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天下大平
とある世界にて長きに渡り続いた戦乱を治めたのは一人の女帝であった。
彼方側が交戦状態となれば此方側が交戦状態となる事で互いに抜け駆けを許さない膠着状態が慢性的となった世に、突如として彗星の如く舞い降りた女帝は己が剣力を持いて瞬く間に勢力を拡大した。
これに大激怒したのが古参勢力であったが、単騎突撃にて一騎当千の活躍ぶりを繰り返す女帝に太刀打ち出来うる筈もなかった。
こうして女帝が旗を掲げて僅か五年足らずで天下は統一されたのである。
それから更に四年の月日が流れ……我らが偉大なる女王陛下も既に二十八となっており、いい加減に婚期が遅れ過ぎだという事で国中が女王陛下の婿探しに奔走する……そんな平和な日々の事でした。
名も知れぬ一人の男が城を訪れたのです……