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悪夢  作者: みかど
2/4

1夢 悪夢への入り口

 目が覚めた。AM6:59

 いつもより起きるのが早かった。

「あれは・・・悪夢だったのか?」

 夢で起きた出来事。それは自分が殺されてしまう夢。

 似た内容の夢は今までに何度も見たことはあるが、今回は違う。

「この胸の違和感・・・なんなんだ」

 夢の中で撃たれた胸。変な違和感がある。急速に治った傷・・・いや何か違う。元から傷の痕はついてないし、今もない。

「なんか怖いな・・・」

 夢のことが気になるが、今は学校に行く準備をしよう。

 

 俺、加賀悠介は私立彩夢高等学校の2年生だ。

 成績はいたって普通、容姿も割と満足している。友達も少なくない程度にいる。

 親友もいるし、彼女だっていたこともあった。

 そんな生活に慣れてきた今、ずっとこんな感じで生きていきたいと思う。


 準備ができた俺は家をでて、学校に向かう。

「さすがに今日は早かったな。まだ彩夢の生徒を見かけない」

 時間もまだまだある。今日はのんびりして行こう。

 まだ胸の違和感が消えない。1日たったら治るだろう。


 家から学校までは、歩いてだいたい20分ほどかかる。

 今日はのんびりしてたせいか、35分もかかってしまった。

 教室に着くと、誰かいた。

「おぅ、おはよう」

 声をかけてきたのは、親友の上野和希だ。

「和希か、早いな。まだ8時だぞ」

「いつもはもっと遅いんだけど、今日は起きるのが早かったから」

「和希もか。俺も早く起きたんだ」

「ははっ奇遇だな」

 それから俺達はいつものように世間話をして時間をつぶした。


 授業もいつもと変わらず、放課後を迎えた。

「なあ悠介」

 突然和希が話かけてきた。

「なんだ?」

「昨日変な夢を見たんだ」

「どんな夢だ?」

「悠介を殺す夢」

 まさかとは思ったが、やっぱりそうだった。

「よくわかんないんだけど、気付いたら銃で悠介を撃ってた」

「やな夢だな」

「ほんとやな夢だったよ。俺が悠介を殺すなんて」

 俺は昨日見た夢のことを和希には話さなかった。

 正しく言えば、話せなかった。

 なぜか話すなと頭の中で聞こえた気がしたからだ。

 共通の夢を見るなんて不思議だ。

 これが良い夢だったならよかったのに、悪い夢だからな。

「たかが夢だ。あんまり気にすんな」

「そうだな。そうするよ」


 そうして俺達は帰宅した。

 部屋に入って着替えた俺はベッドに寝転がった。

「和希も同じ夢か・・・しかも殺す側と殺される側・・・」

 不気味に思い、俺は少し寝ることにした。


 ひと眠りした俺は飯を食って、シャワーを浴びた。

 夢は見なかった。

「今日は大丈夫だろ」

 俺は布団に入り目をつむった。


 ○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●

 

 【私立彩夢高等学校】


 まただ。

 昨日と同じ夢。そして昨日と同じ場所。

 昨日と同じ夢なら和希に撃たれるはず。

 そんな気がしたから、俺は校内には向かわず学校の周りを歩くことにした。

「和希・・・?」

 ちょうど学校の裏側まで来たところに和希がいた。

「悠介か?・・・ここ夢だよな?」

「みたいだな」

「昨日と同じ夢なんて信じられないよ」

「ああ。俺もだ」

「俺もってことは・・・悠介も昨日見たのか?」

「まあな。昨日・・・和希かはわからないが、撃たれて死ぬ夢を見た」

「そうだったのか・・・」

「おい・・・和希、それ・・・」

 和希の手には拳銃が握られていた。

「うん。昨日も今も、夢の中に来たらなぜか持ってるんだ」

「危ないからそれしまえよ」

「ああ、ごめん。」

 和希は拳銃をズボンとベルトの間に挟んだ。

「悠介も危ないよ。それ」

「え?」

 和希が指さしたそこには、日本刀が腰にぶら下がっていた。

 さっきまでこんなもの無かったはずなのに。おかしい。

「なんで銃やら刀があるんだ」

「悠介は確か、昨日は刀なかったよね?」

「ああ」

 和希もそこには気づいていたらしい。

「とりあえずここにいても何もないから、校舎に入ってみるか?」

「そうだな」

 和希の提案に俺は賛成した。

 和希がいるなら少し安心だ。


 校門まで戻ってきて俺達は校内へと足を入れた。

 夢なのに現実かと思うほどリアル。

 玄関前に来ると、そこには大きな掲示板がある。

 いつもはそこには学校行事のお知らせや、中間やら期末テストの学年別順位が貼ってあるのだが。

「なんだこれ?」

 和希は掲示板を見て俺に聞いてきた。

「ん?えーと・・・悪夢へようこそ。ここは現実であり夢である。なんだこれ」

 掲示板に貼ってあった紙にはこう書いてあった。



        ☆悪夢へようこそ☆


★ここは現実であり夢である。

★校内に入るとゲームが始まる。

★現実に戻るには1人殺すか、殺される。

★殺されて現実に戻れば肉体に影響される。

★1人ひとつだけ武器が支給される。

★条件を満たせば殺した人の武器は報酬として手に入る。


        ☆詳しいルールは⇒


「ゲームってなんだ?」

「さあ?でも書いてあることを連想すると、殺し合いかな」

「殺し合い!?なんでそんな!」

「俺にもわからん。でも和希は昨日俺を殺したって言ったよな?」

「ああ。確かに悠介を殺した」

「その後、すぐに目が覚めたか?」

「いや・・・悠介が消えて動揺して、しばらくしてから目が覚めた」

「なるほどね・・・」

 だいたいこの夢の内容がわかってきた。

 殺し合いをする夢。

 でも普通の夢じゃない。この夢は現実とリンクしてる。

 昨日俺が目覚めたとき胸に感じた違和感はきっとそれだ。

「和希。ここを見てくれ」

 俺は掲示板に貼ってあるさっきの紙の一部分を指さした。


★殺されて現実に戻れば肉体に影響される。


「これがどうしたんだ?」

「きっとこれはほんとだ。俺は昨日撃たれて死んだときにすぐに目が覚めた。起きたら胸に違和感があったんだ」

「それほんとなのか?」

「こんなときに嘘を言ってどうする」

「ほんとだとしたらヤバいことになったな・・・」

「ああ・・・とりあえず詳しいルールとやらを見てみようぜ」

 俺達は☆悪夢へようこそ☆の隣に貼ってある紙を見た。

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