契約⑩
ミヤルザは赤い刀をだらりと下げて、ゆっくりとアキミナに向かって歩いて行く。
アキミナはミヤルザが近づいて来た事に気がつくと、茶色い槍をミヤルザに向かって構えるーー
ーーと、思った時だった。
ミヤルザの足元に土が盛り上がり出し、土がミヤルザの足に絡みつこうとする。
「おおっと、」
ミヤルザは跳躍して土をかわしながら赤い刀を振りかぶる。ミヤルザはアキミの動きを封じる為にアキミナを炎で囲もうとし、着地する共にアキミナに向かって赤い刀を振り下ろす。炎が、赤い刀の動きに合わせて出てきて、アキミナに向かう。
アキミナは迫り来る炎に対応すべく、槍で自分と平行に線を地面に書く。すると、土の壁が出てきて、ミヤルザが出した炎が防がれる。
「……ちっ、固いな!」
現在の状況に困るミヤルザ。
土の壁を炎によって炙っているが、なかなか壊れそうもない。ミヤルザが全力を出せば火力を上げて土の壁を破壊する事は可能だが、火力を上げるた事によ熱風でアキミナを重度の火傷を負わしてしまうかもしれない。
リナを救出するというのが第一の目的であるが、学園の教授であるミヤルザとしてはアキミナもぶじに連れて帰らなければいけない。
(どうすべきかだろうか)
苦慮するミヤルザ。
ミヤルザは火属性の魔法を得意としている。アキミナの土の壁を壊すには上級クラスの火属性の魔法を使う必要があるが、使うと力が強すぎてアキミナが死んでしまう。火属性の魔法は戦闘で物体を破壊する事に適しているが、物体を絡め取ったり守ったりするのは難しい。
ミヤルザはふと、リナがいる方を見る。
リナの動きを封じていた土の足枷と手錠は壊れている。エフィがうまくやったらしい。
(仕方がない、リナが助かっただけでも良しとして一旦引くか)
ミヤルザがエフィ達の所に向かうタイミングを見計らっている時だった。
エフィがアキミナに向かってラグビーボール位の水の球を打ち込んだのだった。