大正義の拳
「さぁ、行こう。最終決戦だ!」
私は努めて冷静に話をする。
私はゆっくりと扉に手をかけ、勢いよく開く。
そこには・・・。
「聖王様!」
私達は叫ぶと、そのまま駆け寄る。
「ウウッ・・・。」
剣で体を突かれた跡があり、かなりの深手だ。しかし、どうやら致命傷ではないようだ。
「・・・。そなたたち。無事にここまで来たのだな・・・。」
聖王は苦しそうに話す。
「すまぬ・・・。全てはワシの責。そなた達がくるまでに片を付けたかったのだが・・・。」
「もういい!しゃべらないで!・・・。貴方はもう戦わなくていい。私達の戦いを見届けてください。」
「・・・。あい分かった・・・。」
聖王はそのまま気を失ってしまう。
私は魔王のところまで、聖王を運んでいく。
「・・・。この馬鹿者が・・・。まぁ、こいつの気持ちは分からんでもないが・・・。仕方ない。ここはワシが守ろう!お主たちは、心置きなく全力で戦え!」
「魔王様が初めてカッコいいと思う言葉をかけた!」
「うるさいわ!」
私達の的確な突っ込みに予想通りの反応で返す魔王。
この緊張続く場面の中、少し緩くなる場が現れた。
勿論、僅かではあるが・・・。
「さて・・・。」
私は静かに振り返る。
「・・・。」
そこには最後の敵が玉座に座っている。
「・・・。」
圧倒的な強者感・・・ではない。
ゲイボルグは長身お兄さん、クランはがっしりした戦士といった感じであったが、この人は・・・。
「美しい・・・。だが悲しい・・・。」
見た目は女性かといった美しさと柔らかさを持つが、漂う気は薄暗い感じを受ける。
「貴方が勇者・・・。」
「そうだ。私が勇者ミユキ・アーペント。世界を救いし勇者だ。」
「・・・。」
もはや言葉は不要。
「貴方を倒し、この戦いを終わらせる。」
私は紅剣を構える。
玉座から静かに立ち上がったミユキも蒼剣を構える。
「参る!」
「行きます!」
まずは一撃、剣を合わせる。
「ミユキ!」
私の対角に立ったクレハも弓を放つ。
それをあっさりと交わす勇者ミユキ。
「クレハ・・・。君も裏切るのか・・・。」
「違う!貴方を以前の貴方に戻すため戦う!」
「私は変わらぬよ。変わったのはこの世界だ・・・。」
「貴方の苦しみは分かる。貴方は幸せになるべきだったのだから・・・。」
「黙れ!!!」
ミユキは大きな声を出す。
「敗れた者に用はなし!私一人で、この戦いを終わらせる。そして、私自身の手で、この世界を終わらせる!」
「なっ!!!どういうことですか!」
私も激しい口調で応戦する。
「この世界を滅ぼす?ですと!!!」
「・・・。そうだ・・・。」
ミユキはその美しい容姿に似合わぬ闇に染まった瞳で、絶望的な答えを返す。
「裏切り者も、抗う者も、私の世界には必要ない!!!」
「このぉぉぉぉ!!!」
私は紅剣を構え、上から勇者ミユキに切りかかる。
「飛び込みが甘い!!!」
それをミユキは蒼剣で何なく受け止める。
勢いあまって私の紅剣は弾かれ、天に舞う。
「これで止めだ!!!」
すかさずミユキは剣を上段に振りかざす。
「それを待っていた!!!」
私は地面に半身で着地すると、左手に力をこめ、眼前の勇者に右ストレートを繰り出した!!!。
「ハァァァァ!」
その拳は見事、勇者の頬を打ち抜き、その体もろとも、壁にたたきつけられる。
「!」
「おおっ!」
「何と!」
皆が驚く中、一人私だけが冷静だった。
「このいじけ虫!一発殴ってやろうと思ってた!!!」
まだ立ち上がれぬ勇者を尻目に、私は鋭い眼光で、そう言い放った。
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