魔都と真実
魔都『マドラム』。
魔王軍の本拠地・・・だった場所。
今は見る影もなく、瓦礫の山だけだが・・・。
「意外に近かったな。二日といった所か・・・。でも何故・・・。彼女は、ここへ行けと言ったのだろう・・・?」
「そ・れ・は・ね。」
「うゎぁぁぁ!」
私は思わず声を上げる。
「早かったですねぇ!」
「・・・。ダレ?」
「あるときは謎の美少女受付嬢。しこうしてその正体は、魔王死天王の一柱リーナ!」
肩まで伸びた淡い黄髪、橙色に輝く深い瞳、小柄だが均整の取れた体。
しかも、今回は制服ではなく、魔族の制服?を纏っている。何故か白を基調としている上に、露出度も少ない為、イメージとしてあまり魔族っぽくみえない。
ただ一つ言えるのは、紛れもなく超絶美少女である事位である。
私だって可憐な女の子の筈だが、不覚にも顔を赤らめてしまう程だ。
「あれあれぇ?どうしましたぁ?」
「コホン。何でもない!で、私に用とは?王に仕えよ、という事でしょうか?私は・・・。」
「いえ。話の前にですね・・・。ぶっ飛ばしてほしい奴が二人います。」
「・・・。ハイ?」
「紹介しましょう。あそこに座っているオジサン二人でぇ~すぅ。」
リーナはその優美な指で、少し奥を指差す。
そこには玉座に座って、こちらを伺っているオジサン二人がいた。
「よく来たな客人よ。魔王軍に入り、勇者を滅ぼす手伝いをせよ。」
「・・・。はぁ?」
まず一人目。右側の男。まるで青鬼の様な顔の大男が、尊大な言葉使いで私に迫ってくる。
「今なら死天王の上、そうだな、大将軍にしてやろう。こんな光栄な事はないぞ!」
この青鬼。そのガハハ笑いといい、立場の読めぬ男である様だ。
「まぁ待て。魔王よ。この者もそれでは戸惑うであろう。」
もう一人の左側の男が口を挟む。こちらは中年の人間の様だ。
「勇者はわしを追い出し、自ら王と僭称した。正義を愛するそなたなら魔王軍と協力し、勇者を滅ぼせるのではないか?」
魔王よりは穏やかだが、こちらも上から目線は変わらない。というか、かなり胡散臭い。どうやら依頼主はこの人の様だが・・・。
「・・・一つお聞きしてもよろしいでしょうか?まさかとは思いますが、貴方が勇者を排除しようとしたのではないのですか?その力を恐れて。それで返り討ちにあって、この魔都に転がり込んできた、とか?」
「ギクッ!なななな、何故ぇぇぇに、そう思う?」
「だってリーナ殿がぶちのめせ!って言ってるし。王がかつての敵と手を組んでいるなんて、それ位しか思いつかないんですけど・・・。」
私は冷ややかに、二人の元王を見下ろす。攻守逆転。二人はおろおろするばかりである。
しかも、リーナと言えは、意図的に他所の方向を向いている。その口元に小悪魔の微笑みを浮かべて。
「アアッ!この裏切り者!って、エエエエエエエ~!」
私の左人差し指には、青白い光が。
ついでに冷ややか過ぎる微笑みを浮かべている。
「まぁまぁ、ちょっとま!」
「インペル・グラディウス!」
水の剣が容赦なく二人を切り裂く!
「ゲホゲホッ。す、すみません!許して!」
「すんませんでしたぁぁぁぁぁぁ!」
先程までの威厳はどことやら・・・。二人は玉座の前に座り、平身低頭頭を下げる。
「フム・・・。」
真実なんてそんなものだ。
勇者には同情する。
だが、異世界人である彼等が超えてはならない一線は、確かに存在するとも思う。
従って言葉が届かないのなら、この魔法で届けるしかない。
「まぁ依頼はともかく・・・。私が勇者を止める。それがこの世界を生きる者の務めなら・・・。私しか出来ない事だろうし・・・。」
「私もいっしょに行きますよ。カルラ様。」
この超絶美少女。彼女には清々しい程迷いがない様だ。何故、アレに仕えているかは分からないが・・・。
「リーナ殿・・・。」
「リーナと御呼びください。カルラ様。」
「では」私の事もカルラと・・・。」
二人の間にはそれで充分であった。
「おおっ!新時代の幕開けじゃ!」
「見ておれ!勇者よ!」
折角いい場面の筈だが、それにしても先程の反省は何処にいったのだろうか?
オジサン二人は共に腕を組み、年甲斐もなくはしゃいでいる。
「もう一発、かましとくか?」
ギロッ!
私は軽く二人を睨みつける。
「さ、さぁ魔王の。私達は静か~に見守る事としようかの?」
「そうじゃな、聖王の。ではおさらばじゃ~!」
二人は逃げる様に、その場から走り去る。その空気を読む力は神がかり的だ。それにしても王の威厳はどうした。かつては立派?な王であったんだろうに・・・。
「まぁ突っ込んでも仕方ない・・・か。行こうリーナ。」
「ええ。お供しますわ、カルラ。」
目指すは聖都エレンティア。勇者が生まれおちた地・・・である。
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