一難去ってまた一難、そして一難、またまた一難
優多は無限の部屋で、無限に昨日のことについて問い詰めていた。
「無限さん!」
「ん?どうしたの優多」
「どうしたの?じゃありません!一体なんですかあの生き物は!」
「まあまあ落ち着いて」
「落ち着いていられますか!」
机をドンと叩き無限を睨みつける。
優多は前回、謎の声のおかげでなぜか出せた刀で黒体という化け物を大回転斬りで倒した。過激的に言えば、殺した。
これで良かったのかは分からないが、あのままでは僕が殺されていた。
「無限さん!聞いているんですか?」
「おっと、ごめんごめん」
どうやら前回いきなり戦闘させるもんだからご立腹らしい。まああの判断はちょっと間違っていたかな?それにしてもいきなりいきなり主に怒れるってるのも大したもんだな〜やっぱり『地球』は『変化の世界』だな…
「だいたいなぜあんなことをさせたんですか!怪我でもしたらどうするんですか!」
「大丈夫大丈夫怪我はしないように黒体の流れを操っていたし、そもそも気力刀出せてたじゃん♪」
「そういう問題じゃなくて…ん?気力刀?」
「そう、気の力で作り出した刀だから気力刀。青白い光をまとってあったから綺麗だったでしょ?」
「そういう問題じゃ無いんですよ…」
約2時間にもわたる口論が続きやっと無限に理解がついたところで、僕の正直な気持ちをここで話そう。主の部屋で主に怒りをぶつけるというのは、かなりきつかった。本当にきつかった。それだけ。
ようやく本題に入れて気がラクになったような気がした
「では、今から本題に入っても大丈夫でしょうか?」
「うん、全然大丈夫だよ。で、その本題ってのは何なの?」
「はい、僕が無限さんに話すことは、これからの仕事についてです。僕の仕事は…」
「館内の掃除と朝昼晩の食事の用意、洗濯、書庫の整理、多世界の調査:地理、人口、職業、経済。あと僕の執事」
話すスピードがマシンガン急だった。これを聞いて思うこと、それは…
『多すぎる』
それだけだ。誰だって思うだろう…
「家事ではだいたい4時間あれば出来るでしょ?この館はそれほど広く無いからね。書庫は検査と、掃除で2時間ぐらいだね。
畑と家畜は、合わせて4時間。多世界の調査は振り分けて作業していいから全ての世界回るにはだいたい10〜12時間はかかるかな。執事の作業はしばらく簡単なのにしとくね。慣れるまでに疲れるだろうから。ということで、計24時間だね」
聞いて、倒れそうになった。まず仕事の多さ。単純な作業だが多すぎて目眩がしそうだった。次に作業合計時間だが、丸一日何てどこのブラック企業なんだ?
「あっごめんごめん!この世界は1日が50時間だから安心して眠る時間もあるから。それに50時間て言っても時や、動きなどの感覚は元いた世界と同じように感じるようしているから安心して♪」
ん?今のを聞いてどこをどう安心すればよかったのだろうか?物理的におかしい…いや、もともとおかしいけど。
「あの…どうしてそういった感覚が元いた世界と同じ何ですか?」
「ここは、香花界。僕の造ったこの世界は1日がとても長いが長く感じさせないようになっている。つまりは実際に何時間もかかる作業も短時間で終わるような錯覚になる。それにここの世界ではその者自身の持つべき力がが勝手に身につく優れた世界なんだ」
端から端まで、理解が困難だった。
「…では、普通に過ごしていればいいんですか?」
「そゆこと」
聞くだけでも疲れた。寝させてくれないかな…
「!」
「どうしたんですか?」
優多は突然驚きの表情を見せる無限に聞いた
「いきなりそんな顔して何が起こったんですか?」
「何か来る…デューラスから使者が来た!」
無限は意味のわからない言葉を発した。
デューラスって何?誰もがそう思うだろう。優多もそうだった。だが優多は何も見ていないのに、何故そんなのがわかったのかも気になった。
「デューラスって何ですか?ってか何でそんなのが分かるんですか?」
「日本語で言うところの裏世界っていう意味。裏世界にはまだ38個しか世界が無いんだけど、その中の極強ってぐらいに入る世界から使者が来たんだ!
それと、僕は流れを操って情報を受け取っているからわかるんだ」
デューラスとは裏世界のことだが、裏世界でも裏地極、旧山塊、大炎界、旧雷田、士御倉と呼ばれる裏世界が極強なのだそしてこのうちの裏世界で香花界に誰が来たのかと言うと…
「大炎界から…だって…」
無限の顔が真っ青だった
「優多!」
勢よく、跳んだ。椅子から10m離れた扉までひとっ飛びだった。
「は、はい!」
「門に行くよ!」
そう言い
バンッ!
と扉を思いっきりひらき、ダッシュで、門に向かっていった。
香花館の門に優多と無限が並んで突っ立っていた。
「で、なんで僕がこんなことをしなけばならないんですか?」
優多は無限に聞いた。
なぜ聞いたのか、それは来客を迎えるのに適していない格好だったからだ…
「何でって、相手は大炎界からの使者なんだよ!まずは、最初に攻撃をするに違いない」
「いや、その理屈は明らかにおかしいでしょう!なぜ来客を迎えるのに戦わなきゃならないんですか!無礼にもほどがありますよ!」
優多は、無限に正論を放ったが、
「チッチッチッ!優多はわかっていないな〜、いい?大炎界の住人は…」
ドゴンッ!!
無限の話を途切るように壁がものすごい勢いで壊された。
「お邪魔します!よう無限!遊びに来るために第一関門のこの門を勢よくぶっ壊して入ってきたぞ!」
入ってきたのは、自分と同じ背ぐらいの少年だった
髪の毛は赤毛で、結構髪は綺麗に整えており瞳は琥珀色で輝いて輪郭は日本人のような形になって、
外見は優しくて明るい雰囲気だが、内面はどうだろうか?
「おいおいカイト!こんな奴入れていいとは一言も言っていないよ」
「別に入りたい奴は入れてあげていいと思うんだが…何か問題でもあるのか?」
「ありすぎるよ!」
本当にありすぎた、あの壁を見ている限りでは、カイトがいたところはもう無い。あれをどう避けたんだか…。そんな事もあり、来客の事で無限とカイトが揉め合っていた。
すると自分の目の前に、さっき壁を破壊した少年が現れた。
その少年は、笑って自分に話しかけてきた
「君は確か新入りなんだよね?確か無限の執事だっけ?まあこれからも会うことが多くなるだろうしよろしくね」
そう言って少年は右手を出してきた。
手首には金色の輪を3つか4つ重ねてぶら下げており、左手首も同じようになっていた。
「よ、よろしくお願いします!」
そう言って優多は差し出された右手を握った。
そのとき、ふと疑問に思ったことが2つあった
1つはこの人の名前。もう1つはこれからも会うことが多くなるというところだった。
「あの自己紹介まだでしたよね?よかったら名前を教えてくれませんか?」
「おおこりゃすまない僕の名前は、火子真 豪気炎を操る能力で大炎界から使者としてきたんだ」
ほうほうどうりでさっきから暑かったのか、こういう能力は色んなところで使えそうだから便利だな〜冬のストーブ代わりだったり、コンロ代わりだったり…
「それで、なぜまた会うことになっているんですか?僕達ってそんな関係でしたっけ?」
「ああ、無限から聞いていないかい?まあ聞いていないから僕に聞いているんだろうけど…
まあ僕と無限は幼馴染なんだよだからこうやって一ヶ月に、2.3回はここに遊びに来ているんだ」
そうだったのか と優多は思った。じゃあ何で無限はああやって豪気を避けるのかがわからなかったがそんな僕の心を読み取ったのか答えてくれた。
「実は、無限の見られたくないものを見てしまってあれから無限は僕を必死で襲いにかかってくるんだ」
それを聞いて優多は何とも言えなかった。
そして、無限とカイトを見たが、まだ口論が続いているようで、一向に終わる気配が無かった。
そして、豪気の口からとんでもない言葉が聞こえた
「ねえそういや優多。その刀って香花刀だろ?」
「はいそうですが…何か問題でもあるんですか?ってかなんで知ってるんですか!?」
豪気は優多の香花刀に目を丸くしていた
「噂でその刀の事は聞いているんだ…だから僕と一戦交えてくれないか?その刀を持っている奴を実際見たのは初めてだから」
「えっ!だ、ダメです!怪我しちゃいますよ!僕は戦うのは別にいいですが、剣と拳では危ないですよ?」
「いや、大丈夫だ。優多って自分の『気』から刀を作り出せるんだろ?だったらその刀と気から作る刀の二刀流でかかってきてくれ」
豪気という名前の通り、気が強く屈しない態度だった。
「でも、もし怪我でもしたら…それに、なぜ気力刀の事も…」
「僕のところにはいち早く情報が届くようになっているんでね!それに大丈夫だ!こんなんで死んだりしたり痛みの声なんてあげたら大炎界の住人としての恥だ。いいぞどこからでもかかってこい!」
豪気の意気込みはバッチリだった。それに彼は多分超人。人間ではないからこんなことができるのだろう優多は気持ちを180度切り替え、表情を変えた
「では、よろしくお願いします」
優多が発言したその瞬間に豪気が優多の元へと瞬間的な速さで移動し、思い切り炎で包まれた拳。『炎拳』を優多に振り下ろした