転生と決意と盗賊と
「何と・・・。そんな事が・・・。」
クレハは静かに唸った。
「ファントムも勇者に相応しい人でした。ただ、あの人は大戦後、目的を失ってしまっていたのかもしれません。散り場所を求めていたというか・・・。」
私は素直な感想を話す。
「フム!勇者も英雄達も、この終わってしまった世界で過ごすのは息がつまるのだろうか・・・。」
蒼犬もぽつりと話す。
「そうじゃな。彼等は少なくとも一度は、この世界を元の世界と同じく、大切に思ってくれていたはずじゃ。そう思えば罪深き事をしたものよ。」
聖犬も沈痛な表情を浮かべている。
「は~い。魔王様方、ご飯の時間ですよ。」
「ワンワン!」
本当・・・これさえなければな・・・。
「では、私はまだ未練を断ち切れておらぬという事か・・・。」
「そうですね。貴女は勇者様に会いたいのでしょう。」
「・・・。分からない。今は会うのが怖いかもしれない・・・。」
「・・・。まだ少し時間はあります。それまで気持ちを整理してください。」
「・・・。分かった・・・。」
ファントムの最期は、クレハに少なからず影響を与えた事は間違いない。この世界に生きる意味を改めて問われているのだ。すぐに答えは出ないだろう・・・。
「さて、夜も更けてきました。今は少しお休みください。スケルトン相手に大変だったのでしょう。」
「ハハハ。それがそうでもない。多分、あの一矢を放った後、彼等は自然と瓦解したし・・・。まぁファントムも無限の魔法力がある訳でもないからね・・・。」
そう言い残して、クレハは静かにその場を去る。
まぁ彼女・ファントムは、ハナから城で迎え撃つつもりだったのだろう。スケルトンに分けていた魔力を回収、私との決戦に全力を傾けたといった所であろうか・・・。
「ともあれ、これで二人を撃破・・・。残り二人・・・か。」
私は眼前の焚火を見つめながら、一人想いを巡らせる。
『クレハもファントムも強かった。彼女達との戦いは紙一重だった。それから、あとの二人、そして勇者・・・。これは間違いなく強い。彼女達以上の猛者かもしれない。私ももっと強くならねば・・・。」
恐らく今のままでは勝てないだろう・・・。
私は確信した。
次の日・・・。
「この先に盗賊が巣を構えている?」
近隣の集落に行っていた聖犬から、その様な情報がもたらされる。
「そうじゃ。お主やクレハなら問題はないであろうがじゃ。そいつらは集団で旅人を襲撃しては、殺人や略奪を繰り返しているようじゃ。」
「国の盗伐隊は動いていないのですか?」
「奴等は神出鬼没らしくての。巣を巧みに変えて、逃げ回っているらしい。しかも一説には一千人位の規模があるらしいぞ。鎮圧も楽ではなかろう。」
「フム。我等は5名。いや3+2ですか。これは面妖な・・・。」
「何かまた失礼な事を言っておらぬか!」
「いえいえ、そのような事は。で、い・じゃなくて王様方、策はあるのですか?」
「無論、ない!」
相変わらずの即答!実に清々しい。
「どの道、ここはエレンティアへの道じゃ!堂々と踏みつぶしていこうではないか!」
「・・・。」
「なんじゃ、雑魚相手ばかりでは不服か?ならばとっておきの情報を教えてやろう。奴等には魔竜という切り札があるらしいぞ。」
「ほう・・・。」
「もしかしたら、四英雄に匹敵するかもしれない。ちったぁ、やる気が出たか!」
「えぇ!やります。魔竜との戦いは楽しめそうですね。」
私の闘志に火がついた。
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