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想像×創造 A different world in the reality  作者: 蜜柑 猫
想像×創造 2章 不穏の夜編
18/27

敵は少々アホな子のようです。

あれから“時間無経過空間”を3分程飛び回り、何事も無く無事に、目的地へと到着した。


木組みの家と石畳みの街であるその地は、ル・ルナ、『賑わいの中』という世界。

この世界の人口密度は高く、約一京5007兆106億人程で、世界の9割家や、店である。

それに、物凄く活発な良い街である。景気も良く国民の平均年収、約1億7000万程と、高い。

国民の8割は、裕福な暮らしをしているが一部職につけなくて、街の奥深くにある貧民街に住んでいる者もいる。


ストンッ


と、街のシンボルでありこの世界で歴史深い建造物の時計塔の前に今回の“事件”の解決屋である1人の少年。


陣之内 優多


が降り立った。

「やっと着いた…こっちは、まだまだ暑いな〜」

それもそうだ。現時点のル・ルナの気温は29.8度と蒸し暑い。

やはり、よほど暑いのか出回っている者もあまりいない。


「お兄さん、こんな暑いのによくそんな格好で居られるね〜暑さ感じないの?」


いや、いた。

ベストに、スーツズボンという、この暑い世界に似合わぬ格好の僕にある男の子はわざわざ突っ込んでくれた。何と思ってあげればいいのか…

「いえいえ、物凄く暑いです。今にでも脱ぎたいくらいに…」

「お兄さん脱がないの?もしかして馬鹿なんじゃないの?」

心配してくれた。嬉しい。言葉を直してくれればもっと嬉しい…

「いえ、でもこれは仕事服なので脱ぐわけにはいかないんですよ」

本当は違う。着替えがないだけだ。

「へ〜お兄さん」

「何でしょうか?」

「嘘ついたでしょ?」

その言葉で全てを察した。まず、


こいつ…心読めんじゃん…

ってかそろそろ日陰いこ?じりじりと、直射日光に照らされて地味に暑いんだよ…


「お兄さんは今、僕のことを心読めると思っているし、実際にそうだよ。それに暑いんだったら言ってよ、僕も同じく直射日光に照らされて死ぬほど暑いんだから」

「あ、そう何でしたか…」

そして、日陰のベンチに腰掛け男の子と話し始めた。

と、話し始めようとしたその瞬間、

「言わなくてもわかるよ」

「あ、そうだった」

何だろう…この複雑な気持ち。

「僕の名前は、ナダ。10歳で、覚と悪魔のハーフなんだ」

「ほうほう…だから人の心を読めるんですね」

「そういう事。だけど、全ての事を読む事は可能じゃないんだ」

あれ?さっき言っていた事と矛盾してるぞ?

と、ナダを見て思っていたが


「ん?」


どうにも反応がおかしい。と、いう事は…

「ナダさんは心が読める時と読めない時があるんでしょうか?」

「うん、僕は読める時と読めない時がある。だから僕の夢は、父さんみたいな立派な覚になる」

「立派な夢ですね」

それにしても夢か…今考え直してみるけど僕の夢って何だったっけ?学んだ剣術を今後活かす事?それとも、有名になる事?今考えて見れば自分に『夢』なんて物は無かった。ただ現実を生きているだけだった…



ただ『今』を生きて、

やってもできなかった事を『想像』だけで可能にして

現実だけを『考え』



結局、何をしていたのか分からない『時間』であった。今、大きな力を手にしているが、今したい事は何か?と問われた時、僕はなんと答えるだろう…


多分…

何も考えないと思う。

だって今まででもただただ、『やっているだけ』をやっていただけなのだから…

だから『夢』一つ持てない自分に成り立ったのかもしれない。

「お兄さん」

「…」

「お兄さん!!」

「は!はいいいいいい!」

考え事をしていた中急に呼ばれたもんだからびっくりした。

「顔色悪いけど大丈夫?」

「あ!いや、大丈夫ですよ」

ニコッと微笑みかけ、そして会話を再開しようとしたその時、

大声で男の子の名を呼ぶ声が聞こえた。

『ナダアアアアアアアアアアアアアアア!見つけたよオオオオオオオオオオオオオオオオ!』


ズダダダダダダダダダダダッ


と、物凄い勢いで走っていたのは女性で、その人はこちらにダッシュで来た。

「ハアハア…ナダ!ハアハア…よう、ハア…や、ハアハア…く、ハアハア…見つけ、ハアハア…たよ、ハアハア…」

息を切らしながら喋っていたその女性は、ナダの両手を両手で握っていた。

「あの…だ、大丈夫ですか?」

「え?あ、大丈夫です。すいません弟が迷惑をかけて…」

何だ…姉だったのか…

「はい、そんなんです♪ナダがたくさん教えてくれたんですが、貴方は優多さんですよね?」

あ、そうだった…ナダの姉であれば親のDNAを受け継いでいる…という事は心を読める…

「ま、まあそうですけど…」

「やっぱり!それじゃあサインとか…もらえます?」

ナダの姉はまさにハイテンションそのものだった。

頬を赤らめその頬を両手で押さえ僕に聞くその姿は肉食系そのものだった。

やはり、悪魔と妖怪のハーフだけあってやはり、親のDNAが姿でも引き継がれている。細長い尻尾に、綺麗な羽。飛び出た鋭い牙に、後方に曲がりくねった角。

まさに悪魔だ。童顔で可愛い。

「いいですけど…どこに書けばいいんですか?ペンなんて持ってないですし…」

と、了承はしたものの、肝心の書くものがない。

が、それを言った途端肩に掛けていたミニバッグから色紙と、筆ペンをセットで。それも賞状を受け取ったような体勢で渡してきた。

「有名人や芸能人に会った時いつでもサインをもらえるように常備しているんです!」

「へ?ちょっと待ってください!?有名人や芸能人?」

優多は、その言葉にものすごく驚きの表情を隠せなかった。

「え?え?え?待ってください!?僕ってそんなに有名なんですか!?」

一番ストレートに聞いた。自分が今この広い広い世界の中でどういう立ち位置にいるかを、


「え?結構優多さんは有名ですよ?なんせ、秋林城の三上王や嬢我亭の秋彦王子、院霊殿の澤我様などの中心人物が『是非二代目になって欲しい』『娘の婿になって欲しい』などと言っている程なんですから」

だから毎回お茶に誘われるのか。

「ですが、それよりもこの広い広いた世界の中心である香花界主の開智様についてある事がまた一段と凄いんです」

なるほど…やはり、みんなはすごいと思っているんだ。そうしたら従者である自分も何だか自然と笑顔になっていく。

「そう言えば…今日も“調査”ですか?」

え?なんで知ってんの?普段人目に触らないように隠れてやってるのに、なんで知ってんの?

「それは、新聞とかでたまに記事に載るから…」

「そうですか…良い情報をありがとうございます」

優多は、後でその新聞社を訪問する気満々だった。

「う〜ん…じゃあ…」

「事件解決です」

優多は、先に言った途端。辺りは静まり返った。

まるで、さっきまでの活気が突然と冷めたように辺りは静まり返った。

「えっと…みなさんどうしたんですか?そんなに静まって…」

優多は少し戸惑いながらも、なんでも知ってそうなナダの姉に聞いた。

すると、とんでもない答えが返ってきた。


「くるんです…」

「へ?」

「あいつが…来るんです…私達を殺しに…」

ナダの姉は静かに答えた途端、身体中が震えてたちまち倒れてしまった。

そして、辺りを見る。みんながみんな同じく



“倒れていた”






その有り得ない事態に優多は思った。


『今、何が…起きているんだ?』






「おいおいおいおい…来るの早すぎじゃね?」

街のシンボル時計塔に彼はいた。

《何処にも属さない者》アンベルシン・カタリーナ

背中に背負った二本の白い剣と黒い剣がガチャガチャと揺れている。

「優多くん…だっけ?」

彼は、目を光らせて言った。

「みんなみんな元気だな〜夜はここを始めたくさんのやつが苦しんでるっていうのに…と、話は変わるけど…あいつの計画を見抜くのは、予想内 計算内だったけど、だけど…」

彼は、余裕がある表情から不満そうに僕を睨み、言った。



『早過ぎる』



「早過ぎる…早過ぎる…優多くん…ちょっと足止めさせて貰おうか?当然生きて返すつもりは無いけど…」

「僕に与えられた時間は少ないんです。会話が意味わからない方向に行く前に貴方をすぐに倒します」


重力の方向、カタリーナ。強度を極強にし、その瞬間優多はぶっ飛んだ。


「僕の能力は、戻す能力。だから、君の全てを戻すことができる…」


それを言った瞬間、優多は大きく弧を描きながら思い切り時計塔の柱に突っ込んだ。

「へ?」

「だから戻したんだよ。“僕を重力の方向に定めた事”を」


何が起きたのか、段々と理解できた。

そうだった、そういえばカタリーナは“戻す能力”を持っている。

ただ、なんでも戻せるわけではなく時を戻す事と感情を戻す事はは不可能である。つまり、無限のように“万能”ではない事。

このような能力者の対応として、最も適した方策というのは、ただ一つ、

“過去の自分を今の自分に移し、過去を分からないようにする”

簡単に言えば、今の自分の思考や行動など全て過去と同じく取るという事だ。

「随分と図り解ったような表情をするじゃないか?」

突っ込んだまま身動きが取れない僕に向かってカタリーナは静かに低い声で続けて言った。

「陣之内 優多…お前は、今『夢』が見えない。いや、見つける事すらできないようだね…生まれた時から夢が見られないんじゃ…」

カタリーナは最後言葉を濁らせた。




「おいおい…マジかよ…本当に超人なんだな…」


その時の彼は、焦らず冷静だった。

だって、もう自分が“優多”に思い切り殴られると解っていたからだ。



次の瞬間、

激しい衝撃と共に、カタリーナは180mある時計塔から物凄いスピードで落ちて行き、

時計塔の真下にはそこそこ大きなくぼみができ、そこから大きな煙と共に、二つの影が写っていた。

1人は、くぼみの真下で仰向けの状態になっており、もう1人は、彼の溝辺りが拳に入っていて、身体は彼を殴ったと見られる右手に体重をかけ、胴体は宙に浮き、ほぼ一直線の体勢であった。


当たり前だが前者がカタリーナで後者が優多である。


それにしても体を張った大技だ。

連続パンチからの回し蹴りからのかかと落とし。それから落ちている最中のカタリーナに向けて、重力を極強にした自身で、カタリーナをありえない早さのスピードで落とした。

着地の時は、

カタリーナがクッションになった事や足を曲げた事、腕を曲げたことで衝撃が吸収され、腕の骨を始め使った体の全てが大丈夫であった。自分の体は怪我してもすぐに治るのは分かっている。が、やはりそう言った後天的なので使いすぎると体に影響を及ぼしかねない。

「ふっふっふっふっふっふ…グハッ!」

かなりのダメージを食らいながらも笑う彼に、優多はその状態から一瞬の早さで体をひねり、宙に浮いた瞬間かかとを


『秒』


の速さで思い切り、殴って綺麗に拳の跡が残ってる場所に落とした。

当たった時、カタリーナは白目を剥いて気絶していた。

カボチャパンツをもうちょっと長くしたような。ボンタン

(昔のヤンキーが履いているようなやつ)ではないのだが、六分丈〜七分丈程の大きさでクリーム色とチョコレート色が組み合わさったストライプの模様であった。

と言うより、ボンタンのせいで凄いのをイメージしそうだが、スカートの様な自然な膨らみをイメージしてくれればいい…と言うか付け足す。


“スカートと長ズボンを組み合わせたもの、いわゆる『ガウチョパンツ』の裾の部分が緩くしまっている感じ”


これをイメージしてくれればいい。

我ながら、うまい説明が出来た感じだ。

下の方の洋服で、話は長くなったが上はもっとややこしい。自分でも上手く説明できる自信がない…

半袖の袖(細かく言えば下の方の)に、布の輪が縫い付けられていて、その輪の先が手に結ばれている。これが両方に。

洋服の生地は…ワイシャツだろうか?布が薄い

だが触り心地…はマイクロファイバーの様な細かい毛が集まった様な感じだ。右襟の先には、りんごの形に切り取られ、赤の刺繍で縁取られている。

結果、始めて試みた『洋服で世界を探す』と言う作戦の“第一回目は失敗に終わった。成功してほしかったな…


この時なぜ、優多は洋服を見たか。それは、

“世界や、その世界の中の国々にある『伝統』というもので、服装や髪型、武器で分かる。

だが、困った事にそれぞれが“似ていることもある”そんな時は、『勘』を使う。それしかない。

今度は、立ち上がり現場に沈んでいた色を元の状態に戻しに行った。「もう、戦闘は終わりましたよ」と、

それにしても、みんながみんなカタリーナを結構敵視していたみたいだ。まあ仕方がない『悪』そのものみたいな感じなんだから。






しばらくして。といっても一、二分ほどだがその場に倒れ気絶していたカタリーナが頭を押さえて、こちらに歩いてきた。違うそこじゃない。僕が攻撃したのは腹だ。

「あれ?攻撃してこないんですか?」

「あれだけやられれば、もう反撃なんかできねーよ」

と、戦う前とは思えないほどの不機嫌そうな顔だ。

その顔で、優多の方に行き足元に座った。

「負けたんだ。いいよ、舐めてやんよ靴ぐらい」

「待ってください!その思考はどこから来たんですか!?僕はそんな約束など組んだ覚えは絶対にしたことないのですが!?」

正座して、両手で口に運ぼうとしている靴を思い切り引き離した。そのせいで、カタリーナは顔面を勢いよく床にぶつけた。

「いったーい!何してくれてんだ」

「其れはこっちのセリフですよ。一体全体どうして『靴を舐める』ってことになったんですか?」

「えーだって、それが勝負に負けたやつがやる事なんだよ?優多達には非常識なのかもしれないけど、僕達はそれが礼儀であり法である。だから…」

「礼儀なの!?法なの!?」

若干いや、既に危険な方向へ入っている事はなんとなく分かった。

「とりあえず、なんかないの?その…靴を舐める以外に…」

優多は、ダメ元で聞いた。なぜダメ元で聞いたのかは、わからないけど…

「他にもあるよ。相手の願いを叶える」

「それだ!」

あった!ダメ元で聞いたがあった!何故かテンションが上がる!

「じゃ、じゃあ!この事件の主犯知ってるよね?だからその下まで道案内して欲しいんだけど…」

「別にいいよ」

やった!おまけにokももらえた!敵なのに

「でもそんなのでいいの?僕、『性同一種動物』の類だから、あんな事やこんな事ができるんだよ?」

「いや、それは大丈夫です」

キッパリ断った。あちらにもこちらにも必ず被害が及ぶ危ない事はやめるべきだ。

ちなみに性同一種動物と言うのは、通常『男』『女』と、性があるが、性同一種動物は、男と女が合わさってできた体を持つどちらでもない者。または、男と女になれる者を指す言葉である。

性同一種動物の体のつき方として、胸は、大きくなる者からぺったんこのままの者まで色々あるが、下半身の方は性器がないのが特徴だ…




って、僕なんでこんなけしからん話に盛り上がってるんだ?

それで、性同一種動物は、先天的の場合と後天的の場合の両方あり、またこれもなってしまう者と、なれる者と、なれない・ならない者が種族や、眷族によって異なる。

カタリーナの場合、あんな誘いもしてたんだし、やっぱり、後者なのかな?

「そういや、カタリーナさんって先天的と後天的のどちらなんですか?」

あまり、大きな声でするような話ではないので、耳元で小さく囁いて言った。

「僕は、後天的だよ。女にも男にもなれる。ちなみに今は、男だよ」

らしかった。

どうしよう…なんて答えていいのか分からない…

何故かカタリーナは僕からの返しを待っていた。

キラキラしている。やめて、僕どうしていいか分からないから。

「そ、そうなんでね」

噛んじゃった。意味わからない所で

その返しに、カタリーナの顔は不満そうな顔になった。

機嫌を損ねてしまった。

「やたらと、適当だなー」

怖い怖い目だった。

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