離別の決断
俺がどんな気持ちなのかきっと知らない。本当は頼りきって、依存したい。毎日連絡をとりたい、でも同じぐらいあいつにも上手くいってほしくて。
一度言葉にして、伝えてしまった"強くなる"そんなものに縛られてずっと動けないでいる。お前が好きだといった歌手や、歌詞、色々な、些細なものが、日常を蝕み始めている。
クリスマスにもらったマフラー
一緒にはじめたゲームのカード
励ましのメール
物理的な距離が離れてしまえば、そうやってたくさんあいつが与えてくれた、なにかにすがるしかなくて。あいつが使っていた柔軟剤の匂いの記憶だけを、俺の中に残して離れていく。
町で同じ匂いを纏った知らない誰かに気づく度、余計に心が苦しくなって、いつまでも離れられない自分に嫌気さす。
「俺は、できるだけ人に頼りたくない、頼ったその相手が居なくなってしまったら怖いから」
そう言っていたのに、結局離れていってしまったのは向こうのほうで。
俺ばかりから連絡してるなんてズルい。そう伝えたばかりなのに。そうしたら、俺も、もっと能動的になるって言ってくれたばかりだったのに。
いつもなら、少し深刻な話題には必ず返信をくれたのに、今回は返信もなければ、会社内で会いに来ることすらしてくれない。
だから言ったんだ、近付けば近付くほどに、自分の気持ちを、自分の気持ちを全く言わないお前に伝えれば伝えるほど、離れていく気がするんだって。怖いんだって。
お願いだから離れていかないで、側にいてほしい。