剣の訓練①
霆がリナに召喚されて次の日、霆はリナと一緒に学園の敷地内にある林の中に来ていたのだった。
林は、木々の葉によって日光が遮られやや薄暗く、地面には草が生えず湿気を含み土がむき出しになりぬめっていていたり、グチャリと足跡が付く所もある。
そんな場所で、霆は木で作られた剣を右手で持ちリナに向けて構えていた。が、どこかぎこちない。それもそのはずで、霆は今まで剣を構えた事は一度もない。なので、霆はアニメや漫画などで見た事のある様に構えていた、という具合だった。
霆から5m位離れている場所に立っているリナも剣を右手で持っているが、構えず、肩にポンと置いて、退屈そうな表情をしている。
「じゃあ、剣の訓練を始めるわよ。
全力で私にかかって来なさい」
「いいのかよ。
俺は今まで剣なんかを使った事はないが、力はリナよりも絶対にあるはずだぜ!」
「大丈夫よ。
霆みたいにアリンコみたいな底辺男に私は負けないから」はぁ〜
リナは、あきれた声で言う。
身分制度という決まり事で下に見られるのは仕方がないかもしれないが、細い体格のリナと力を比べをして絶対に負けないと思っている霆はリナに挑発されて、カチンときた。
確かに霆は今まで剣を使った事はないが、日本の東京で学校に通っていた時に体育は得意だったし、リナの細い体格からして霆の方が絶対に力はある。剣の打ち合いになれば最終的に勝つのは力が強い方だと、霆は思った。
「じゃあ、行くからな!」
「だから、さっさと来なさいって言ってんの!
私は霆に手加減してあげるから安心しなさい」
「ーーなっ……! ふざけんな!」
リナの『手加減してあげるから安心しなさい』という言葉に霆はさらにカチンと来て、剣を振りかぶったのだった。




