだ!それに参加したら自由に行動出来ねーだろ!」


「いいじゃない!参加すれば!リズフィーのお母さんとお父さんを探すのだって集団の方が見つけやすいでしょ!」


「いつ探すって言った!俺はついでに!見つけたら連れて帰ると言っただけだ!」


(はぁ~。俺が探さなくても精霊に頼めば見つけられる。普通に探すより早くな。人目が多いとそれも出来ねーだろ!それに魔人相手だと生きているかも分からない)


と内心では見つける気満々だった。リズフィーには世話になっているのだ。これぐらいはしないと示しがつかない。

最初森を出る時にもそうだったが、能力が使えなかったり人族の姿になったりしても、竜人族であることに変わりはない。精霊達はそれを知っているので話すことは可能だ。元々話すことが出来ないというわけではない。

ただ、無闇に話さないというだけである。


「俺は参加しない」


「まあ、別に参加してもいいと思うよ、僕も。関わり合いたくないって言うけど、関わって得られる情報もあるだろうし。大丈夫、華晶がしたいことは分かってるから。夜に集団から少し離れて頼めばいいんじゃないかな。それに、増え続ける魔物の原因に魔人が関わってるかもしれないよ?」


何かしら関わりがあることは確実だろう。

ディーが"大丈夫"のあたりから小声で華晶にだけ聞こえるように言った。

少し嫌そうな顔をしながら考えた華晶は、仕方なく参加を受け入れることにした。


「はぁ〜、分かったよ。参加すればいいんだろ。……………で?お前はどうするんだ?」


リズフィーに参加するかを聞いた。集団で行動することになったので、念の為聞いておいた。

悩むことなく行くと決めたリズフィーは、それを返答した。


「じゃあ4人参加だな。ん?だが、そこのねーちゃんは冒険家なのか?これは冒険家じゃないと受けられないぞ。そこの妖精族(フェアリー)も」


「そうですよね。でも大丈夫です。これでも登録はしているんです。一様戦闘の経験もあります。……でもメアちゃんとディーくんは?」


ギルドの仕事なんだから冒険家しか受けられないというのは当たり前である。リズフィーは両親が国家騎士団なので、幼き頃から魔法や剣術を習っていた。冒険家登録は、登録しておいて損はないと父親が登録してくれたそうだ。

だが、メアとディーは登録していない。華晶が登録すれば十分だと思ったからだ。けど考えてみれば、種族が違うだけで必要ないなんてことは一切ない。


「してない。でも報酬いらないからついて行って戦うのはいいでしょ?」


「いいのか?報酬はそこの依頼書に書いてある金の2倍貰えるんだ。1人に付きな。一緒に行動しているんだったら今から登録する方が得するぞ。別にランク制限はないし、妖精族(フェアリー)なら戦力に問題はないだろう」


「うーん。じゃあ登録する!」

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