疑えない自分
ー香花館 東大鏡 東廊下ー
「わあ凄い」
東側にある大きな鏡の先には、幅が物凄く広い廊下に天井には巨大なシャンデリアがいくつも連なっていた窓は普通の長方形の形をして、窓枠は木材でできているいたってシンプルなデザイン
「あれ?君は…誰だい?」
突然話掛けられ優多はビックリした
「あっはは大丈夫かい?」
「はいありがとうございます」
彼は初めて会った自分に、手を差し出した。
彼は、黒髪の天然パーマで顔はふわっとしていて日本人の顔の輪郭。で目の色は青で優しそうな人だった
「すいません…」
「いえいえそういえばここの世界では見かけない顔だけどどこから来たんだい?」
「ええと日本から来ました」
優多はどう答えていいのかわからずとりあえず「日本」と言った
「そうかいそうかい。わかったじゃあこれからよろしくね♪」
何だか安心したような素振りで話を続けた
「僕の名前は 飯多 間広15歳 魔物
人の心、意、情を見る能力だよ ここの掃除委員なんだ」
「ええと陣之内 優多です14歳 人間 重力を操る能力で無限さんの執事です」
自己紹介をしてまず気になっている事を聞いた
「あのいきなりなんですが間広さんの能力の見るってどんな意味なんですか?」
「見るっていうか僕は人の感情が読めてしまうからこんな能力なんだ!わかりにくいとは思うけど一緒にいたらそうゆうのはわかってくるもんだから大丈夫だよ」
そういえばとある事を思い出したので間広さんとは軽く会釈をし、無限のところへ急いだ
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ハアハアハア
と、息を切らし、大急ぎの表情を浮かびながら
「無限さん!」
間広に無限の部屋への行き方を教えてもらい大焦りで向かった
赤い絨毯が一面に敷かれており前には少々距離があるが大きな机越しに無限が椅子に座っていた。
暖炉がパチパチと音を立て、辺りにはいくつか本が積まれている。
「優多か、ちょうど良いとこに来た!」
と、無限は立ちながら言い、
「え?」
「客人だ、黒隊だから君にはちょうど良い相手だね」
無限はニヤリと言った
「君の力であれば数百の黒隊も簡単に倒せるだろうから頑張ってね」
「えっ?ちょっと待っ…」
消えてしまった。まだ状況が上手くまとめられない。
僕が無限さんの部屋に入ったらなぜか勝手に黒隊と戦うことになった。しかも数百体は無理だと思った次の瞬間、無限が座っていた椅子の背後にある巨大なステンドガラスが割れて黒い物体が飛び込んできた
「な、なんだこれ!」
黒い物体が次々と室内に入っていく。そして次々と落ちてだんだん液体のような形から黒い人型になっていくとてもグロテスクな光景だった。そしてその物体、いや、黒隊は
キイィィィィ
と黒板を爪て引っかくような叫び声を上げ優多に襲いかかってきた。
「わああ!くるなああ!」
優多の体は震えていた。初めて見る恐ろしい生き物の恐怖といつ殺されてもおかしくない恐怖に。
だが、剣術で鍛えた精神で自分をなんとか落ち着かせた。
「そうだ!僕には重力を操る能力を持っているそれに僕は剣術を習っていたんだ!」
なんとか自分に言い聞かせ、こいつら黒隊を倒すという選択肢を選んだ。が、肝心な事を忘れていた。
「待て待て待て!重力を上手く利用したところで肝心の剣がないと!確か持ってきた刀は…やばい!部屋に置いてきたんだった!どうしよう…」
“刀が欲しいんであれば自分で作ればいいじゃないか”
「…え?」
空耳だったのか、周りには数百体の黒体と自分しか居ない。
黒体の連続で続く攻撃をスレスレでかわし、考えたがどういうことかさっぱり分からない。
“あーもう!集中して気を溜めるんだよ!君が今いるのは現実じゃなくて不可が無い世界なんだよ。だから常識外れな事を考えなきゃ絶対に負けるぞ!”
優多は、またその声に戸惑ったが、
「やるしか無い」
そう自分に言い聞かせ、
集中力を入れ刀を抜くように手を思いっきり振った。そして驚くことにその手には、
青白く光輝く聖剣を持っていた。
“ね?できたでしょ?”
「すごく…馬鹿みたいです」
行動が思いっきり中二病だったせいでなんか変な気持ちだった。
だが、謎の声が言ってるように確かに僕がいるところは現実じゃないし夢でも無い。
謎の声が言っている通り
『不可が無い世界』だ。
「よし今度こそ戦える準備が整いました。さて、どこからでもかかってきなさい!」
優多は自信満々な顔をし、刀を構えた。そして、
「キイイィィィィ シャアァァァァァ バャォォォ」
悲惨な黒体の呻き声が多くなると共に
黒体がものすごい速さで、こちらに向かってくる。
襲い掛かる黒体の群れに一歩も引かず優多は攻めて行く。
前だけでは無く。横、斜め、背後、360°どこから見ても黒体が優多に手を出す隙は無かった。
そして、決まり技に勢いをつけ、高く飛び刀を残像ができるほどの大回転斬りを放ち、ここにいた全ての黒体の下半身と上半身が切り別れた
1時間約43分5.38秒全て黒体を倒した。
でも不思議なことに黒体の血などがまるで無かったかのように消えてなくなっていた。
買ったのはいいが、初めてやることだったからか、疲れがどっと出てその場で倒れこんでしまった。
「ああ…疲れたなぁ」
それに、不思議な事に今までの自分だったら襲われるだけで、何もできなかっただろう。だが、
『今』は違った。
黒体になんの抵抗もなく…いや、少しはあったが、後半一歩も恐れなかった。
ものすごい成長だったように感じる。同時にものすごい勇気を得られたような気がした。少なからず、今いる自分はもう元の自分。弱いままで情けなかった自分では無いと確信した瞬間だった。




