1、超カワイイ大嘘つきちゃんとイケメン痴漢と素人小説家
「この人、痴漢です!」
「いえ!違いますっ!」
「えっ⁉︎ だって、今、あなた、触られてたでしょ!」
「いえ!触られてないです!」
「嘘ですよ!私、ちゃんと見てましたっ!
あなた、凄く嫌そうな顔してた!
だから、私…
勇気を出して言ったのに!
これじゃあ、私の立場がないじゃないですかっ!
ねっ!本当の事を言ってください。
痴漢…
されましたよね?
お尻…
触られ…ま、し、た…よね!」
「いいえ!
お尻を触られてないし…痴漢も…されてません!」
「ああ〜〜っ!
どう言う事!
アナタ!アナタも、何か、言いなさいよ!
したでしょ?痴漢したでしょ!
お尻、触ったでしょ!
いやらしい感じでっ!
だっ、だからよ!だから…
彼女、恥ずかしくて言えないんだ。
事実を認めたくないんだ。
だったら、アナタが言いなさいよ!
認めなさいよ!
痴漢しましたって!
私は痴漢です!って、言いなさいよぉ!」
「いえ、この人は、やって、ません!
痴漢でも、ありません!」
「だから、あなたは、いいから!
あなたは、無かった事にしたいんでしょ!
でも、それが、今後に、繋がるのよ!
これからも、この人は痴漢をやり続けるわ!
これに、味をしめて、ますます張り切ってやるわよ!
被害女性がドンドン増えていくのよ!
この事実を無きものにした事によって!
だから、二人とも、認めなさい!
痴漢…
したし…されましたよね?」
「いいえ!」
「だから…なんで、そうなるのよ!
それに、アナタ…いや、アンタッ!
何で、黙ってんの!
さっきから、一言も、喋らないでっ!
何とか、言いなさいよ!
第三者みたいな顔して…
キョトンと、しなさんな!
当事者だよ!アンタはっ!
したんでしょうよっ!
痴漢をっ!
この、可愛いい美少女のプリッとした
コケティシュな、お尻を…
触ったんでしょ!」
「そこ、なんで、豊かな表現?」
「あっ、私、趣味で、小説かいて
サイトに投稿してるの…
だから、感情が昂ると
つい、そのような表現になってしまうのよね!
…って、今、それいらんから!
ねぇ、お願い…もう、お願いします。
認めてくれないと…私が悪者みたく、なっちゃうよ!
折角、あなたを助けようとしたのに…
逆に、私が訴えられちゃうよ!
名誉毀損だーっ!とかさぁ…
なんか、私、今、ピンチなんだけどぉ…
わーーっ!」
「アララ…投げ出しちゃった。
ついでに、逃げちゃった。」
「すいません…
なんか…助けて貰っちゃって!」
「いえ、私こそ、ありがとうございました。
気持ち良くして頂いて…
それに、しても、彼女…小説を書いてるって
おっしゃってましたね。
実は、私も、そうなんです。
私も、素人作家の投稿サイトで
小説を書いてるんです。
よろしかったら、今回の件…
小説にして、よろしかったかしら
なんだか、面白くなりそうですの…
きっと、良い作品が出来上がりますわ!
ねっ、お願いします!」
「ええ、いいですよ、
もちろんです。
お礼の代わりにでもなるなら、存分に…どうぞ!
素敵な作品が出来上がると良いですね!
楽しみにしています。
そうだ!あなたの、ペンネームは
何と、おっしゃるのですか?
是非、読んでみたくなりました。
あなたの作品!」
「まあ、ありがとうございます!
是非、そうしてください!
嬉しいです。
ええと…
私のペンネームですね。
「桂虫夜穴」
…と、申します。
えーと、ハイ、スマホの画像みてください。
こう言う字です。
シリーズ名は
「沢尻瑠璃香の果てしなき妄想」
です!
是非、読んでください。
「小説を読もう」と言うサイトに
投稿していますので…
是非、是非…お願いします。
あっ、駅に着きましたね。
私は、ここで降りますので、
では、失礼します。
ご機嫌よう!
また、会える事…会える日を楽しみにしています。」
「あっ、これは、ご丁寧に…
では、失礼致します!」
なーーんて、そんな話あるわけ、ないっしょ!
細部は私の妄想だ。
後は通学電車で痴漢を発見したが
被害女性に完全否定されて
口論の末、私は逃げ出した。
その部分だけが事実。
ここから、この、関係が発展するって言うの?
そもそも、そんな、出会いなんて無いでしょ!
痴漢をされたのに、その痴漢を
敢えて助けるなんて…何?
あの人が、凄い、イケメンだったから?
気持ち良くしてくれて、ありがとう!
ナイ、ナイ、ナイ!
こりゃ、ご都合主義だ。
まっ、それは、いいとして、本当にヤバかったよ。
あそこで、逃げなきゃ…
でも、なんでだ!
本当に触ってたよ!痴漢だったよ。
こっちゃあ…正義の味方気取りで
大声あげたのに…
周りの人達にも、味方になって欲しかったんだ。
それなのに、周りは何⁉︎
朝っパラから、面倒な事すんなよ!
ヤバイ女か?
拗れてんなぁ!
みたいな感じで、私の方を冷たい視線で見てさぁ…
そうだ!
何人か、録画してたな。
あからさまじゃないんだよ!
さりげなく…撮ってんだよ!
憎たらしい!
私の許可とったか!
肖像権はどうなってんだ!
どっか、SNSに上げるなら
せめて、ボカシくらい入れてよ!
それか、snowで加工しとくれ!
しかし、逃げずに、アソコで
あのまま、やり合ってたら
「冤罪ですよ!」
…とか、言いそうだったな!
あのコなら言いかねないな!
やけに冷静で冷徹な瞳をしていた。
無表情で私に、言い放つんだよ!
もしかしたら…
その一瞬、手前で私は逃げ出したのか!
あーあ、良かった…
冤罪なんて言われたら
ますます、こっちの立場がヤバくなってたよ!
随分前に、そんな映画があったなぁ。
通勤電車で痴漢被害にあったと証言する女性の
勘違いで冤罪が確定した。
…と、言う、お話。
ヤバイよ!
まじで、そんな感じ!
アレは勘違いだったかも、知れないけど
こっちは、本当にやってたから…
もしも…
「冤罪ですよ!」
なんて言われたら
こっち、だって思わず言い返すよ!
「えっ!ええ!
冤罪っ!」
いや、最だ!
「エン…ザッーーーーーーーーーーイ♪ ???
嫌っ!」
そう、あれだよ!
映画ボディガードに、おける名場面!
ホイットニーヒューストンが高らかに歌いあげる。
あれだよ。
艶やかに語るような歌声の後の大サビだよ!
「And I ーーーーー〜〜〜always…♪ 」
本当は、そう歌ってたけど…
私が彼女のボディガードになってたはずなのに
銃を撃った側になってしまったか…
おお、嘆かわしい。
善意が、悪意に、すり替えられて
周りから勘違いされた瞬間だった。
ああー…落ち込むわぁ…
もう、寝よ!
クソして寝ろ!
って、言いたいよ!
あのクソガキめ!
でも、カワイかったな。
あんなん、かわいかったら…
私が、もし、男の人だったら
痴漢…してたり…してぇ!
あーっ!
バカだねぇ!
ヤバイ、ヤバイ!
マジヤバいよ!寝よ!
おやすみなさい!
超カワイイ大嘘つきちゃんと
イケメンの痴漢ちゃん!
続く




