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《神具》召喚⑥

「リナの気持ちはわかった。

 急いでキスをさせようとした私が悪かったのかもしれない。

 今日の夜から二人きりで同じ家で過ごす事になるのだから、家でゆっくりとするといい」

「「ーーえっ⁉︎」」


 イリイスの言葉に対し、霆とリナは一緒に驚きの声をあげてしまった。

 いきなり初対面の異性といきなり同じ部屋で夜を一緒に過ごすと言われたら、誰だって同じ反応をするだろう。

 霆がイリイスに理由を尋ねようとする前に、叫ぶようにリナが言う。


「なんで私が霆なんかと一緒の家で、夜を過ごさなければならないんですか?」

「リナは何を驚いている?

 霆は《神具》なのだから寝食を共にして当然だろう」

「私は絶対に嫌です。

 どこの馬の骨だかわからない下賤な男なんかと一緒の家で過ごしたくありません」

「『どこの馬の骨』ってリナが呼び出した男なんだがな」

「学園長、そうかもしれませんが絶対に嫌です」

「それでいいのか?

 同じ家だったら霆が寝て意識がなくなった時に、リナはキスをする事が出来るんだぞ?」

「……なっ! そんな事は絶対にしません」

「そうか……、困ったなぁ、余分に空いている家はないから、別々の部屋にする事は出来ないのだが……」

「そうであっても、絶対に嫌です。

 どこの馬の骨だかわからない男なんて、馬小屋に寝せておけばいいんです」

「リナはそう言っているけれども、霆はどうしたい?」

「『どうしたい』って、流石に馬小屋では困ります」

「リナ、私も流石に馬小屋ではひどいと思う。

 ミヤルザもそう思うよな?」

「はい、私も流石に馬小屋ではひどいと思います」

「それでは、馬小屋よりもマシな場所……、例えば、空いてる教授の部屋とかに住まわせればいいじゃないですか?」

「空いてる教授室はない」

「そんな事はないはずです。

 こないだ不祥事を起こして、急にやめた教授がいるって聞いています」

「はあー、その事を知っているのか……。

 確かにリナが言ったように急にやめさせた教授はいる。が、その部屋は空いているわけではないのだ。

 それに、《姫巫女》と《神具》は共に一緒にいてお互いを理解し親密になるべきだとされている。

 もし、《姫巫女》にとって大事な《神具》をないがしろにして、一緒の家で生活をしないという事になると……、私の立場としてはリナの成績を最下位にしなければいけない」

「あぁーーー、もう、私を悪者にして!

 はいはいはい、わかりましたよー。

 霆を私の家に住まわせればいいんでしょ⁉︎ 私の家に住まわせれば!

 私の家は4LDKで余っている部屋があるからそこを使わせてあげる」


 イリイスの説得に、降参といった表情で言うリナ。

 霆は今までのリナの上から目線の話し方からしてできるだけ一緒にいたくないし、同じ家に住みたくなかった。が、まっとうな部屋と馬小屋の二択で選択しろと言われたら、まっとうな部屋しか選びようがなかった。だから、リナの家に住まわせてもらえる時に『嫌だ』と言わずに、流れに任せる事にしたのだった。

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