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頑張って大魔法が撃てるようになりましたので、魔王軍にスカウトされて、異世界勇者どもをシバキ倒します。  作者: 坂田 燐


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英雄襲来!

「両側に崖。周囲に何も防ぐものはなしってか?これでは襲ってくれっていってるもんじゃな。おい、カルラ!」


ここはとある渓谷。私達は勇者とは逆のルートを進んでいる。


しかし・・・。相変わらず状況解説が大好きな蒼犬が何か語っている。毎回思うが、犬だけに何か締まらないが・・・。というか、意外と博識な犬だ。


「で、なんでしょう。」


「お主に特別にこれを授ける。見事、使いこなしてみせよ。」


次の瞬間、大きく開かれた犬の口から、少しだけ金に輝く杖が出現する。


「・・・。なんか臭そう・・・。」


「馬鹿をいうなぁぁぁ!これぞ由緒正しき、伝説の魔杖ぞ!ありがたく思わんか!」


「・・・。とは言え、まぁ魔王様の体内にあったモノですしね。出し方もあれだし・・・。」


リーナも相変わらず笑顔だが、冷たいオーラを放っている。私の意見に全面同意してくれている様だ。


「お年頃の女の子に渡すものではありませんが、まぁせめて、気持ち浄化魔法を。天の涙、オーロラ・ラグリマ!」


彼女の魔法と共に、黄金の魔杖は伝説の輝きを取り戻す。おおっ!


「それから、貴女にも小悪魔の祝福を。」


そう言うやいなや、リーナは軽く私の頬にキスをする。


「これで貴女は負けない。どんな敵にも!」


リーナは少し頬を赤らめながら、力強い瞳で、そう告げる。


『・・・。ひぃぃぃぃ!』


私はと言えば、何が起きたか分からずキョトンとしていた。


「ハッハッハ!リーナは元々闇の司祭ぞ!効果は間違いないわ!」


ただ一人、何故かドヤ顔の蒼犬。


「何故か、ワシにはしてくれんかったがな。」


「もう、魔王様ったら!」


哀れな犬は、その頬をぶっ飛ばされる。

まぁ完全にコメディ要因だが・・・。


私はすぐに現実に立ち戻り


「有難う、リーナ。絶対、私は勝つ!」


そう宣言するのであつた。



「いや・・・。貴女はここで止める。あの人の所へは行かせない!」


「!」


突然、澄んだ声と共に、周辺の空気が変化する。


「ムッ!やはり現れよったか!神弓のクレハ!」


完全に空気だった聖犬が吠える。


「説明しよう!奴は遠方より三本の矢を一度に射て過たず、標的を打ち抜く、とんでもないスキルを持った奴じゃ!

しかも、気配を消すのが得意ときている。ある意味一番厄介な敵やぞ!」


瞬時に立ち直った魔犬が毛を逆立てている。


「まだ年端もいかぬ少女よ。だが、一片の情けすらかけぬ!覚悟せよ!」


どこからか声が響てくる。

言葉が紡がれている間にも、矢の雨が降り注ぐ。


「ムッ!我等では太刀打ちできぬ。カルラよ。必ず奴を倒せ!リーナよ。我等を守れ!」


そういうやいなや、犬は素早く退散する。相変わらず、リーナ共々、流石に逃げ足だけは速い。「これ大事!」とか言いそうだが・・・。


「・・・。まぁ想定通り。さて、どう対応するか・・・。」


気配のない敵。正確無比な弓の技術。


いずれも人知を超えた技だ。これまでの敵とは数段レベルが違う。


「・・・。上手くかわすな。だが、これならどう!」


矢のスピードがどんどん上がってくる。それを私は変わらず紙一重でかわし続けている。そういえば・・・。


「ああっ!そういえば杖を貰ったんだっけ?」


すっかり忘れていた。


「あまり使いたくないけど・・・。まぁ浄化してもらったし、試しに使ってみようか・・・。」


私は矢をかわすのをやめ、手にした杖を一度地面へたたきつけた後、高速で回転させて、矢を撃ち落としていく。


「・・・。その杖は!」


「今だ!」


彼女が一瞬怯み、手をとめた瞬間。私はその一瞬を見逃さない。


「杖よ!輝け!」


「なっ!なにぃぃぃぃ!」


過たず、私が手にした杖より、全てを白に帰すような眩い光が放たれる。


「うわぁぁぁぁぁ!」


それがクレハの視界を奪い、僅かな動揺とその姿を浮かび上がらせた。


「・・・。みつけた。貴女には私のとっておきを送ろう。受けてみて、流星の矢!インペル・メトーバ!」


私は間髪入れず、大魔法を発動させる。


「・・・。あれは!」


天まで届いた光が流星となり、矢となってクレハの下へ降り注ぐ。


「クッ!」


だが、かろうじて態勢を立て直したクレハは自身の矢をつがい、高速で矢を撃ち落としていく。


「・・・。数が多過ぎる。だが、これを乗り切れば!」


クレハは力の限り、矢を打ち続ける。


「あと少し!」


奇跡ともいえる技で、ついに最後の矢も撃ち落とす。さすがに神弓と称されるだけの事はある。


常識では考えられない、紛れもなく異世界の力だ。


「だが・・・。私の勝ち・・・です。クレハ。」


「・・・。そうだね。私の負けだ。」


私・カルラの杖が確実に、クレハの喉元に突き付けられている。


「一瞬の隙、瞬時に瞬間移動するとは・・・。勇者様、申し訳ありませぬ・・・。クレハは負けてしまいました・・・。」


クレハの瞳から一筋の涙が流れた。









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