幕間:未来と別れ
「まぁ、魔王様が仕組んだ事だよね。」
私は苦笑いしながら、降伏した二匹の正座魔物を許す。
「しかし・・・。何たる弱さか!情けなさ過ぎて、涙がとまらなかったわ!」
何故か、蒼犬こと魔王は激怒りである。
それも否定は出来ない。
「しかし・・・。魔王様は知っていたのですね。リーナの隠された力を・・・。」
「まぁな。魔族にはリーナの力を使いこなせるものが、残念ながらいなかったのじゃ。」
「貴女を一目みて惚れました。鍛え抜かれた技と力。そして心。私を使うに相応しい。」
「・・・。何か照れますね。」
「フフフ・・・。お可愛いい方!」
リーナが抱きついてくる。
嬉しいのだが、私の方がイケナイ何かに目覚めてしまいそうだ。
「う~む。何か目の前でイチャイチャされると、殴りたくなるわ!」
蒼犬の目が怪しく光る。
そっとしておこう。
「ところでお主・・・。」
最近、空気な聖王犬が話しかけてくる。
「いっそ、リーナと結婚してこの国の王にならんか。」
「は?」
私が王・・・。
「いやいやいや!貴方が復帰すればよいでしょう。というか、私も女ですよ。そもそも女同士で結婚など・・・。」
「大した問題ではない。聖魔は今まで争い、大きな傷を負った。勇者達もある意味では被害者と言えなくもないのだ。お前達をみて確信した。聖魔は今後は認め合い、ゆるやかに融合すべきなのだ。」
「いやいやいや!リーナだって嫌でしょう!ねぇ。」
「・・・。」
リーナは何も言わない。だが、何か悲しそうに見える。
「リ?」
「カルラは私をお嫁さんにしてくれないのですか!」
「え?」
「私はこんなにも貴女をお慕いしておりますのに・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
何といえばいいのだろう。
確かにリーナは可愛いし、綺麗だ。
私が男ならば喜んで受けていたに違いない。
だが・・・。
「聖王様。私はリーナを大切に思っています。ずっと傍にいてほしいと思っています。でも・・・。王になろうとは思いませぬ。」
今はこれが精一杯・・・。
「・・・そうか・・・。お主の気持ちは分かった。今は引こう。だが、考えておいてくれ。」
聖王はシリアスな顔で去っていく。
場の雰囲気が重くなる。
「全くアヤツは変な所でまじめよのう!興が覚めたわ!寝る!」
蒼犬もスコスコ去っていく。
リーナもそれについていき、私は一人残された。
『・・・。まさか聖王は、勇者と刺し違えるつもりなのか・・・。』
一抹の不安がよぎった。
そして次の日・・・。
「あの馬鹿者が!一人で旅立つとは!」
蒼犬が怒っている。
案の定、聖王は何も言わず、旅立ってしまっていた。
「・・・。聖王よ。早まらないでください。・・・」
私は聖都の方角を見つめながら、そう呟いた。




