今回のまとめ
こうして事件は幕を閉じた。
無限を呼んで再古真を送った後、2人で香花界に帰りながら長々と話をした。
「あの…無限さん」
「何?」
「カタリアは無限さんの能力で全てが元どおりになったとおっしゃっていましたが、本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫。僕は失敗したことがない」
「フラグですね」
「フラグじゃないよ!」
「あ、それと、」
「??」
優多は軽く緩んだ表情から真面目な表情に変わり言った
「最古真さんの刑はまだ出されていないですが、多分無実か懲役、軽罪などの自由刑の扱いになる可能性が大きいです。最古真さんが望んでいた事が成し遂げられた訳でもないですしまだ油断する事は出来ません。十数年後またくるかもしれません」
すると無限はニコッと笑い、
「その時はその時でまた優多にお願いするよ!優多は凄いから大丈夫!」
そう…この多世界の主も認めるんだから…
本人には分かってないけどまだまだ力は強くなるし、彼の辞書に不可能の文字は無くなる日が絶対に来る。
“なんでもできるから”や“出来ないものは無いから”とかそう言うのではなくて、彼は“可能”だけでなく“不可能”も見るそして、“不可能”を馬鹿みたいに努力して、“可能”にしようとする。
難しい話。不可能を可能にしようとするには誰だって出来る。
でも、誰だって“もうできない”“無理だ”と分かったり思ったりしてしまえば、他人からの声が届かない限りそれをまたしようとはしない。
でも、優多には無理だと思っても。できないと思ってもやり続ける。
誰だってそんなの無駄だとしか思わないだろう。出来ないものにひたすら挑戦し、諦める事は無い。
でも、彼はその行為を断じて無駄だとは言わずに励んでいた。
何を言いたいかというと、彼は決して不可能を不可能のままにしたく無いのだと思う。
何度も何度も繰り返し不可能の壁にぶつかり、そして砕ける。
不可能を不可能のままにしておくのと不可能を可能にしようとするには全然違う。
とにかく、物凄くわかりやすく言えばどんなものに対しても決して弱音を吐かず挑む事を大事にしているということだ。
「ねえ優多」
「なんでしょうか?」
「もう少し夜の散歩を楽しみたいからもうちょっと遠回りして行こう」
「了解いたしました」
帰り道。
一年桜の花を眺めながら夜を楽しんだ。
一年桜は一年中咲いている木。桜じゃ無いけど見た目が似ているから桜とつくのだとか…
薄い、花びらと花びらが重なり合い。それが月明かりで透けて綺麗に見える。
花びら一枚一枚が光っているようで綺麗…
「ねえ優多」
「なんでしょうか?」
「今年の夏も終わりだね、今度スイカでも割りに行こうか♪」
「いやなんで夏の終わりのこの時期に限ってスイカ割りなんですか…まだまだ残暑が続く時期に入りますが、流石に季節外れですよね…」
「じゃあ泳ぎにでも行く?」
「だから、季節外れですって」
すると今度はムスッとした顔して言ってきた。
「え〜〜〜〜〜〜〜〜」
「まあ今夏も色々と忙しかったですし、できなかったのもしょうがないですね…」
「じゃ、じゃあ!」
「だからと言って今更泳ぎにでも行く訳にも行かないですし…」
「…」
無限の目がだんだんと涙目になってきて、数秒後
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ!行きたい行きたい海に行きたい!行きたい!イィィィヤァァァァダァァァァァ!イィィィィキィィィィタァァァァァイィィィィ!」
ぐずりだした。
もういい年して何ぐずってんだよ…
「あのですね…無限さん…」
「イィィィィヤァァァァァァダァァァァァァァァァァ」
「今更、泳ぎに行ってもクラゲの時期ですし…」
「ヤァァァァァァダァァァァァァァァァァァ!」
「…」
「行きたい行きたい行きたい行きたい行きたい行きたい!優多の馬鹿!馬鹿!馬鹿!馬鹿!馬鹿!アホ!クズ!アンポンタン!弱虫!弱体!」
「…」
小学生かよ…全く…
「分かりましたよ…今度行きましょうね…」
「…」
寝転がってジタバタしてるのを止めるべく仕方なく言ってしまった…
数秒後、ムクリと立ち上がり。気になるその顔は…
『笑顔』
だった。
こうして今年の夏が無事終わる事もなく、こうして今回の事件。『夢化夢幻』は無事解決し、この多世界に再び平和が戻ったのでした。
めでたしめでたし




