表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/25

冒険家ギルドにて冒険家に

(すんなりと入れたな。心配して損した。)


華晶は検査が甘過ぎると思いながらも、甘くて良かったと思った。


「すぅっごーーい!!こんな国初めて見た!噴水に、豊かな自然溢れる道。ここは天国だよ!」


確かに綺麗で賑やかな場所ではあるが、メアの反応は大げさ過ぎである。


王都に入ると、目の前には大きな噴水があり、広場になっていた。広場や道の地面は白いレンガが敷き詰められ、花や緑でいっぱいであり、平和の象徴である白鳩や蝶などがあちらこちらにいる。全体的に白いので、まぁ、人によっては天国に見えることもなくはない。


「確かに。前来た時とは比べものにならないほど綺麗になってるね。長い年月が経ったとはいえ、ここまで変わるものなんだね」


感動を覚えたメアとディー。華晶もまた、人族はかなり変わったと聞いていたが、"ここまで変わっていたとは"とディーと同じことに驚いていた。


「まずは……冒険家ギルドに行くぞ」


早速目的を果たす為に動こうとした華晶。

……なのだが、

メアのテンションが上がりすぎて四方八方飛び回っていたのを、落ち着くまで待つことにした華晶とディーだった。

待っている時、華晶とディーはギルドの場所と図書館の場所を、広場にある地図で確認した。


~30分後~


30分経っても興奮しっぱなしのメアをディーが物理攻撃で止めた。これ以上遅くなるわけにもいかない。王都でやることは山ほどあるのだから。


「まさか30分経っても落ち着かねーなんて思わなかったな。かなり時間を無駄にした。遊びに来たわけじゃねーって言っただろ!」


"まったく"と言いながら、華晶はディーにギルドの場所を案内してもらった。ディーは先程レトラーが教えてくれたギルドに案内した。レトラーの話をしっかり聞いていたのは、ディーだけだった。


「綺麗な道。……僕としてはこの国に来てよかったと思うよ。新しいものが見られた。華晶もそう思わない?」


ディーは華晶にこの王都についてどう思うか聞いた。最初は全く関心がなさそうだった華晶が辺りを見渡しているので、興味本意で聞いてみたくなったという。


「まぁ、悪くはねーな。俺にとって居心地がいい場所ではないが……。随分と変わるものだな。国も、人族も。文明は残りつつもパッと見昔の面影がほとんどなくなってる」


「………あまり見てると調子が狂うな」


ボソッと小さくそう呟いた。

華晶は時の流れを感じた。自分が眠っていた時、他種族……とは言っても、今のところ見たのはこの人族の国の様子だけだが、こんなにも大きく変わっていたのかと。


4000年。竜人族(らんせい)にとっては長くもないが、決して短くもない。見て思う。"友である瀧愁達も変わってしまってはいないか"と。これだけ世の中が変わっているのだから、皆が変わってしまっていてもおかしくはない。そんなマイナスなのかも分からない思考が華晶の脳内を横切る。


「着いたよ、華晶。………?」

ディーが着いたと言っても、華晶の反応はなかった。振り返って華晶を見てみると、心ここに在らずの状態だった。ディーは大声で華晶の名前を呼んだ。


「華晶!………華晶ってば!」


「ん?」


「ん?じゃないよ!大丈夫?ぼーとしてたみたいだけど…。なんか最近、"大丈夫?"って言う回数が増えた気がする。…着いたよ。ここがレトラーが言ってた冒険家ギルドだよ」


ディーは華晶の先程までの状態を心配しながらも着いたと報告した。最近、不安と心配ことばかりである。


「あぁ、案内ありがとな」


(まずいな。森を出てから心情が不安定だ。副作用に関係はねー、よな……?久しぶりだからか?考え過ぎもよくねーな、どんどんドツボにはまっていく)


華晶達はギルドの中へ入って行った。

ギルド内には目の先に大きな受付カウンターがあり、奥は食事屋になっていた。このギルドは王都1大きなギルド。中も外も立派な建物だ。


早速華晶は受付カウンターに行き、冒険家になりたいと申し出た。登録方法を教えてくれた後、名前、年齢、種族、称号、ランクを登録。登録の際、称号は"駆け出しの冒険家"、ランクは"G"と決まっているらしい。各場所のギルドには必ず更新用の機械があるらしく、依頼が終わったらそこで更新するようだ。

勿論年齢と種族は誤魔化している。法律上では勿論違法である。


登録が終わった華晶は、メアとディー、2人と合流した。するとメアが目を光らせながら…


「登録終わった?これから何処に行く?仕事する?」


と聞いてきたが、その前に図書館へ行きたかった。目的は言うまでもなく情報収集だ。

王都に入る前にも行くと言ってあったが、この様子だと浮かれて完全に忘れているようだ。


「いや、図書館が先だ。依頼仕事はまた明日にする。まあ、嫌でもやらねーと金が入らねーからな。夕食は昼にとった山菜。寝所は別に何処でもいいだろ?」


何処でもいいとはどういうことなのだろうか。メアは「まさか」と言いながらディーの方を見ると、ディーは仕方がないという顔で「多分…そのまさかだよ」と答えた。まさかというのは、つまり宿無しで寝るということだ。


「行くぞ」


2人の様子に気づいていない華晶。

3人はギルドを出た。

華晶はあまり気にしていないようだが、王都で野宿というのは少し抵抗があるメアとディー。メアは楽しみにしていた事がひとつ減り、半泣きの状態になっていた。


《これから行くのは図書館。そこで色々なことを知る。そして新たな出会いも。だが……》


ギルド登録証(アカウント)(身分証明書)

名前:華晶

年齢:16歲(偽)

種族:人族(偽)

称号:駆け出しの冒険家

ランク:G

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ