憧れの魔法
「クッ・・・。いじけ虫だと・・・。」
勇者ミユキ・アーペントは私を睨みつける。
「そうだ。貴方が憎むべきは、この世界ではなかった筈だ!」
私もひかない。いやひきたくない。
かつて、激しく恋焦がれた相手。
それをこんな形で終わってほしくない。
「フッ・・・。フフフ・・・。ならば、私の技をみせてやろう。」
勇者は天に手を翳す。
「世界すら滅ぼせる私の大技、メテオ・アロー!!!」
「!」
「これは!!!」
勇者の上空の空より放たれた無数の流星の矢が私を襲う。
「くたばれ!!!」
「・・・残念ですが、それは軽い!!!。」
私はそれを紅の剣で叩き落す。
「・・・。お前!!!」
「これは返礼です。私の技もお見せします。インペル・メトーバ!!!」
「なにぃぃぃぃ!!!」
今度は私の流星の矢が勇者をとらえる。
「クッ!!!」
「どうだ!!!」
ミユキはかろうじて、私の流星弾を撃ち落とす。
「・・・。さすが勇者!!!。」
「何故・・・。私の技を・・・。」
「それは勿論・・・。憧れた貴方を超える為・・・。」
そう・・・。私は伝え聞いた勇者の技を身に着ける為、必死に修行してきたのだ。
私は自分で言うのもおこがましいが、比較的才に恵まれていたように思う。
だが、それでも十数年の月日がかかってしまった。
「・・・。私を超える為・・・だと。」
「そう・・・。私の最初の夢は貴方と一緒に戦う事でした。その夢は叶いませんでしたが、今でも貴方は私の憧れに違いはないのです。」
「・・・。」
「貴方の気持ちが分かる。・・・とはもう申し上げますまい。やはり我々の戦いに言葉は不要!次に私は私の持つ全力の技を貴方にぶつけます。貴方も貴方の持つ最大の剣で返してください。それで決着をつけましょう。」
「・・・。そうだな。私も全力で相手をしよう。もう世界も何もどうでもよい。仲間にも見せたことのない技だが、多分この時の為だったのかもしれない。だが、恐らく君も・・・。」
勇者の目が本来の水色に輝いていく。これが迷いのない真の勇者なのだろう。
「そうですね。私もそう思います。」
「行くぞ!」
「はい!」
二人の気が激しく渦巻いていく。正真正銘、最大奥義の激突!
二人の声が同時に響き、同時に剣を天に翳す。
「流星よ!剣に宿り、力と為せ!!!」
紅剣と蒼剣に流星の力が宿っていく。
「ハァァァァァァ!!!」
「ヤァァァァァァ!!!」
二人の身体が金色に輝く。
その衝撃波は屋根を吹き飛ばし、いつのまにか夜空となっていた空まで貫く!
「行くぞ!アズール・メトロ・ストラッシュ!!!」
勇者から放たれた蒼の流星が私を襲う。
「見事!!!ならば私も。」
私もとっておきの技を返す。
「ルブラ・グラデュース・ヴェラム!!!」
紅と蒼の流星が中央で激突する。
「ハァァァァァ!!!」
「ヤァァァァァ!!!」
お互いのエネルギーが中央で渦巻いている。
だが・・・。
「ウワァァァァァ!!!」
僅かに上回った私の技の威力が、勇者に跳ね返り、そのまま吹き飛ばす!
勢い余った勇者は後ろに吹き飛ばされ、そのまま倒れ、意識を失った。
「勇者!!!」
「ミユキ!!!」
私達は倒れた勇者にかけつける。
「待て!!!」
だが、一喝。
「・・・。聖王様・・・。」
瀕死の筈の聖王がゆっくりと勇者の傍に立つ。
「聖王・・・。」
意識が朦朧としているミユキがポツリと呟く。
「勇者。いや、ミユキよ。最期の力でワシの首をはねよ。」
「!」
「!?」
その場にいる皆が驚愕する。
「お主は純粋な、優しい心の持ち主じゃ。それをワシはこの手で汚してしまった。お主には復讐する権利がある・・・。」
「・・・。そうですね・・・。」
ミユキは剣を構える。
「待って!ミユキ!」
「そうです。貴方はまた苦しむ事を望むのですか・・・。」
「お主たちは黙っておれ!!!」
聖王は一喝する。
「さぁ首を刎ねよ!この愚か者の首を!!!」
「・・・。では参ります・・・。」
ミユキは剣を構える。
そしてゆっくり剣を振り下ろす。
私達の悲鳴が宙に舞う。
そして、聖王の首が宙に舞う・・・。
筈だった。
「グァァァァァァ!」
聖王は首どころか体ごと軽く吹っ飛ばされていた・・・。
「何じゃ!それうわぁぁぁぁ!」
ミユキと、ついでに私の、きつめの往復ビンタ!
「痛いではないか・・・!」
腫れ顔になった聖王が威厳のなくなった声で抗議してくる。
私達は顔を見合わせる。
そして私達は心からの笑顔で笑い飛ばす。
「ざまあみろ!!!」
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次回、最終回です。




