剣の訓練②
霆とリナが剣の訓練を二人でする事になったのは少し前に学園長から指示を受けたからになり、話しは昼頃までに遡る。
◆◆◆
霆がリナに召喚された次の日、霆は朝食を夕食の時と同じ様にユキミルに自分の部屋に運んで来てもらい食べ、何もやる事もなく自分の部屋でずっとダラダラしていたのだった。
昼食の時間になった頃、『トン、トン』とドアにノックがあり、
「もしよろしければ一緒に昼食を食べませんか?」
と、ユキミルの声が聞こえて来たのだった。
霆としては一人で食事を食べるよりも誰かと一緒話しをしながら食べた方が楽しいからいい。だから、ユキミルの『一緒に昼食を食べないか?』という提案はありがたい。
だが、リナと一緒では嫌だ! あの傲慢なリナと一緒に食事を食べると、料理がどんなに美味しくても絶対にまずく感じるはずだ。
霆はドアを少しだけ開け、ユキミルと目を合わせた後、小声で、
「リナはいるのか?」
「んっ……?」
可愛く首をかしげるユキミル。
ユキミルはちょっとした後、あ〜、と何かに気づいた様な顔をした後、小声で、
「リナお嬢様は霆様が出て来るのが遅いととっても怒ってますよ」
「ーーえっ……」
昼食の時間なんて事前に聞いていないにもかかわらず、『出て来るのが遅いととっても怒ってる』なんてどこの国の暴君だ! と思いながら、慌ててリビングに向かう霆。
だが、リビングにはリナはいない。
霆は後ろに振り向き、ユキミルの方を見ると、ユキミルは、クスクスと笑っている。
霆は困惑しながら、
「リナはどこに?」
「リナお嬢様は学食で昼食を食べるのでいませんよ」
「さっき、ユキミルはリナがいるって言ってたよな?」
「あれは、霆様がどんな反応をするか気になってついた嘘です」
えへへ、といたずらが成功して嬉しそうな笑顔を見せるユキミル。
霆は、『ふざけんなよ!』と言いたかったが、色々と世話をしてくれているユキミルと関係を悪くしたくないので、
「もう、こんな嘘はつくなよ!」
「は〜い」
と、霆の言った事に対して了解を意味する返事でユキミルは返すが、明らかに『またやりますよ』という意図が読み取れる。
霆は、リナがいなかっただけでも良かったと思うべきかと思い、はー、とため息をつく。
ユキミルは、霆がため息をついている姿を見て満足そうな表情をして、料理が乗っているテーブルのある椅子に座る。
「じゃあ、一緒に昼食を食べましょう」
「……わかった」
霆はユキミルの言葉に力なく頷き、椅子に座る。
そして、ユキミルが手を合わせ神々に祈りをしてた後、食事を食べだしたので、霆も自分の前にあるパンにかぶりつく。
その時だった。急に家のドアが開き、リナが霆を睨みつけて立っていたのだった。
「霆、私について来なさい」
「いや、俺はまだ昼食がまだなんだけど……」
「帰って来たら食べさせてあげるから」
「じゃあ、いつ帰って来れるんだ?」
「わからないわ」
「じゃあ、食べる時間を少しくれ!」
「ダメよ。
もし、今一緒に来ないんだったら、もう二度とエサはやらないわ」
「……はぁー」
「返事は?」
「わかったよ。行くよ」
霆はリナから食事をもらえなくなったらどうしようもないので、仕方がなくリナに従ったのだった。




