魔王サイト:隠れ家にて
「う~ん。これは・・・。」
魔王犬は渋い顔をしている。
「ウチの切札は休養中。戦えるのは元勇者パーティーのクレハのみ。だが・・・。」
敵の数が多すぎる。
クレハも強いが、限界はある。そりゃぁ、もう何百発打ちまくっているからなぁ。
「ハァハァ・・・。」
流石に息が上がってきている様だ。
「クレハ!一旦ひけ。きりがない。」
「・・・。分かりました。」
「・・・。意外に素直じゃないか。まぁよい。さすがに正面突破、最短ルートは難しいようじゃな。」
「そうですね。今は無理をせず、カルラの回復をまちましょう。」
「・・・。最低でも、あと二戦じゃからな。リーナよ。まだ目を覚ましそうな兆しはないか?」
「・・・。そうですね。このままでは私がおばぁちゃんになってしまいますぅ。」
リーナはどこまでもマイペースだ。
「そうだ!こっそりキス・・・。もとい人工呼吸したら目をさますかも・・・。」
「アホか!イチャイチャは終わってから好きなだけせぇ!一旦ひくぞ!作戦の練り直しじゃ!」
「・・・(チッ)・・・このバカ魔王・・・。」
最近は見直していたが、こいつもポンコツ死天王だったんだよなぁ・・・。
魔王は人知れず涙を流す。
「とりあえずここなら休めるでしょう。」
「ここは・・・。アヤツの・・・。聖王の隠れ家か・・・。」
「そうですね。あの方は立ち去る前に、私の枕元にトラノマキを置いていきました。」
クレハがポツリと話す。
「トラノマキじゃと!まぁ、この街を知っているのはお主だけじゃしの。しかし、アヤツめ!ここまで想定していたのか!」
伊達に王はしていない様だ。
「・・・。待てよ。という事は、ここには城へ繋がる秘密通路の様なものがあるんじゃないか?」
「この巻物にあります。」
「そうか!」
聖王ナイス!
「ですが・・・。」
「どうした?」
「恐らくですが、この通路は王の間の後ろの隠し部屋につながっていると思われます。そこには彼が待ち構えているでしょう。」
クレハが震えている。
我も戦慄を抑えきれない。
「神弓のクレハ、ファントム、神槍のゲイボルグ・・・。何れも桁外れの強さを持つ戦士だった。だが、奴は・・・。」
「そうですね・・・。四英雄最強にして、双剣を自由自在に操る戦士。私ですら彼が全力を出した所を見たことはありません。」
「フム・・・。」
「でも、彼を越えなければ、勇者の元にはたどり着けぬでしょう。」
「・・・。そうよな・・・。」
我はリーナの膝枕で休んでいるカルラを眺める。
本当に幸せそうな笑顔だ。
こやつも四英雄に負けず劣らず、戦闘狂だ。
『いずれこの戦いも終わる。もしこやつが勇者を倒してしまったら、この先どうなるんじゃ・・・。』
不安は尽きない。聖王がかつて抱いた疑いを、我も持っている。
「魔王様の気持ちは分かります。この戦いに勝利しても、彼女が新たなる脅威になるのではないか・・・と。」
「心を読むな!で、リーナはどう思うのじゃ。」
「勿論、私がおります。カルラは勇者の様に闇に堕ちたりはしません。そもそも、王にもさせません。二人で、静かに暮らすのです。」
「・・・。」
「・・・あっ・・・そう・・・。」
我とクレハは目が点になる。
「フ・・・フフフフ・・・。そうですね。私も思います。カルラはあの人の様にならない。私もおりますから。」
「あげませんヨ!」
「望むところです!」
何故か目をバチバチさせる二人。
「何というか・・・。無駄な心配じゃったな・・・。」
反省しきりの魔王であった。
この二人がいれば、何とかなりそうな気がした。
「・・・。う~ん。」
「カルラ!」
「おはよう。」
「ん?リーナ、クレハ?、ついでに魔王様!」
「ついでとか言うな~!」
私は眠っていた様だ。どれくらいかは分からないが・・・。
でも大丈夫!
「いけるよ!もう二つ!」
私は笑顔でそう答えた。
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