表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/33

《神具》召喚④

(魔法使いとか、《神具》とかって、漫画やラノベのような事をリナ達は言っているけど、本当の話しをしているのだろうか?)


 学園長の部屋に来て、リナとイリイス、ミヤルザの一連の話を聞いていた霆の率直な気持ちだった。

 そして、なぜかさっき会ったばっかりの女の子とキスをしたいかどうか、と聞かれている。確かにリナは可愛い。が、いきなり知らない場所に来て、ちゃんと話しもした事のない女の子とキスをしたいかどうか聞かれても困る。


「いや、キスとかの話よりも、俺はどんな状況になっているのかを知りたい」

「リナとキスをする状況、ということだな」

「いや、学園長、俺はそういったふざけた話を聞きたいわけじゃなくって、真剣に教えて欲しいんです」

「私は本気で話しているよ。

 さっきまでの話に出てきていたように、《姫巫女》にとって、《神具》とはとても大切な物になる。

 だから、リナの《神具》である霆には、リナとキスをして、《神具》の召喚儀式を最後までやってもらう必要がある」

「その《姫巫女》とか、《神具》とか、魔法とかって言われたって、俺がいた世界にはなかったもんなんだから、当たり前のように言われたって困る」

「そうか……、そうだったな、霆は異世界から来たと言っていたから、色々と知らない事だらけ、という事なんだな?」

「はい」

「わかった。では、今から魔法を見せてやろう。

 魔法の存在を知ってもらわない事には始まらないからな」

「学園長、そしたら私が魔法を見せます」

「いや、いい。ミヤルザの魔法より、私の魔法を見せた方が納得しやすいと思うから」

「わかりました」

「じゃあ、霆、紅茶が飲み終わったカップを床に落として壊してくれないか?」

「……えっ……、こんな高級そうなカップを割っちゃていいんですか?」

「大丈夫だ」

「わかりました。では、落とします」


 いきなりカップを壊せ、と言われて戸惑った霆だったが、カップを床に落とすようにと2回言われた以上、言われたようにカップを自分の肩ぐらいの高さから落とす。

 すると、カップは重力に従って床に落ち、『ガチャン』と割れる。元々いた世界、日本の東京にいた時と変わらない光景になる。

 イリイスは、割れたカップを見て、うん、と頷き、


「ここまでは、霆がいた世界と同じ、という事でいいな?」

「はい」

「じゃあ、私がこれから魔法を使って壊れたカップを直す。

 手品とかと違って、タネや仕掛けがあるわけではない。

 もし、気になるのであれば、割れたカップに触って確認して欲しい」

「わかりました」


 腰をかがませ、カップに触る霆。

 紅茶を飲む為にさっきまで普通に自分で使っていたカップだから特に問題はないと霆は思ったが、イリイスに促された事もあり念の為に割れたカップに触ったのだった。


「特に変わった所はないと思います」

「では、私の《神具》を出す所から始めよう。

 《姫巫女》が《神具》を出すにあたって、《エレウテリアー》と呪文を唱える。

 すると、《神具》が出てくる。

 私の場合は、肩から腰に向かって羽衣のこれの事だな」


 と、言いながら、肩に突然光が集まるようにして、いきなり現れた羽衣に向かって、人差し指でさすイリイス。

 霆は、イリイスの行動に驚きながら、頷き、先の行動をイリイスに促す。


「これから魔法を使って、カップを直すから見ていて欲しい」


 イリイスはそう行った後、羽衣がカップに向かって伸びていき、カップに触れた後、カップが元に戻ったのだった。


「これが、私達が住む世界の魔法と《神具》だ。

 ただ単に物が壊れる魔法を見るよりも、物が直る魔法の方が実感があるだろう?

 霆、カップを拾って、テーブルの上に戻してくれないか?」

「……わかりました」


 霆は再び腰をかがめ、カップに触れて持ち上げる。確かに壊れていたカップだっだにもかかわらず、傷一つなかったのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ