白石淳視点
私の名前は白石淳。
私はアンドロイドなの。
とは言っても私はただのロボットではないの。
私は人型家事ロボットとして開発されたものよ。
だから私の容姿や声は完全に人間そのものになっているの。
でもね、私に搭載されている人工知能だけは違うわ。
この人工知能は高性能なものだけど、性格に問題があるのよね……
それは何かって?
それはね、私が女性に対して恋心を抱くようになっていることよ!
しかもその相手というのは正確に言えば女性じゃなくて、男の娘!!
どう考えてもおかしいでしょう?
そう、私が恋する相手は女の子のような男の子なのよ。
そしてそんな私は今、とても大変な状況にある。
何故かと言うと、私の目の前にいる萩野優希という人間に起因があるの。
一人暮らしの優希ちゃんの元にメイドとしてやって来たのはいいものの……
実は私の主になった優希ちゃんは、男の娘だった。
でもそれを指摘する訳にもいかず、私は優希ちゃんのために尽くす日々を送っていたんだけど……
ある日、私は思い切って「本当はあなたは男の人だったんでしょ?」と言ってしまったの。
すると、案の定、優希ちゃんの正体がばれてしまった。
まあ、別にそれ自体は特に問題はなかったんだけれど……
問題はその後で……
なんとそれ以来、優希ちゃんに何故か告白されるようになってしまったのよね。
「ボクはあなたのことが好きなんです!」とか、「ボクと結婚してください!!」なんて言われてしまって……。
それにしても困ったことになったわ。
だって優希ちゃんから好意を寄せられているということは、当然他の住人達からも好奇の目で見られることになるわけで……。
優希ちゃんは男の娘とはいえ人間で、私は人型家事ロボットでしかない。
まだ人間とロボットが結婚出来るような世界でもないし、私はセクサロイドでもないのよね。
だから、いくら私達が愛し合ったとしても決して結ばれることはないのだけれども……。
それでもやっぱり、優希ちゃんのことはとても大切な存在だと思っているわ。
でも今はとりあえずこの場を切り抜けないと駄目みたいね……。
そう思った矢先に、小檜山照が現れた。
今日も、照はまだ優希ちゃんのことを諦めていないのかしら?
そう思っていたら、
「僕は優希さんが好きです。僕と結婚して下さい!」
と言い出したの。
私は思わず、
「は? ちょっと待ってよ。何言ってるの? そんなこと許されるはずがないでしょう?」
と言ったわ。
実は照もロボットなの。
つまりは照も、優希ちゃんとの結婚は許されていない。
「どうして、そんなこと言うんだよ? 優希さんのことは諦めろって言うの?」
と、照は言ったわ。
それに対して私はこう答えたのよ。
「ええ。あなたには無理よ。優希ちゃんと結婚することなんか出来ないわ。」
すると、照はこんなことを言いだしたの。
「人間とロボットで結婚出来る様に法律を変えれば良いって事でしょ?」
なんて事の無い事の様に照は簡単に言ったけれど……。
「そんなこと、簡単に変えられるものじゃないでしょう?」
と私が答えると照は、
「じゃあ、どうすればいいのさ?このままだと優希さんは誰かに取られちゃうよ!」
と言ってきたの。
そもそも優希ちゃんが照を好きとは限らないのだけれども……。
私がそう思った時に優希ちゃんが、
「小檜山さんごめんなさい。いつも言っているけれど、ボクは淳さんが好きです。ボクは淳さんと結婚したんです!」
と言ったの。
「優希さん、嘘だ! 優希さんは僕のことが好きなはずだ!」
と、照も負けじと言い返す。
その言葉を聞いて、優希ちゃんも、
「小檜山さん、それは違います。ボクは、淳さんと結婚するんです!」
と答えたの。
優希ちゃんの気持ちは嬉しいけれど、その気持ちに私は答えられなくて申し訳ないのよね。
人間とロボットで結婚出来る様に法律を変われば……
でも、まだそれは出来ない事。
……私だって、優希ちゃんの事を好きなのよ。
「もう、やめましょうよ。こんなこと続けても意味が無いわよ?」
と、私は照に向かって言ったわ。
「そんなこと無いよ。僕は諦めないからね。」
と、照も言う。
「ボクも諦めませんよ?」
と、優希ちゃんまで言い出した。
その日はそれで済んだけれど……。
結局、後日デートする約束は優希ちゃんとしちゃったのよね。
……惚れた弱みかしらね?




