リナの家⑥
(しっかし、リナは本当に傲慢な奴だな)
霆は自分の部屋にあるベットで寝転がり、リナに召喚されて出会ってからの事を思い出しながら心の中で思ったのだった。
しかも、霆の部屋でユキミルと話しをしていたらリナがいきなり部屋に入ってきて、『私の部屋に入って来たら一億回殺すから!』って、言ってきた。
(誰がリナの部屋に行くかっていうんだ!)
そもそも、勝手に人の部屋に入ってくるなって言うんだったら、俺の部屋に入って来る前にちゃんとノックをしてから入って来いよ! と霆は思った。
そんな時、霆はユキミルがリナの性格について話していた言葉を思い出す。
ーー リナお嬢様はとっても負けず嫌いで、トゲのある様な言い方をしますが、心の中でとっても優しい事を考えてたりします。
ーー 捨てられた子猫の様に甘えてくる。
前者の方は、学園長もリナの性格について似たような事を言ってたな。
霆はまだリナとの付き合いは短いから『負けず嫌いで、トゲのある様な言い方』という面についてはよくわかるのだが、他の面は正直『本当かよ⁉︎』って疑いたい気持ちがある。
(ただ、ユキミルや学園長が言っているリナの性格が本当ならば、喧嘩をして話さなくなってしまった幼なじみの性格に似ているな)
霆には同い年で生まれた時にはすでに隣に住んでいた異性の幼なじみがいた。
だが、中学二年生の時に意見が合わなくて喧嘩をしてしまって険悪な関係になり、仲直りをせずにまったく話しをしなくなってしまったのだった。
霆は幼なじみとなんとか仲直りをしたいと思っていたが、なかなか機会がなく仲直りできず後悔をしているのだった。
(ーー 幼なじみと仲直りをしたいって強く願っても、戻れないから無理なんだよな……)
学園長の部屋で学園長のイリイスと話しをして、日本の東京に戻る方法は知らないと言っていたから、戻るのは難しいんだろう。
まあ、雷に撃たれて死んだと思ったのに、生きてたんだから良かったと思うべきなんだろう。
でも、どうやって生きていくかが問題だな。昔のラノベの主人公とかは元の世界に戻りたがったりするけど、最近の主人公って異世界で王様になったり、ハーレム作ったりと色々頑張ったりするのだろう。
(そしたら、俺は……、ーー)
どうしたらいいか悩むな。
けど、来た世界がどんな場所だかわからないんだから、早急に答えを出す必要はない。
それに、今後の大きな目標を立てる前に、明日、明後日とどうやって過ごしていくかが問題だ。あの傲慢なリナと一緒の家で暮らしていかなきゃいけないし、学園で何をするかも学園長のイリイスが考えて連絡するからと言ってまだ決まっていない。
霆はそんな事を考えながら眠りについたのだった。




